(「娘の出生の秘密」からの続き)

 

 事務所を留守にしてから約1時間。全君(通訳)が待っていました。「如何したんですか」、「家に電話してたんだ」、「何かあったんですか」、「娘の出生届の事を話してた」。

 

 そう誤魔化すと、生産の指示を与え、「ちょっと今日は、胃の具合が悪いから食事は要らないと言っといてくれ」と頼みました。食事が喉を通る気分では無いのです。

 

 全君が出て行くと、「後でちゃんと説明してやらないとな」と想ったのです。彼はタダならぬものを感じたでしょう。感のいい子です。私の目もまだ赤かったと思います。

 

 でも、粋がって平静を装わなければ、何時心が崩れるか自分でも解らなかったのです。無事である事を信じようと想っても、その逆の事が如何しても顔を出してくるのです。

 

 そこへ、電話がかかって来ました。「はい」、「さっきは悪かったな、俺もちょっと言い過ぎたわ」。営業部長です。何言ってんだと言う言葉を飲み込み、「いえ、こちらこそすみません」。

 

 「健康保険の方は、あれで良いそうだ」、「そうですか、ではよろしくお願いします」、「ところで、一時帰国させてやろうか」、させてやろうかだって、偉そうに・・・。

 

 「いえ、私が帰ったところで、娘が助かるってもんでもないでしょ」、「そうだよなぁ~、まぁ~、気を落とさず頑張ってくれ」、ガチャン。「馬鹿にしとんのんか」。

 

 私は必要ならば、自費で、好きな時に帰らせてもらう事に心を決めていたのです。立場がどうなろうと知った事ではありません。これ以上悪くなる事も無いでしょう。

 

 女性の方には理解して貰えないかも知れませんが、これは私の意地です。「営業部長如きに言われて帰ってやるもんか、その上を出せ」と言う心境だったのです。

 

 後で知ったのですが、私の電話に「何かあったな」と感じた総務部長が営業部長に忠告した様ですね。それで慌てて私に頓珍漢な詫び?を入れて来たのです。

 

 私は告げ口などしていませんが、普通心ある人ならば解りますよね。総務部長は「あいつは人の心が解らんからな、悪い奴ではないんだが」と言っていました。

 

 総務部長が、私の居た事業部とは別の事業部で営業部長をしていた頃の部下がこのボンクラ営業部長でした。その後、事業部統合と成り、取締役総務部長になったのです。

 

 私の所属先の営業部長が事業部長と成り、ボンクラが営業部長になりました。このボンクラは社長のお気に入りでもあります。つまり社長のイエスマン。

 

 私が社長に睨まれている事は承知の筈です。人を見て態度を変えるのですね。私に厳しい事を言うのはそのせいでもあるのでしょう。好意的な訳がありませんよね。

 

 方や総務部長は以前、足を骨折し、私は家が同じ方向であったので、2ヶ月程送り迎えをしていた事があります。そなん縁もあり、私を庇ってくれたのかも知れませんね。

 

 母との電話と頓珍漢な詫び?の御蔭で気持ちを切り替えた白楽雲。

 

 「娘は必死で頑張っているんだ、自分も負けずに踏ん張らなければ」と想ったのです。「婆ちゃん達がきっと助けてくれる筈」。そして・・・。

 

 「何時か営業部長に娘の分までギャフンと言わせてやる」と。

 

(つづく) 

 

 

 

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白楽雲

 

 

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