中国にも核家族化の流れ | ラフィーネさんのブログ

中国にも核家族化の流れ

ブログ原稿(117) 8月17日用

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前回、お盆休みの由来を紐解いたのは、
本来、中国伝来のものなのに、今日では
その風習が廃れていることを知ってほしかったからです。

中国では仏教よりも道教が主流となり、迎え火や
精霊流しなどの風習のみが残ってきたのでした。

中国での帰省ラッシュは正月になります。
ただし、正月といっても旧正月(春節)ですから、
日本の正月とは一致しません。

その点、ゴールデンウィークは一致します。
中国語では「黄金周」、日本語と完全一致です。
T生が北京にいた10数年前には一般化していました。
改革開放後(1990)、日本企業が進出、その影響で政府も
休みを増やし、この言葉が生まれたと記憶しています。

したがって、この時期は中国人にとっても
春の観光旅行シーズンとなっています。
ということでQさんの帰省はゴールデンウィーク。
日本で働く人の里帰りには都合よかったのでした。

一見なにげないことではありますが、その背景を
手繰っていくと見えてくるものがあるものですね。


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(スイレン科の外来種、タンザニア産。小石川植物園)

Qさんの故郷は杭州(浙江省)です。
2005年に来日、大連出身の男性と結婚、
1歳10か月の子供がいます。
1年ぶりの里帰りということで、夫婦の両親に
孫の顔を見せるというのが目的です。

東京―上海は航空機、飛行時間は約3時間。
上海―杭州はいまや新幹線で50分だそうです。
以前の在来線は2時間ですから速くなったものです。

夫の両親も現在は上海在住ということで、
3日間づつ上海と杭州に滞在したのでした。

おじいちゃん・おばあちゃんが孫に会いたい気持ちは、
日本ならずとも、どこの国でも同じでしょう。
しかし、中国では「一人っ子政策」がありますので、
その思いはひと際であろうと容易に想像できます。

人口抑制のため一人っ子政策が始まったのは1979年。
当然、Qさん夫婦も一人っ子世代です。
つまり、四人のおじいちゃん・おばあちゃんに対して
子供は二人、孫は一人しかいないのです。

Qさんは両親からこう言われたそうです。
「あなたたち夫婦は日本で暮らそうとどうでもいい。
でも、孫はこちらに返しなさい……」

そう言われてもQさんは困惑するばかり…。
祖父母にとっては可愛いというだけでなく、
心の叫びみたいなものなのでしょうね!

今日では家族の様子も随分と変わってきたのでしょうが、
中国には伝統的な家庭の在り方がありました。
共産国家ですから男女共働きが基本です。
そこで、孫の世話は退職後の祖父母の役割でした。

つまり、おじいちゃん子、おばあちゃん子が
ごく一般的な状況だったのです。

一方、血筋を絶やさない、家を継ぐということも、
日本人以上に強いように思います。
T生が驚いたのは「骨肉(グウロウ)」という中国語です。
日本でも「骨肉の争い」とは用いますが、
それ以外はあまり一般的ではありません。

中国ではよく子供のことを「私の骨肉」と言います。
いろいろなシチュエーションで使われるので、
なるほど自分の血肉・骨かと生々しく感じたものです。

こんなことを思いながら話を聞いていたら、
「でもね、うちの子供は人見知りをするものですから、
おじいちゃん・おばあちゃんに抱っこするにしても、
散歩するにしても私がそばにいないと泣いちゃうんです」
とのこと……。現実に戻されました。

抱っこのダメ出しに祖父母はお手上げです。
それでも可愛いからあやさざるを得ない……。
どこにでもある風景です。

やはり故郷に帰るというのはいいものですよね。