[漫画]
タイザン5「タコピーの原罪(下)」(2022年集英社ジャンプコミックスプラス)
雲母坂まりなの遺体が発見され、しずかや東のクラスにも警察が事情を聞きにやってくるなか、正直に全てを話した方が良いのではと口にするタコピーに東は同調しかけるが、しずかは東京旅行のことしか頭がなく、自分を頼ってくるしずかに東は応えるべくあれこれ智恵を絞るも、そのせいで勉強の方がおろそかになり、テストの点数が下がった東を医師で多忙な母親は自分の気を引かせようとする愚かな行為と断じて、何でもできる陽キャの兄・潤也と比べられ期待されてこなかった東は、クラスでいじめに遭うしずかに母親の面影を見て彼女の力になりたいと思いながら声をかけることができなかった負い目があり、まりなを殺害した凶器な「ハッピーカメラ」を持って自首してほしいというしずかの頼みを聞くつもりで家を出ようとしたところへ、兄の潤也の「悩みがあるのなら理解したい」という本心からの言葉が弟──東直樹の心を動かし、翌日から母親の営むクリニックは臨時休診、あの家の子どもが事件に関わっていたという噂が町に広がるなか、しずかは東がいなくても構わないとタコピーと青函連絡船に乗って東京へ、チャッピーが待っている父親の住む高層マンションへ向かうのだが、ドアが開いた先にはチャッピーではない犬と少女二人の知らない家族に囲まれた父親が立っていて、あの子たちがチャッピーを食べてしまったのかも胃の中を調べなきゃと常軌を逸した考えに取り憑かれていくしずかに、タコピーはもう一緒に帰ろうと泣いて止めようとするが、耳を貸さないしずかの一撃を受ける瞬間、タコピーは彼女の闇に堕ちた暗い瞳を前にも見たことがあると、その記憶の全てを──地球にたどりついたハッピー星人と最初に出会ったのは高校生の雲母坂まりなで、「ごみくそ」と名付けたタコピーにもハッピー道具にも何の興味も無いまりなは、小学生時代のあれこれが原因で母親から虐待され続けていたところへ直樹と小学校以来の再会を果たし、彼と付き合うことを明かして母親との関係も改善に向かうかと思われたが、そこへ小四の時に自殺を図ったものの失敗して地元を去ったしずかが転校生として帰ってくるや、直樹はまりなよりもしずかを選び、これが元でまりなは母親と諍いになった末に彼女を殺害、自らも命を絶つ直前、小四の時に久世しずかを殺しておけばよかったというまりなの最期の後悔を聞いたタコピーは、ロケットで故郷ハッピー星に帰ると、星のハッピーママが管理する大ハッピー時計で6年前に戻ろうとするが、ハッピーママは「ハッピー星の掟を破った」タコピーを許さず、全ての記憶を剥奪されながらも6年前に戻ったタコピーはしずかと出会い──思い出したものの、結局まりなとしずかをどうすればハッピーにできるのかわからず土管に籠もるタコピーの元へやってきた直樹は、まりな殺しの件で自分も家族もどうなるかわからないし兄の潤也もバイトをクビにされたけれど、度が合わなくなっていたメガネを潤也は最後の給料で買ってくれたことを話してタコピーに別れを告げるその顔は明るく、そしてタコピーは(父親の新しい家族な子ども二人を誘拐した?)しずかと遂に再会、なにもかもどうすればいいのかわからずタコピーを問い詰め虐待するしずかに、タコピーは自分もわからないし助けてあげられないことを謝ることしかできず、それでもひとつ方法があると壊れたハッピーカメラを取り出すと、自らのハッピー力を犠牲にすればもう一度だけカメラを使えるようになることを明かすと、彼女の幸せを願いタコピーは光の中へ消えていき、そして世界は再び6年前へと巻き戻り、まりなからいじめられ直樹も関わろうとしないしずかの日常は何も変わらないように見えたその夜、公園でしずかを罵倒するまりなは、しずかの鞄からこぼれたノートに書かれたタコピーの姿を見るやなぜか涙が止まらなくなり、彼女たちを見守り別れを告げるタコピーの「どうか一緒に大人になってほしい」、その声を彼女たちが聞くことはないのだったが、そして時が経ち、ショップでハッピー道具「土星ウサギのボールペン」そっくりな文房具を見つけた制服姿のしずかとまりなは、ふたり笑顔を浮かべているのだった。
タイムトラベル要素が明らかになる下巻だが、まりなとの回想が始まる前後の繋がりがぶった切られているのが非常に気になる。土管で直樹に語るタコピー「(しずかは)目が覚めたらいなくなってて…」そりゃあないだろう。
ハッピー力でハッピーカメラ再起動のご都合主義は言うまでもないが、カメラは直樹が警察に持ってったんじゃないのとか、まりなの遺体を入れた思い出ボックスはどうなったんだよとか、気になるところは多々。
タコピーが星に帰った下りの、ハッピーママの台詞「あなたは一人でここへ来た ハッピー星の 最も大切な掟を破ったのです 二度と星に戻ることは許されない」、……何度読んでも意味がわからない。
その後の「東京都女児行方不明」の新聞やネット記事の辺りも、初見で全然読み取れてなかったり。
作者からすれば読みが浅いのかもしれないが、ただでさえ絵も話もごちゃごちゃしてるんだから……。
(2022/7/10)