人は極めてつらい出来事に襲われると
そのショックで前後の出来事を覚えられなくなったり
あるいはそのことにとらわれるあまり
ある程度の期間他の物事を考えることもできず
いつもの自分の習慣も行えなくなってしまいます
こうなると今現在の自分と過去の自分との間に断絶が生まれ
知らず知らずのうちに昔の記憶の一部を心の奥底に忘れてしまったり
あるいは意図的に目をそむけるようになることがあります
これはとても悲しいことです
人を人として成立させている要素は
その人間にとっての基本的思考回路と
これまでの記憶がほとんどだからです
そのため、記憶を失ってしまうということは
人がまさに自分自身の一部を失うことと大差ありません
手足をもがれるのと同じことです
ですが、それらの記憶は
その記憶に関連する大切な人や物を目にした際
ふと蘇ることがあります
自分の記憶を、自分の外にある何かがよみがえらせてくれるのです
そのような人や物は
ゆえにその人にとって
自分の一部にも等しい存在なのです