いつものあなたの席

窓際のクッションの上


ヘッドフォンで 大好きな音楽を聴いている

あなたのシルエット 夜の闇にうかんだ

あたしただみていた その陰が愛おしくて




大好きな音楽を聴いているはずなのに

あなたの目はどこか遠い

音もなくこぼれた涙のわけは知らない

ただ、愛おしかった  それだけ





あたしは壁際の彫刻

ただ飾られて積もる埃


あなたはいつもあたしから遠い場所にいる

あなたのシルエット いつも後ろ姿

朝も夜も 逆光になる窓ガラスが憎いわ




大好きなあなたを見ているはずなのに

あたしの心からあなたは零れた

音をたてて落ちた古くなった陶器の破片

ただ、愛おしかった  それだけ






あなたはこちらを振り向かない

もう二度とあたしをみない

だってあたしは古ぼけた彫刻

かつてなめらかに輝いた白も

今ではただの壁の陰



窓際のあなたのシルエット

壁際のあたしのシルエット


重なるにはあまりにも遠すぎた






大好きなあなたをあたしは見ていた

心など宿らないと笑われた

そっと忍んだ恋ならば 許されると思ったの

ただ、愛おしかった  それだけ


それだけだったの








窓の外の音

ことり、ことり。


君はまだそんなところで

積み木を積んでいるの?


部屋はもう暖まったのに


早くはいっておいでよ

僕は手を伸ばす

きみの視線は今も下を見ている



本当は優しくしたいんでしょ

不器用な君は 

今日も積み木を掴んでは僕に投げる


ウソツキ、嘘吐き


そういう君は嘘を重ねて

僕を泣かせる




ねぇ、部屋はもう暖まったよ

早くこっちへおいでよ

その手の積み木はもういらないよ

おいておいたって誰も持って行かないから




ウソツキ、嘘吐き


そういいながら僕は

きみの手からそっと積み木を取り上げて




窓の外

ことり、ことり。



投げつけた