良縁・悪縁・ぼく肝炎? | 歩いても歩いても象

良縁・悪縁・ぼく肝炎?

急遽、日曜と月曜にかけて京都にいくことになった。

四年間お世話になった、大学院の恩師に就職の報告とそれに伴う、大学院の退学の申し出だ。


この恩師というのがなかなかの強烈なキャラクターで、いつも彼女にジャイアントスイングをかけられているごとく、彼女の遠心力を末端で受けていた。

師匠と弟子。

僕はこの関係がとても心地よく感じる。

かつて、東京で社会人であったときもそうだった。

弟子は師匠を尊敬の念を前提とするが、一言で軽々しく尊敬と表現することのできない感情がそこにはあるのだ。

そこには、憎しみもある。嫉妬もある。追いつけない自分への虚無感もある。ときにはライバル心も出てくる。

複雑な感情が糸を紡ぎながら、一本のしっかりとした尊敬という強力な縦糸でほころびが生じない。


そんな、恩師に報告をした。

感性の鋭さはまさに天才的とも言うべき彼女はすべてを事前から見抜いていたようだ。

そして、残念がってくれた。

めったに褒めない恩師は、ありがたくも、これまでの四年間の僕の研究を賛辞してくれたのである。

そして、送別会を開いてくれた。

酒が入ると下ネタ好きの恩師は、僕がのっかかると非常に喜ぶ。

研究においての厳しさと、飲み会においてのユルさ。
このギャップは恩師の最大の魅力である。

そして、飲み会では僕の人間性を最大限に褒めてくれた。

帰り際、僕を思いっきり抱きしめてくれた。


「ありがとう」の反対語って何か知ってる?

感じで書くとわかりやすいよ。

「有難う」

つまり有り難いご縁に授かったってこと。

その反対は?

「当たり前」って感じること。

最近、悪縁が切れたのはうれしいことだが、こういう有り難い良縁が中断(切れるとは言いたくない)されるのはやはりさみしい。

そんな感慨にふけっている僕は、今、肝臓が悪い。

良縁・悪縁・ぼく肝炎?