[漫画]
赤坂アカ×横槍メンゴ「推しの子(1)」(2020年集英社ヤングジャンプコミックス)
宮崎の片田舎で産婦人科を営む若い医師「ゴロー」は、研修医時代に出会った患者で12才で世を去った少女さりなが大ファンだったことから、アイドルグループ「B小町」の絶対的エース・星野アイを周囲がドン引きするレベルで激推ししていたら、突然のアイ活動休止のニュースに落胆していたところへ産院にお忍びでやって来たのは星野アイその人で、妊娠・出産がバレたらアイドルとしては致命的と怖れる事務所の社長・斉藤の反対も聞かず、アイは双子とわかったお腹の子を産んでも公表せずアイドルを続ける決意を語り、ゴローは彼女の意思を尊重して出産の準備を進めるのだったが、その予定日当日、ゴローはアイの妊娠を知る何者かに襲われ、アイの出産を見届けることは叶わないまま死亡、……が、気がつくとゴローはアイの双子の男児・愛久愛海(アクア)にゴローの意識を持ったまま転生しており、更に女児・瑠美衣(ルビー)もまた生前アイを崇拝していたドルオタが転生しており、実はその正体はゴローが診ていたさりなだったのだが二人は互いの正体に気づかぬままアイドルとして復帰したアイを陰ながら見守りつつ、面倒を見てくれる斉藤の妻ミヤコに自分たちは「神」と宣言することで、彼女の前では喋る赤ん坊として堂々と生活するなか月日は流れ、アイドルグループの一員から星野アイとして世間の認知度を高めていく母のため、アクアは映画監督の五反田と知り合ったことから「重曹で泣ける天才子役」の有馬かな(「10秒で泣ける」を聞き違えたアクアに以降イジられる)との共演をバーターにアイの起用を得るも、この件でかなとは浅からぬ因縁ができてしまうのだったが、さてアクアとルビーは三歳になりアイの芸能活動も絶好調、B小町もいよいよ東京ドーム公演へと上り詰めるがその当日、かつてゴローを殺した男が引っ越したばかりのアイの新居に刃物を持って現れ、腹を刺されたアイはアクアとルビーに自らの想いを伝えて息を引き取り、アクアは犯行後自殺した男にはかつてゴローだった自分を殺した事件も含めて協力者がいると確信、それはアイが頑なに秘密にしていた自分たちの父親に違いないと復讐を決意、月日は流れ、斉藤夫妻の子どもとして育てられたアクアとルビーは、高校生の美しき双子兄妹アイドルとして鮮烈なるデビューを飾ることになるらしいのだった。
評判に違わぬ傑作。どこに向かっていくのかわからない展開とスピード感、今日の日本漫画の最先端と手放しでベタ褒めしたい。
[2021/5/4]