春の日差しになり暖かくなってきたと思ったら今度は花粉の季節で巷ではマスク人間が闊歩しています。今年は花粉の量が多くなるそうです1)

 

若い頃はなかったのですが、最近はこの季節に鼻汁がでたり、腹回りや腿にアレルギーが出てきたりするようになりました。妻は冬になると脛に湿疹がでるようになり、父も年取ってから喘息がでるようになっていました。

 

年とると「免疫力」が下がると言われていますが、むしろ「免疫力」は上がりいろいろなアレルギーが出てくるように思えます。リューマチなどの自己免疫疾患も年をとるとでてきます。

 

わずかな刺激にでも応答し、「免疫寛容」の閾値が低下しているのです。年とって低下するのは「免疫力」を上げる能力ではなく、これを抑制し「安定化」する能力ではないでしょうか?

 

免疫を抑制するT細胞を制御性T細胞(Regulatory T cell: Treg)といいます。Tregは自己免疫疾患を抑制するT細胞として発見されました2)。活性化した免疫はそのままにしておくと組織を破壊するので必要がなくなったらしっかり抑えておく必要があるのです。

 

きちんと抑えないと慢性的な免疫活性化状態に陥り自己免疫疾患になるのです。

 

Tregを誘導する主要な因子はTGFβです。Treg自身もTGFβを出して様々な免疫応答を抑制します3)

 

真の「免疫力」とは、必要なときに、必要な場所で、必要な量を活性化し、必要がなくなったらきちんとこれを抑える、免疫の「安定化力」なのです。

 

放射線の酸化ストレスはTGFβを誘導し慢性炎症を抑えてくれます4)。放射線ホルミシスは活性化した免疫をきちんと抑え、免疫寛容の閾値をあげ、免疫を安定化してくれるのです。

 

1) https://murasakiyamapark-clinic.com/hay-fever

2) https://ja.wikipedia.org/wiki/制御性T細胞

3)https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/cell-analysis/cell-analysis-learning-center/immunology-at-work/regulatory-t-cell-overview.html

4) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3016606/

 

 

馬替生物科学研究所 所長

第1種放射線取扱主任者

馬替純二