(「どけ~、豚~」からの続き)

 

 話を聞いて激怒した白楽雲君の父。

 

 「おい、お前も来い」、「何処へ行くの」、「いいからついて来い」。仕方なく父の後をついて行く白楽雲君、「車に乗って何処行くんだろ」と思いつつ、父に聞く事が出来ません。

 

 この頃、彼は父が怖くて話しかける事が出来なかったのです。父が嫌いな訳ではありません。口数が少なく、話した記憶はありませんが、居るだけで安心できる存在でした。

 

 父の帰りを真っ先に解るのが白楽雲君でした。車のシフトチェンジとアクセルの踏み具合の微妙な違いが音で解るのです。遠くで聞こえるエンジン音で「あ、お父さんだ」と言うと100発100中です。

 

 父と一緒で不安はありませんが、何処に行くのかが心配だったのです。10分程すると大きな家の前に車を止めた父。「おい、降りろ、行くぞ」と大きな家の門をくぐって行きます。

 

 門の表札には○○と書かれています。「え、もしかして○○建設の社長の家」と思った瞬間、頭の中は「菅原文太」主演の「仁義なき戦い」のテーマが流れ始めました。

 

 ○○建設は元々、ハチキュウサンで、社長は元親分さんなのです。今は堅気で真っ当な商売をしているとは言え、白楽雲君にとっては・・・。

 

 どんどん先に行く父、振り返り「早く来い」と言われ、白楽雲君は小走りでついて行きます。玄関に到着すると呼び鈴を押しました。

 

 すると玄関の引き戸が開き、着物を着た初老の品の良いおばさんが現れ、「あらまぁ、白楽雲さん、お久しぶりです」 (実は、この時点では、白楽雲は彼の父が名乗っていたのです)。

 

 「御主人は御在宅ですか」、「ええ、どうぞ上がって下さい」、「いえいえ、直ぐ済みますからここで結構です」、「そうですか~、直ぐ呼んで来ますね」。

 

 程無くして、着物姿の恰幅の良い白髪頭の親分いや社長が現れましたが、「怖っ」と思わせる厳つい顔の老人です。「やぁ~、白楽雲さん、上がって上がって」、「いえ、ここで結構です」。

 

 「そんな事言わんと、さぁ~」、「御詫びと御忠告に上がっただけです、直ぐ済みますから」、「へ、何」、「実はうちの馬鹿息子が、お宅のダンプの運転手さんに暴言を吐いて怒らせたんです」。

 

 父は、白楽雲君の頭を押さえつけ「ほら、謝らんか」、「何で」と思いながらも、仕方なく「ごめんなさい」と言わされました。「大人に言う言葉ではないので、こいつが水溜りに引き摺り倒されても文句は言えません」。

 

 「一体全体何の話ですか」、「これはお宅の会社の恥いや社長の顔に泥を塗る事になりかねませんので御忠告させて貰います」、「だから、早く何の話か聞かせて下さいよ」。

 

 白楽雲君の父はちょっと回りくどい言い方をするのが欠点だった様です。

 

 「今朝、お宅のダンプが通学路を通りかかり、邪魔だとクラクション鳴らされたので、こいつらは脇に寄って通そうとしたんだそうです、そうだったな」、「うん、そうだよ」。

 

 「運転手さんがトラックを降りて、何て言ったんだった」、「どけ~、豚~」、「そう言って、こいつの班の3年生の男の子の胸ぐら掴んで張り手を食らわしたそうです、そうだな」「うん」。

 

 「その子はその場に崩れ落ちたそうです、幸い怪我は無い様ですが、通学路ですし、邪魔だからと言って、まだ小さな子供を張り倒すのは真っ当なやり方とは思えません」。

 

 「そんな事があったんですか、通学路って○○町の」、「そうです、それでこいつが暴言を吐いたもんだから、運転手さんを更に怒らせたんですね」。

 

 「あいつだなぁ~、通学路は通るなって言ったのに怪しからんな、指でも詰めさせるか」、「いや御冗談を、そんな時代じゃないでしょ、張り倒された子に謝罪するのが良いと思いますが、如何ですか」。

 

 「解りました、良く知らせてくれましたね、きっちりと落とし前つけさせますよ、ところで、悪いのはうちの運転手の方だから、君は悪くないぞ、君が怒るのは当然だ、悪かったね」。

 

 翌日の夕方、親分いや社長に伴われて運転手が謝罪に来たのですが、ぺこぺこと情けない姿です。「こんな大人になりたくない」と思う白楽雲君でした。当然M君の家にも謝罪した様です。

 

 さらに翌々日の朝、白楽雲君達はあの運転手の情けない姿を話題に大いに盛り上がったのですが、何と言ってもグラサン外したシケタ顔(今風に言えば「シケメン」)と言ったところでしょうか。「シーケメンメン」(すっちー風)。

 

 あの運転手、会社では気の小さい男だった様です。グラサン掛けて虚勢を張っていたのですね。でも、弱い者に虚勢を張っても仕方ないでしょうに、それも小学生に・・・。

 

 パチンコで負けて、ムカムカしていたのだそうです。なんか最近でも「ムカムカ、イライラ、ムラムラ」して何かやらかす輩がいますよね。とは言っても殺人や卑怯な犯罪は慎んで欲しいものです。

 

 この後、通学路にダンプカーが通る事は無くなり、ド―ベルマンも、あの運転手も、何時の間にか見なくなりました。当然、犬小屋の悪臭も無くなり、平和が訪れたのです。

 

 暫くの間、「あの運ちゃん何処かに埋められたんじゃない」と言う噂がまことしやかに囁かれるのでした(不確かな事を言うんじゃないムキー)。

 

 そして、最大の疑問が、父が何故に親分いや社長と知り合いなのか。しかし、そんな事を父に聞く事が出来ない白楽雲君です(誤解しないで下さいね、彼の父は真っ当な人間ですニコニコ)。

 

(つづく)

 

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白楽雲

 

 

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