トイガンバーBrenへようこそ
 
ここは、ある路地にある古いビルの地下にあるBARその名は「Bren」
 
私はマスターのCooperと申します。カウンターだけの小さな店ですが、トイガン、サブカル好きが夜な夜な酒を片手に、トイガンとサブカル談義をする、あの世とこの世の中間、そんなBAR
 
今宵はどんなお客様が来店するのでしょう。。。。。

今日は静かだ。いや、いつも静かなんだけどね^^;

暇に任せてJAZZをかける。ピアノの音色がすきなので、自然とビル・エバンスなどピアノ中心になっちまう。

少しボリュームを上げる。今では大きな部類になる、昭和の大きなスピーカー。親父の形見を店の天井から吊るしている。

日曜日の午後はピアノJAZZか、ボサノバと決めている。

ビル・エバンスのキレッキレのビアノを聞きながら、なんで尖った人は短命なんだろうか、なんて思う。

いや、そんな尖った才能だから周りからも理解されずに、命を縮めたのか。。。人は社会に関わっていきているから、どんなすごい人でも、決まったルールやしきたりからはみ出ることなく、ある意味制限のある中で、生きて、そして、自己実現しなくてはならないから、そうなれない人は、原因はわからないが、短命なんだろうな。

もしくは、人間は生まれたから、きっと運命の一つに、出会って親しくなる人の数が決まっているんじゃないかと思う。

その人数に達しないと、天国の、いや地獄も門が開かないんじゃないかなと思うようになってきた。
いや短命というのが勘違いなのかな。

いい人が短命なのは、人がいいので意外とクリアするのが早いのだろうなと、そんなことをつらつらと考えていた。

自分はもともと人と接するのが苦手なんだが、どういうわけか、接客の仕事が比較的多い。その時々興味のある仕事を選んでいるのだが、人とたくさん話しをするのが苦手なのに、だ。

仕事がら、人付き合いがよく、社交的だと思われているのも勘違い。

考えてみると、あれだ、知らない人とながながと話をするのが嫌いだからいまはバーテンなのかもしれないな

しかし、天才は、結局、周りか自分の勘違いなんだろうなと、最近思う。

なんて考えいてもしょうがない。せっかくなのでグラスを磨く。バーカウンターの下に箱があって、バカラのグラスが数個。これはヨーロッパにいたときに、購入したもので、なにか区切りのあるときに、取り出して使うようにしている。

一度割ってしまったが、バカラだと思ってしまっていた違うグラスだった。なので、今はきちんと分けてしまっているのだ。勘違いに救われた。

布できれいに定期的に磨いている。

グラスやトイガンを磨いて艶が出てくると気分も上がる。

小刻みにリズムを取って磨く。

カラン。

Cooper「いらっしゃいませ。おぉぉキングさん!!久しぶりです!」

キング「マスター元気だった??最近イベントも全然顔出さないね。あんまり顔出さないから来ちゃったよ。千葉から」

キングさんは、ガンショップのころ、お客さんとして、知り合った。ショップをやめたあとも、なんだかんだと腐れ縁。

私の中では、破天荒という単語ピッタリの人だった。

ひげを軽く蓄えているので、トランプのキングになぞらえてキングさんと呼ばれている。

本人は、コンバットのキングIIの意味だと言ってるのだが。。。

Cooper「珍しいですね。ご無沙汰です。娘さんはお元気ですか?」 

キング「娘の結婚式依頼だな。なんか一人になっちまって少し寂しいけどな」

なつかしい。娘がひとり。離婚して今は独り身だ。昔から、とにかく生き方が破天荒な人だった。

トイガンの歴史そのものズバリのひとで、王道のMGCやCMCでも働いていたことがある人。
業界の裏話はほとんどキングさんから聞いている。

Cooper「キングさん、最近どうですか。まだ離れっ残っているんですか?」

キングさんは、自宅の庭に、倉庫兼、自分の部屋があって、そこがたまり場になっていた。そこにはベットと棚くらいしかなくて、でも多いときは、そこに5人も押しかけて、目の前のコンビニで缶コーヒーを買ってきて、壁に飾ってる、モデルガンの話で盛り上がるのだ。

その部屋の棚には、何かで強く叩いた傷があるが、それはMGCのベレッタM1943を撃っていたら、亜鉛合金のスライドが割れて後ろに飛んだときの傷らしい。

その話を聞いて、キングさんが「ベレッタはさぁ今さらブリガーディアとか言ってるけど、それはベレッタの弱点をもっと早くから知ってたんだよ」って自慢してた。

キング「もう30年前から壊すって話になっているけど、まだ残ってるよ」

キングさんの部屋のモデルガンは、ノーマルであっても、ひと手間かけて飾ってある。亜鉛合金は磨き込んでからリブルーで本体も、パーティングラインを完璧に消して、磨いて飾ってあるのだ。

ノーマルでも1丁を丁寧に仕上げて愛でるというのはこのキングさんから教わった。

キング「じゃマティーニ、ベルモットはね、、、、あれあれ、チンザノのロッゾ、ジンは、タンカレーにしようかな」

相変わらず細かい。

Cooper「承知いたしました」

マティーニは簡単に言うと、ジンとベルモットをステアしただけのカクテルなんだが、ビタースを垂らしたり、ベルモットの量を変えたり、ジンの種類を変えたり、一冊の本が出るくらいの奥が深いカクテル。

キングさんは、深夜プラス1ばりにヨーロッパよろしく、カクテルを頼んで、飲んでゆく。007世代でもあるのでたまにシェイクしてくれということも。

Cooper「おまたせしました。」

コースターと、グラスをおく。

キング「このあいだね、モデルガンの整備をして組み立ててホット一服しながら、そういえばと、WAのガバメントを取り出して、しばらく撃ってなかったから、手入れしようと思ったんだよ。それでね、1911だったんだけど、いじってオイル拭ったりしてから、何気なく、モデルガンの癖で、トリガー引いちゃったらたまがでてびっくりしてさ。俺二回目だけどやばいよなぁ」

Cooper「キングさん、それ、昔やって自分で怪我しましたよねw」

キングさんは割とおっちょこちょいで、勘違いだったよって話が多い人だ。

キング「マスタ、それ、いましまったの何?」

私は宅配便の袋を破った箱だけになったトイガンをバックヤード側に置こうとしていた。

Cooper「これ、みますか?懐かしいでしょ。」

WAAR7。水に浮くっていうライフル。

アメリカ空軍のパイロット向けのサバイバルセットに入れるとか入れないとかっていう触れ込みらしかったけど、結果どうなったかは知らない。

そのレアなモデルをWAがモデルガン化したのだった。もちろんストックに収納したら水に浮く。

キング「うわぁぁすごいね。綺麗だし。欲しくないけど興味あるな」

Cooper「ちょっとみてみますか。よいしょ」
私は箱から出したAR7をカウンターに置いた。ストックに分解されて収納された機関部とバレルを取り出して、組み立ててみた。

WAお得意のデトネーター式で、マイルドなブローバックシステム。ガツンと銃本体に負担がかからないように設計している。効果があったかどうかは不明だが。

キング「これだよな。俺が中学生のころMGCからM16が発売されたんだよ。文化祭に早速買ってきたやつがいて、教室の真ん中に展示したんだよ。E1を」

私はその当時のモノクロの写真を見せてもらったことがある。今よりキングさんは老けて見えていた。

キング「当時ね、ワイルド7で、M16は水に浮くんだって話が載っててね、みんな勘違いしちゃってたんだよ。





それでさ、ほんとにM16を水に沈めたやつがいるんだよwww」

Cooper「えぇぇぇぇ亜鉛合金でしょ。なんでそう思ったんでしょうね!」

キング「MGCのM16はちょっといい感じのグレーだったんだけど、マグネシュウム合金だって噂になったんだよ。いや、結局亜鉛合金だったんだけどw」

破天荒はキングさんだけではなくて、周りもそうだったのかww

私は、キングさんの好きなビーフジャーキーを出す。

キング「お、サンキューあれだな、やっぱ、酒にはジャーキー、そしてタバコだな」

キングさんは、細身のジッポーのライターを取り出す。昔からジッポークラブにも入っていて、今日はなぜかポール・スミスの刻印入り。

キング「これか?ほら、たまにやってる蚤の市でさぁ千円で売ってたんだよ。壊れてたけど、部品は俺の部屋にまだたくさんあるから、ちょっと直して、今使ってるんだ」

キングさん意外と、手先が器用な人なんだ。だいたいのことは自分でやってしまう。

キング「それでな、M16は水に浮くって中学生の俺たちはみんな疑わないんだよ。だって、望月三起也先生だぜ。間違ってるなんておもわないわな」

Cooper「本当に水に入れたんですか?」

キング「一応な、ビニール袋に入れたらしいけど、1秒も浮かなかったらしいよww
そんで、ちょっと濡れてしまったんだけど、お風呂だったから浴槽に油が浮いてお袋さんにガチで怒られたらしい。ほんと一瞬で沈んだらしいよ。」

Cooper「いや、やらなくてもわかるでしょwww」

キング「勘違いってこわいなww」

キングさんはビーフジャーキーをほぐして、ちびちびやりながら飲むのが好きなのだが、今日もそうやって飲んでいる。

キング「そいつ、風呂場で違う実験もやったんだよ。マルシンから最初のプラグファイヤーでP38出ただろ?あれ、水の中で打てるんじゃないかって、撃ってみたらしい。」

マルシンは中田のP38をモディファイしてABSのショートリコイルしないP38をプラグファイヤーカートリッジ搭載で発売したことがある。

ハンマースプリングの部分が一発で割れるという不良モデルガンだったが、マルシンは、不良に関しては、無料交換してくれた。

意外とあのP38は短命でおわって、すぐにNewP38が登場した。

Cooper「え?どうなったんですか?」

キング「それがさ、ちゃんと排莢するんだって。水の抵抗もあるんだろうけど、ちゃんと発火してブローバックして排莢するらしい。そして、また油がういて、お袋さんに叱られたらしい。いい大人が!!ってw」

本当に初期のプラグファイヤーは完全閉鎖だったのかww

音もせず、ガスも出ず。どう考えてもまだ開発途中の製品と思えるけど、そんなことどうでもいいくらいに、簡単にブローバックして安定していたのだ。

地方では、平玉火薬しか手に入らなかったが、それも3発で見事にブローバックしていた。

Cooper「まさかちゃんとブローバックするなんて。。。。驚きですね。」

キング「もう一杯くれ。そうだな、次はベルモットはそのまま、ジンをビーフィーターに変えてくれ。そうだよ。先入観があっちゃいけないからな。勘違いのもと、きになったら自分の目で確かめる、だよw」

おっとオリーブを切らせてしまった。

Cooper「キングさんすいません、オリーブがないです。」

キング「あぁぁいいよ。俺はなくてもいい方の人だから」

Cooper「しかし、そりゃ面白いですね。ベレッタのスライドが飛んだのも実験だったんですか?」

マティーニを一口へ運んだキングさん、

キング「あれはさぁ、調子悪かったんだよね、最初。バッファーなしだったんだよ。マスターはゴムのバファは知ってるだろ?実はバネのバッファもあってね、やっぱ割れたんだよね。ちょっと調子悪かったけど平玉増やしたらすごく調子良くなったんだよ。で、かっこいいなって、横から見て一発撃ったら、それがあたりでさぁその時スライドがぶっ飛んだんだよ」

偶然とはいえ、キングさんは運がいいんだろうな。当時は平玉火薬をしこたま詰めて撃ってたらしい。PMも相当な量で発火させていたのだけど、かの、中東のほうのカスタムは興味がなかったらしい。

勘違いでM16を水に沈めた話は、ありそうでなかったのだけど、キングさんの友達がやっていたなんて、ほんと、ネタとしては最高だ。

情報が少ない当時、いろんな勘違いがあったんだと思う。何しろまだ1ドル350円とか円の持ち出し制限とかあった時代があるわけで、キングさんも、そんな時代にHAWAIIでホルスターを購入してきた人だった。

HAWAIIのガンショップ(観光客が間違っても行かないようなところ)でショルダーホルスターを購入しようとしたら、何に使うんだってしつこかったらしい。で適当に、Kフレあたりの話をしたらOKってなって購入、その時の店員が、お前はどこから来たんだと聞くから日本から来たと答えたら、さっき見せた銃を買っていけってしつこく勧められたらしい。で、拙い英語で日本では政府が許可していない(単語がわからずこんな表現になったらしいw)と幾らいっても大丈夫、アメリカだって拳銃なんてスーパーマーケットだって買えるんだしって譲らなかったらしい。

そして、日本人も普通に銃を自宅に持っていると思っていたらしい。

勘違い。

その店員は、じゃ日本人はどうやって家族を守るんだって言ったらしい。

間違いや勘違いはネガティブな話になりがちだけど、ときが経てば酒のつまみになる。



to be continued・・・・・・
トイガンバーBrenへようこそ
 
ここは、ある路地にある古いビルの地下にあるBARその名は「Bren」
 
私はマスターのCooperと申します。カウンターだけの小さな店ですが、トイガン、サブカル好きが夜な夜な酒を片手に、トイガンとサブカル談義をする、あの世とこの世の中間、そんなBAR
 
今宵はどんなお客様が来店するのでしょうか。。。。。
 
あけましておめでとうございます。本年もBAR Brenをよろしくおねがいします。
 
 
私は、Cooper。BARのマスターですが、知る人ぞ知る、トイガンコレクションエバンジェリスト。
 
そして時々ガンスミス。
 
BARにトイガンを求めてくるお客様、探してほしいと依頼されるお客様。それからメンテンナンスしてほしいお客様様々。
 
皆さん、そのものがほしいのではなく、思い出をとりもどしたい、そんなお客様が多いのであります。
 
 
トイガンを手に入れたけど、思い出のあの形にしてほしい。。。。
 
そんな、悩みもお酒片手に実現すること、それが私の仕事。
 
ないものを現世に誕生させるのがカスタムの真骨頂である。だからこのBARは、あの世(想像してほしいもの)、とこの世(ビルドアップ)の間なのだ。
 
 
とまぁカッコつけてみたいが、要するに欲しい物を提供する、それが酒であろうがつまみであろうがトイガンであろうが、私の知りうるものであれば確実に満足させたい、だからこの儲からない店を続けている。
 
 
さて、元旦はお店はおやすみ。とはいえ、毎年少ないが常連で、だらだらトイガンを並べて飲む日って決めている。
 
 
電話がなる。。。
 
Cooper「はい、Brenでございます。」
 
ビッグファイヤー(BF)「あ,マスター?おれおれ!あのさ、スコーピオンが変なんだよ。送ったから、もう届いてるんじゃないか何って。」
 
彼はとにかく発火可能であれば、とりあえず発火。そして、調整、発火というおとこで、常にロードした状態のトイガンを持ち歩く。
 
一度、WAのコマンダーをちょっと多めのロードで持ち歩いていたときだ。渋谷駅でお腹が痛くなり駅のトイレの個室に駆け込んだのだが、ズボンを下ろすときに、ホルスターからコマンダーがするりと落ちた。
「ドカン!!!!」
 
見事に、全弾発火で、メッキフレームは無残な状態に^^;
 
それから彼はビッグファイヤーと呼ばれている。(いいのかそれで)
とにかく闇雲に発火させるのだが、少し古い設計のモデルガンはブローバックと書いているが、それは書いているだけでブローバックすらしないものがあった頃にもめげずに発火していた。
 
Cooper「スコーピオンってハドソンの?」
 
あぁぁ変な虫がうずいたな。いつもそうだ。ビッグファイヤーくんは年下なのに、とあるショップに子供の頃から通い、耳年増で、よく昔からのマニアにかわいがってもらっていた。
 
後に、ウエスタンショウの世界へ向かうのだが、それはまたの機会に。
 
ハドソンがモーゼルをブローバックと称して販売していた頃のこと。一応、カートリッジは深堀りされて、そんな雰囲気だが、これがもう動きやしない。
 
ボルトを止めているパーツ(名前を知らない^^;)がスチールで一応ブローバックモデルである証なのかもしれないが、カートリッジが下手にリアルな形状、モーゼル弾を模しているために、デトネーターはまるい棒で、どう考えてもブローバックしない。
 
たまに気まぐれで一発だけ排莢するが、連射なんて夢のまた夢。。。
 
数回撃つだけでリコイルスプリングが変形したりと、散々だった。
 
でも、そこは漢ビッグファイヤー、めげずに撃ったのだった。
 
Cooper「あのさぁ、排莢して遊びたいのなら、イングラムとか、GM5とかにしなよ。なんで見ただけだめなものを選ぶのかなあぁ
マニアックのハドソンのラインナップを気に入ってそれを愛でるようになると、業界的には、ハドソン川で溺れた、というくらいなんだぞ。わかってのかなぁ」
 
と呆れてしまったが、彼の言い分としては、
 
ビッグファイヤー「いやいや、古いGun誌見てたら動いてる写真があってさぁ」
 
ビッグファイヤーは、私より5歳年下だ。しかし、特にハドソンという今はなきマニアックなメーカーが好きだ。
 
いや、わかる。子供の頃中田のトカレフがすごく好き立ったという変態なのだ、ビッグファイヤーは。
 
ある日、バイト代を叩いて、フォールディングストックのAK47を購入して、その場で撃った。
 
まぁまぁ動いたが結局なかなうまく行かなくてどのうち壊れてしまった。
 
しかし、諦めが悪いビッグファイヤーはSEモデル(フルオートシアの追加や、バレルのリアル化、稼働チャンバーの採用、CP化などなどかなりゴージャス)を手に入れて、見事私の前で20連射を披露してくれたのだった。
 
ビッグファイヤー「なんか動かないから見てほしいんだよね。Gun誌では、動いてるんだよね〜」
 
いやいや、記憶にないぞ??大丈夫かビッグファイヤー????
 
Cooper「いやいや記憶にないからwwだいたい、君のお好きなハドソンは、、、、」
 
ビッグファイヤー「妄想ブローバックwwそうだよねぇなんていうか前にマスターが、撃って自分の脳内で排莢している映像が見えてこないとハドソンを好きな人間とは言えないといってたけどほんとだよねwww」
 
Cooper「そうだろ?とりあえずもうこちらには届いているからちゃんと掃除するよ」
 
電話を切る。ん〜スコーピオンはMGCの32オートのカートリッジも使えて、何度か試したけどだめだった。
 
結局あのボルトとエキストラクタ、エジェクターのどれもいい状態じゃないというのが問題(いや全部やんけ^^;)
それにボルトのストロークの割には、亜鉛合金塊のボルトで、硬いスプリング。ますます動く要素がない。そう1mmも動く要素がないのだ。
 
何をどういじるではなくて、何から手をつけていいのかがわからないなかなかの存在だ。
 
カラン!
 
サソリが頭の中をぐるぐる回っていたが、そう私はバーテンダーということを忘れていたw
 
Cooper「いらっしゃいませ。あ、なんだ、BF(ビッグファイヤー)じゃない。」
 
ビッグファイヤー「マスターとどいた?さ・そ・り・」
 
ほぼ毎週来ているくせに何故か宅配便で先乗りした、サソリをカウンターへ。
 
Cooper「まだ開けてないんだよ。さて、よいしょ!」
 
箱を開封した。びっくりは、なんと銃口閉鎖のゴールド。どうやらこっちのほうが珍しく、人気があるんだそうだ。
 
ハドソンのスコーピオンが発売されたとき、当初は長物扱いで(いや大きさ考えると微妙だったけど^^;)、黒い状態で発売されたけど、すぐに業界筋からツッコミが入った。これはハンドガンじゃないのか?と。
結局自主規制ってことで、以下の3段活用に至ったのだった。
 
①黒銃口開き→②ゴールド銃口開き→③ゴールド銃口閉鎖→振り出しに戻る
 
こんな歴史を歩んだのは意外と知られていない。
 
Cooper「これめずらしいね。私は初めて見たし、手にするのもはじめだね。いいねぇ」
BF「これがねぇ実は買ったときはこれしかなくて、本当は黒が欲しかったんだよね。でもいい感じじゃない?なかなかきれいだし」
 
確かに、下地処置はきちんとされて、その上メッキ。素晴らしい。
 
早速ドライバーでフィールドストリッピング。チップアップしたサソリからボルトを取り出す。
 
Cooper「ばらして驚いたんだけど、ボルトがアルミっぽい。いやね、先入観なんだけど、発売当初は亜鉛合金の塊の記憶があるんだ。だから亜鉛だとおもって取り出したらびっくりだね。これはアルミだね。」
BF「え!?さすがマスターだね。おれは亜鉛合金だとばかり。
ところでさ、マスターいっつもなんで分かるの?」
 
私はボルトを手に持ち、指でさすってみた。
Cooper「まずね、手触りでどういうわけか何となく硬いとか柔らかいとかがわかるんだよね。削ると一発なんだけど。
で、重さと、見た目。手触りは感覚なんだけど、重さや、見た目は多分自分の知識なんだと思う。
なんか超能力みたいだけど、要するに経験、知識だから、普通のスキルと同じなんだよね。」
 
BF「へぇぇすごいね。俺なんて亜鉛合金と鉄の区別もつかねーな。
真鍮もいろみないとね、わかんないや」
 
さすがに真鍮はわかるだろ^^;
 
Cooper「真鍮は硬さが全然違うし、黒染が中途半端で黒くしたくて黒メッキすると、それはそれですぐわかっちゃう。意外と真鍮は唯一無二なのかもなwしかし、ハドソン好きだねぇそんで、動かないよw」
 
BF「マスター忘れたかな?ベレッタ1934は完璧に動いたぜ。」
 
ドヤ顔のビッグファイヤー
 
Cooper「いやいや、あれ、MGCの1934のバレル入れただけじゃんwww
そりゃ動くわなw」
 
ハドソンの1934はグリップ意外はほぼMGCのコピー。パーツの互換は結構あったのだ。
 
BF「それを言うなよ〜まぁ32オートもかな。よくバレルが外れちゃったんだけど^^;」
 
Cooper「そりゃねスタンダードはブローバックとは加工が違うからね。あれにディスコネクター入れるだけじゃバレルが緩んで抜けるんだよ。」
 
BF「あとは、あれだ、コクサイのオートマグ。あれもかんたんだったな」
 
私はあきれてしまった^^;
 
Cooper「あれはそのままで、カートリッジをMGCのCVカートにするだけできれいにブローバックするんだよww」
 
なんで金属モデルガンばかり打ちたいんだろうねww
 
 
Cooper「そんで、本題。スコーピオンは動かないよ。動いてもこわれるからやめとけ、やめとけ」
 
BF[そっかぁ好きなんだよね。スコーピオン。前から気になってるんだけど、ハドソンのはすごくずんぐりだよね」
 
Cooper「そりゃそうだ。東西冷戦だよ。」
 
 
ハドソンがスコーピオンを発表した頃はまだ東西冷戦時代。
 
ましてやチェコスロバキアの武器が西側に情報が流れてくるはずもなく、少ない写真などから設計されていたはずだ。
 
木製グリップが短いのは誰が見てもずんぐりで短い。結局ハドソンが販売しているときは、改善されす、そのままだった。
 
マルイやKSCのガスガンのほうがスタイルは忠実だったが、金属でずっしりのハドソンモデルガンも一部での人気は根強い。
 
 
Cooper「じつね、ちょっとおもしろいものが手に入ったんだよ」
 
カウンターの下から、あるものを取り出してそのままカウンターに置く。
 
BF「うわ、これチャコで作ったやつかな?」
 
アマゾンでも一時期販売されていた、チェコ製のグリップ。
 
Cooper「ちょっと加工するとすぐつくんだよ。一回元のを外してフィティングだけしてみる?」
 
BF「みたいみたい」
 
ドライバーで長いネジを外すとかんたんにグリップは外れる、このネジが実に雑なんだけど、だから、チェコのグリップもちょっと加工してつけようかなと思うわけだ。
 
Cooper「ほら、いい感じじゃない?」
 
 
 
 
BF「おぉぉかっこいい!これはいいね!余計なマイナスネジをイモネジにしたりしてちょっとグレードアップするとかなり格好いいモデルガンになりそうだな」
 
Cooper「そうおもう。ただ、、、、ほんと、撃つなよwwwしかし、なんで撃っちゃったんだ?」
 
 
BF「おれさ、記事をちゃんと読んでなかったんだよwwwGun雑誌、どうしてもストーブパイプジャムが多いから逆さまに撃っっている写真があって、そうかそうしたらジェムしないじゃんって勝手に思い込んでたんだよ。で、よく読んだら逆さにしても調子悪いって書いてるwww」
 
呆れたやつだw
 
スコーピオンを眺めていたビッグファイヤーが、
 
BF「これさぁ、ほら、とばねぇ豚はただの豚ってあったじゃん、動かないサソリはなんだろうね?」
 
Cooper「ヨーロッパの田舎のご婦人、かな。動かなくてもいいんだよ。このサソリは。このグリップはどうする?」
 
BF「いただきます!そして、マスターチーズ頂戴チーズ」
 
せっかくチェコスロバキアの銃の話題だったから、コルバーチクを出そう。
 
チェコのチーズ。
 
燻製したものをビッグファイヤーにだす。
 
BF「マスターこれ変わった味。なにこれ」
 
Cooper「これね、チェコのチーズ。チェコのチーズは羊がおおいんだけど、これ牛乳から作られているんだ。
私が個人的に羊のチーズが苦手で、コルバーチクだけ入れているんだよ。この燻製したやつが最高なんだ」
 
BF「うまいねぇ。おれコーヒー飲みたくなってきなwなんでだろ」
 
Cooper「これと決まったものはないんだからBARでコーヒーのんでチェコのチーズを食べたっていいじゃないか。だいたいトイガンが手に入るBARなんだし、制限は自分がかけるものさ。口に入ってうまくて健康なら最高じゃないか」
 
BF「そうだよね。じゃマスター、コーヒー」
 
カウンタから棚へと移動したスコーピオン。立てて置くと、ほんとまんまサソリだ。
 
ネルでコーヒーを入れながら今更ながらほれなおしたぜ、サソリ。
 
Cooper「お・ま・た・せ。マンデリンの深入り。」
 



BF「そうだマスター、ネジとかストックとか黒い部品があるじゃない?これもメッキかけたら格好いいかな?」
 
たまにはいいこと言いう。コーヒーで頭が冴えたかw
 
Cooper「黒い部分はすべてスチールだし、せっかくだからクロームメッキとかするとワンポイント、格好いいかもね。スチールはメッキ工房でいけちゃう」
 
BF「マスター、、、お願いしていい?」
 
Cooper「もちろん。ただ、いま液がきれているから、少し時間もらうよ」
 
BF「なんかコーヒー苦いけどうめぇぇ甘いもんが食いたい」
 
 
Cooper「そうだ、シシュカ作ってやるよ。ちょっとまち」
 
BF「シシュカって?」
 
こいつ知らないことはほんととことんアホみたいな顔になるんだなw
 
Cooper「かんたんにいうと揚げドーナツさ。これもチェコ料理。中にジャム入れたりするんだけど、ヨーロッパでは、結構普通のパンだと思ったらあまぁーーーいジャムが中に入ってたりすることがあって朝から食えるか!ッテ思うことが結構あったよ。
シシュカはドーナツにあまーいジャムとかをいれて、揚げる。うまいぜ、ちょっとまて」
 
BF「マスター腹減った、、、早くしてwww」
 
こいつめwww
 
 
 
ビッグファイヤーは、発火しないモデルガンを珍しく愛おしく眺めている。
 
トイガンの楽しみ方は、千差万別で、価値観も違う。それぞれが自分の価値観で楽しめるのがトイガンの世界。
 
結局日本でGunの趣味というのは妥協の産物でしかないのだ。
 
メカがリアルで外見もリアルなものはモデルガンしかない、しかしたまが飛ばない。
 
外観や操作はモデルガンと遜色ないが、メカが玩具だが、玉が飛ぶエアガン。
 
ずっしり重く、まさしく金属を使ったものは、法律で金色にせねばならぬし、銃の選択も限られている。
 
すべてを満たすことはできないが、自分の特性が一番合うものを中心に、全て楽しめばいいのだ。
 
 
 
 
 
興味があったかといわれると、聞いたことしかない国チェコスロバキア。
 
モデルガン一丁で、調べてみようなんて思うから不思議だ。
 
いい大人がおもちゃの鉄砲って話もあるが、まだまだ楽しい時間を提供してくれる。
 
 
まだまだ私の仕事は途切れることがなさそうだな。
 
 
 
 
 
おっと、チーズの在庫が切れてきた。
 
その地のワインやウイスキーなどの地酒をチーズに合わせるのが地味にうまいのだ。
 
 
さて、次はどの国にしようか。地球儀を眺めてなやむ、この時間は、どの趣味も同じ。この悩む時間が最高に楽しいのだ。
 
 
そして、目下、日本の旨いチーズにあう、日本酒を探している。ただ、、、、私は飲めないから大変なのだ。^^;
 
 
 
 
 
 
 
 
 
to be continued・・・・・・
 
トイガンバーBrenへようこそ

ここは、ある路地にある古いビルの地下にあるBARその名は「Bren」

私はマスターのCooperと申します。カウンターだけの小さな店ですが、トイガン、サブカル好きが夜な夜な酒を片手に、トイガンとサブカル談義をする、あの世とこの世の中間、そんなBAR

今宵はどんなお客様が来店するのでしょうか。。。。。

今日は大晦日。大晦日は結構忙しいのだけど、実は、一定の時間帯がエアスポットみたいに急に人がいなくなる。

大晦日には忘れられない物語があるんです。それは、、、、、

Cooper「でんさん、時間がかかって申し訳なかったです。なかなかご希望のものがなくて。。。」

でん「いやぁ手間変えちゃって申し訳ない。でもね、これは譲れないんだ。どうしても、何だよね。」

でんさんは、IT系の会社を経営しているひと。いくつか会社も持っているようだが、IT系を経営していることしか知らない。

彼は、田舎にいる頃建築業の父親が商売に失敗し、15歳で単身東京へ出てきて、高校も大学も自分で出た人。

田舎にいるときはモデルガンなんて買えなくて、やっとアルバイトをして、当時のマルシンのP38を購入して、その一丁を大切にメンテしながらずっと持っていた。

マルシンP38は、つい最近金型がいかれてしまって入手困難になりつつあるけど、HWも発売されており、現時点ではそれほど、入手が難しいものではない。

しかし、でんさんは、発売当初の、ロストワックパーツ満載の完成品、コマーシャルで、P38の冊子付きを探していた。

Cooper「では、ものを確認していただけますか?これ通常ルートで仕入れたんですが、箱が違っていて、私も手元にあることを忘れていました。一応当時の箱は手に入ったので雰囲気だけ楽しんでください」






でん「マスターありがとう。」

でんさんは紙袋から箱を取り出した。マルシンのグリーンの箱は、擦れて白くなっている部分がかなり多い。

Cooper「すいません。箱がどうしても。。。。あとABSの未発火は手に入れることができませんでした。その代わり、完璧にレストアして、ABSは可能な限り面だしして仕上げてます。このスチールハンマーはサービスで」

でん「え?そんなパーツ出てたの?」

Cooper「いえいえ、ほら、当時はモデルガンの設計できる人は限られていたでしょ?なので兄弟からの移植」

にやりと笑う私。

でん「兄弟?」

Cooper「そう、兄弟。実は工具箱に残っていました。MGCのMJQのハンマーです」

MJQとはMGCが規制直前に、突然なんの前触れもなしに、発売した金属P38のブローバックモデルガン。いまだに謎の多いモデルガンで、スチールハンマーといった時点でMGCナイズされていないな、とは当時を知るマニアの話。これも修理を何度もやっているが、感想としてはマルシンに多大な影響を与えてるように見えるモデルガンだ。

まぁお父さんが一緒だからね(^^)

でんさんは、箱からP38を取り出す。







完成品のP38は刻印に濃いブルーが入れられており、ワンポイントでそれとすぐわかる。

でん「。。。うん、うん」
涙目のでんさん。スライドを引く、スライドストップがきく。マガジンを抜く。

ショートリコイルの動きを目で追う。一口、白州のロックを口に運ぶ。

そんなことを繰り返す。

たかがものだ。

なのかもしれないが、そのものが、人の記憶を再生する再生装置なんだ。

でん「きれいだね。。。。マスター」

薄いランプの光にかざしつつそんなことをでんさんがつぶやく。

でん「!!!!!!」

でんさんの表情がみるみるかわる。

でん「マスター、ありがとう、、、、ありがとう、、、」

大粒の涙がでんさんの頬を伝う。

Cooper「たしか、こんな感じでしたね」

実は彼の思い出のP38 は何度か見ているのだ。

コマーシャルのグリップに打刻したような跡があった。

その傷は、当時でんさんが嬉しくて、ジーパンに突っ込んで外にでたとき、雪の上に落としてしまったときについた傷。

たまたま雪の下にスコップがあって、傷がついていたのだ。

でんさんはしまったと思ったそうだが、やがてそれが思い出のひとつなんだということでグリップはかえていなかった、そのことをよく目を細めて私に話してくれたのだ。

そして、私は記憶を頼りに、その傷をわざとつけたのだった。

でん「。。。。ありがとう。。。ありがとう。。。。」

私の手を握ってポロポロ涙を流すでんさん。

Cooper「よかった。でんさん、一応新品のグリップも用意してあります。これです」

私はカウンターの下からコマーシャルのプラグリップを出した。

でん「マスター、ありがとう。でもね、これ、これこそが俺のP38。あの田舎の風景。逃げ出したかった地元。閉塞感しかなかった地元で掴んだ希望だったんだよ。。。。だから、このグリップはいらないよ」

私はグリップを裏返して、でんさんの前においた。

Cooper「そうおっしゃるとおもっていました。違うんです。ほら、見てください」

私はグリップを指差す。

でん「え?これって。。。?」

Cooper「これ実物のグリップなんです。だから、ドレスアップしたくなったらこれに交換してみてください。たまに気分を変えて、
これはサービスいたしますので。
格好いいですよ」

無言で頷きながらでんさんは、ぽつりぽつりと話し出す。

でん「マスター、俺ね、もうこの年齢だから、人が集まるのはだいたい、葬式なんだよね。寂しくなっちゃってさ。この間も、一緒に仕事を初めて独立した人間が癌で逝っちまったんだ。葬式で、奥さんと子供見るとさぁなんとも言えない気持ちになったんだよ。
俺も、人生のゴールテープが見えてるんだと思ってる。
だからね、いわゆる終活をっておもって身の回りの整理を始めたんだよ。」

でんさんはここの常連のあいだでも、有数のコレクターとして有名。

ある日全部処分したと聞いた。

でん「おもちゃの鉄砲なんだけどさ、一丁一丁いつ買ったとか大体覚えているんだよね。上野で買って、喫茶店の丘(MGCの直ぐ側で未だに70年代バリバリの喫茶店)や渚、王城で、コーヒーしか飲めなかったけど、そこで我慢できなくてモデルガン取り出してさぁ。。。。」

でんさんは遠くを眺めるように、P38を構えていた。

でん「でもね、処分しても、これだけはまた手元にほしかった。俺が墓場に持っていくのはこいつなんだって思ったんだよね」

でん「いつかった、いくらかかった、なんてデータが蘇るんじゃないんだよね。パッケージ見た瞬間、当時の記憶じゃなくて、気持ちが蘇るんだよ、マスター」

でんさんの顔は、涙と鼻水でぐしゅぐしゅだ。

Cooper「でんさん、わかりますよ。なくしたときの落胆したすがた、私今でも覚えていますよ。もうそのものは手に入らなくても、なんとかしたい、と私も思っていましたから」

でん「だれもね、わかってくれない。でもね、すごく大切なんだよね。いまの自分を鏡を見ると誰だおまえ?って自分でも思う。じじーになったなぁってね。
でもさ、このP38 をもって構えると、おれ15歳の上京するときにもどるんだよ。駅のホームにクラスメートがたくさん来てくれてね。。

そりぁまだ子供だもんな。荷物なんてみかん箱一つですんだんだよ。
そこに入れていたP38。東京で真っ先に箱から出して握ったんだよね」

でんさんは、笑顔になる。

私は、なんだか目の前のでんさんが、学生服を着た中学生に見えてきた。

Cooper「しかし、いまや起業家。すごいじゃないですか」

椅子を座り直して、私の正面を向くでんさん。

でん「マスター、おれ来年さぁ会社は全部人に譲ろうと思ってるんだ」

Cooper「え!?引退なさるんですか?いやまだ早いでしょ。50代で」

でん「いやいや、もうやり尽くしたんだよ。人生長さじゃないんだなって。このP38手に入れて決心ついたよ」

そして、でんさんはまたP38を構える。

フロントサイトの先は、きっと故郷の雪景色。

師走。年内の最後にやり残したことが完了してよかった。と思った。


結局でんさんは、翌年の3月に、引退して、故郷の北海道へ帰っていった。

しばらくすると、葉書がとどいた。P38をかまえ、家族と写った写真付きの葉書。

でんさんは、P38を握りしめて、にこやかに写っていた。

こんなバーでも人の役に立つことがあるんだね。


毎年、31日になると、おもいだす、でんさん。

今年もP38を握りしめた年賀状が楽しみだ。


さて、毎年朝まで営業しているけど、今年は早仕舞い。久しぶりに紅白でもみて、餅を食って寝よう。

実は、私は大の甘党。バーやってるのに酒が弱いのだ^^;


それでは、皆さん良いお年をお迎えください。





to be continued・・・・・・







トイガンバーBrenへようこそ
 
ここは、ある路地にある古いビルの地下にあるBARその名は「Bren」
 
私はマスターのCooperと申します。カウンターだけの小さな店ですが、トイガン、サブカル好きが夜な夜な酒を片手に、トイガンとサブカル談義をする、あの世とこの世の中間、そんなBAR
 
今宵はどんなお客様が来店するのでしょうか。。。。。
 
開店前は、掃除だけではなくて道具の手入れや確認をするようにしている。
 
 
包丁は自分で研ぐ。これはナイフを手入れしたいた名残でもあるんだ。
 
Bachの110なんかは研ぎべりするまで使った。
 
うちはBARなんでそんな難しい料理は出さないけど、道具はちゃんとしておきたい。
 
研いだあとの刃物は鉄の匂いがするので、必ず閉店後にといでいるが、この包丁はいわばついで。
 
実はちょっと研ぎにくいものを預かる予定
 
ガーバーフォールディングハンター。
 
ガーバーは古いメーカーだが、素材の研究には余念がない。
 
ハンドル材も単にナイロンを使うのではなくて、色んなものを取り入れてきた。
 
刃物の材料もしかり。
 
フォールディングナイフのロック方法もいくつもユニークなものを提供していた。
 
ボルトアクションや、ポールナイフなんかはその代表格だろうね。
 
特にハイスピード鋼を使ったナイフは結構あって、有名なのは、作家の大藪春彦氏が自身のハンティングでこのフォールディングハンターを使っていた事で有名になった(いや結構ナイフ自体も有名だったけどね)
 
大藪春彦氏の話によると、ハイスピード鋼は一度研屋だしたら、削れないって切れられたって話が有名だ。(いやいや、切れなくなって研ぎに出したら研げないって切れられるとか、ネタかと^^;)
 
ハイスピード鋼は、ジェットエンジンのブレードに使われているそうで、めちゃくちゃ硬い。
 
グラインダーで削っても鉄やステンレスのように火花が出ず、粉が出るだけでその粉も、グラインダーのはが負けて出ている粉らしい。
 
とりあえず、包丁を研いでウォーミングアップとしたのだよ。 
 
いや、まじで硬いのね。
 
さて、現物は持ってくるということなので、あとは開店して、彼女をまつのみ、だ。
 
 
カラン!
 
Cooper「いらっしゃいませ。あ、まりさん」
 
まり「ごぶさた〜。おとさんのお葬式いらいね」
 
Cooper「そうでした。もう3年ですか。早いですね」
 
まり「そうね。しかし、マスターは年取らないの?」
 
私の顔をまじまじと見つめるまり。
 
Cooper「いえいえ、もうそりゃ大変ですよ^^;」
 
まり「そうね、年を取らないのではなくてもともと老けていたんだよね」
 
悪戯な表情のまり。
 
Cooper「そうそう、お父さんのナイフ。見せてもらえますか?」
 
彼女の父は、ここの常連で、まりは商社務めの父親と一緒にたまにきていた、私がカウンター内で、Bachの100を使っていることから、よくナイフの話をするようになった。
その時、ガーバーのフォールディングナイフの話になって、
 
まり父は、海外赴任の経験も多く、ナイフこそ、人類が手にした最高の道具だというのが持論で、このフォールディングハンターは数カ国一緒に旅をしているらしい。
 
5年前・・・・・
ナイフマガジンを眺めながら、
Cooper「やはり、フォールディングハンターは美しいですね。使うのがもったいない」
 
まり父「そうそう、俺も実はハイスピード鋼のをもっている。俺はナイフは道具だからじゃんじゃん使ってるけどね」
 
フォールディングハンターはハイスピード鋼のモデルと440Cのがラインナップされている。
 
まり父のはハンドルはデルリンという樹脂のもので、ドールディングハンターといえば、ウォールナットにチェッカーというものだが、デルリンは、経年変化がしにくくナイフの寿命が長いことを考えれば、選択としては、間違っていない。まぁハンドルなんて自分で交換できるんだけど。

 
まり父がなくなって遺品の整理をしていたときどうしてもその思い出のナイフが見つからなかったらしい。
 
しかし、家の道具箱の中にあったらしく有言実行、まじで使っていたそうな。
 
もったいないなぁと思いつつ、その考え方は好きだ。
 
まり「でね、ちょっとひどい状態なの。みてくれる?」
 
現物を見るまでは、本当にハイスピード鋼かどうかわからないなと思っていたが、なんとブレードが錆びてる。。。。

 
おまけに、ハイスピード鋼の証である、ヒルト側の、HSの文字がサビで見えないと来たもんだ。
 
 
 
Cooper「これ。。。。むむむ。まりさんはどこまで仕上げれば満足しますか?」
 
錆びたナイフを眺めながら、(なんかそんな歌がありそうだな^^;)
 
まり「そうね。。。父のように使えるところまででいいわ」
 
まぁ実際多分ハイスピード鋼だと思って準備はしていたので、問題ない。
 
Cooper「少しさわらせてください」
 
これ、いろんな加工の経験者はわかってくれると思うのだけど、触ると大体の金属の種類がわかる。
 
そして、これ、ハイスピード鋼だな^^;
 
Cooper「わかりました。数日いただけますか?」
 
さて、こいつはどう仕上げようか。サビも出ている。
 
ハイスピード鋼は、実はステンレスから見ると格段に錆びやすい。
 
なのでガーバーもバフがけ後クロームメッキをしてから刃をつけていた。
 
Cooper「つけた刃にサビが出ているけど研げばなんとか。」
 
その夜、閉店後時間をかけて研いだ。
 
砥石も使ったが意外にもセラミックシャープナーが使えた。
 
思い出のナイフ。
 
喜んでもらえるかな。
 
そのうち完全分解して中もきれいにしたい。
 
まり父「道具はつかってなんぼ」
 
みにしみた。。。。。
 
 
 
 
 
to be continued・・・・・・
 
 
トイガンバーBrenへようこそ

ここは、ある路地にある古いビルの地下にあるBAR

私はマスターのCooper。

地下にあるこのBARの名前は、「Bren」

トイガン好きが夜な夜な酒を片手に、トイガンとサブカル談義をする、あの世とこの世の中間、そんなBAR

今宵はどんなお客様かな。

Cooper「う〜寒いさむい!」

そろそろ店の飾りも年始向け。外の掃除を終わらせて、そそくさと店に入る。

磨き上げた一本の杉出できたカウンター眺める。

艶のあるカウンターにデュカスタン ファーザーズボトルが映り込む。 

Cooper「さて、開店だな。流石に今日は常連も家族と過ごすんだろうな。まぁ俺には関係ないけどね。」

バーテンダーはカウンターの向こう側は、立ち入らない世界なのだ。
あくまでのカウンターの内の住人。

カラン!

Cooper「いらっしゃいませ」

今年は、自粛ムードなかで、人が少なかったから客足は常連が主だった。まぁ大体暇なBARなんだがね。

しかし今日は違った。流しのお客さんが一人。軽くスピリッツ系を飲んでいる。

会長「マスター、あれある?ほら、国民はアルコールよりもミルクを飲めってやつ」

この人は店では会長と呼ばれている。どこかの中堅の建築家の会長らしい。

うちに来るときは、珍しい酒目的か、二号さん(っていまそんな言い方しないか^^;)をつれてひっそり飲む。

Cooper「あ、ファーザーズボトルですね」

いつもの女性と、締めの一杯、らしい。

女「わぁほんとだwほんとにお酒なの?」

会長「そーだよ。こんな形をしていてもだな、フランスのブランデーなんだ。ときの首相マンデス=フランスが「国民はアルコールよりもミルクを飲め」と公言したのを皮肉ったってやつよ。」

女「へぇぇ、変なの」

会長が大声で笑う。恰幅が良いから声もでかい。

会長「この皮肉こそフランスっぽいと俺は思ってるんだよ、な!マスター」

Cooper「はい、いかにも、ですね(^^)。」

ブランデーを出すと、カウンターの隅で何やら二人でちびちびやりながら話をしている。

カラン!

おっとまた客だ。

コジャック「おいマスター元気だったか。」

その男は職業不詳。年は60前後かな。だたツルツルのスキンヘッドにいつもコニャックを飲んでいるので、みんなはコジャック(今の世代は知らんだろうがね^^;)と呼んでいる。


Cooper「あらコジャックさん、久しぶり。随分ご無沙汰でした。いつものですね。」

コジャック「うん。それとお土産。」

コジャックが紙袋をカウンターへおいた。

会長「マスター、じゃ帰るわ。じゃよいお年お!」

Cooper「はい有難うございました。良いお年をお迎えください」

見送るコジャック。

コジャック「ねぇマスター、あれって会長さん?いつもの人って奥さんじゃないよね?」

Cooper「さぁ、カウンターから先の世界は私の住む世界ではないので」

コジャックは、コニャックをなめながら、

コジャック「いやちょっとおもしろいと思ってさぁ」

おもむろに、紙袋からあるものをだす。

コジャック「マスター、いっつもは鉄砲ばっかりだけど、これ好きだよね( ̄ー ̄)ニヤリ」

なんとそこには、大好物が。


Cooper「コジャックさん!!!サンダーバード2号じゃないですか!それもバンダイの亜鉛合金のやつ」


コジャック「そうよ、仕事でイタリアにいったら出国できなくなってな、暇なんで、ホテルでごろごろしててんだよ。そのホテルがさぁ滞在費浮かすのに、とおりから一本入ったところにあるホテルで、俺の窓からは、一般家庭のアパートが見えるんだよ。

そこでな、外出禁止であったんだけど、数点露天があったんだ。そこで見つけんなよ」

サンダーバードは天才ジェリー・アンダーソンが手掛けた人形劇。最初はNHKで放送された。

コジャックは、2号をもって、

コジャック「ほら、中身はないんだけどコンテナも外れてさ、見たらマスター思いだしちゃって、思わず買ったんだよ」


ニコニコしながらイタリアがいかにメシウマかを語りながら2号をいじる。

コジャックはいつも陽気で、話がうまい。ほんとはどんな仕事してるんだろうね。さすがの私も興味が湧く。

コジャック「マスター、おかわり。これさぁ、あげるよ」

コニャックを出しながら、

Cooper「え?よろしいですか?それでは大事にさせていだきます」

内心ガッツポーズ。おぉ君よ、もう何十年ぶりの再会だ。。。。

コジャック「しかし、2号持ってきたときに2号さんってさ、出来すぎだよな。じゃマスター良いお年を!!」

えぇぇ、そこかよ^^;

にこにこ顔のコジャックはこのあと2杯飲んで帰宅の途へ。

Cooper「コジャックさん、有難うございました!良いお年を!」

カウンターをきれいにして、もう今日は客は来ないかなとおもったの、早速2号を取り出して、カウンターへ置く。

かっこいい。

実は私はこの2号には格別の思い入れ、いや執着があるのだ。

ときは昭和40年代。ちょうどこの時期、母親が年末の買い出しに向かうので、小さな弟と留守番をするように言われた。

華やいだ街に行きたいといったが流石に荷物もあるし、小さな弟を連れての買い物は無理だからと。

しかし、欲しい物を買ってきてあげるということで、当時永代グリップのサンダーバード2号をお願いした。

母親が帰ってくるまでのあいだ、もうスキップしたい気持ちで、1時間おきくらいにベランダから母の姿を探したくらいだ。

待ちに待った、母親の帰宅。駅前のデパートの包を渡された。歓喜しながら袋をあける、もうもどかしい。

しかし。。。。。。。


そこにあったのは、サンダーバード3号。

Cooper「えぇぇぇこれ違う!!!!」

半泣きで母に訴えると母の謎理論がはじまった。

母「お母さん見たけど、あれ、あんなカエルみたいのどこがいいのさ。こっちのほうが格好いいでしょ」

私は抗議したが当然受け入れられるはずもなく。3号が机に鎮座していた。

いや、ガンプラを買ってきたと言われてマルイのガンガルであれば、これじゃない!!って暴れるところだかが、おしいのだ。実に惜しい。

サンダーバードはあっているし3号も嫌いじゃない。

しかし私は2号がほしかったのだよ。おまけに、大好きな2号をカエルと侮辱までされた^^;

それからというもの、サンダーバード2号は自分の中では超特別な存在になってしまったのだった。


Cooper「うぅぅ寒いと思ったら、雪か。。。。」

雪の降る中、大きな荷物を抱えて帰ってくる母の姿を思い出しながら、この2号をどうしようかと考える。

その母も、いまや80超えだ。まだ母親節は健在。

そういえば親孝行してないな・・・・などと思いながら、2号をそっとファーザーズボトルの前においた。。。。。





地下室のあれ、そういえば、、、あのお客さんだよな。欲しがっていたの。

今年は31日まで営業だが、くるかな。そしたら、上物が見つかったよと彼に伝えることができる。

珍しくはないそのトイガンだが、父親が事業に失敗して貧乏だった彼は田舎で自分のアルバイトで買ったもの。

上京してもずっと持っていたのだか、紛失してしまったのだった。

さてさて、どんな話になりますやら。










地下に降りてその箱をとりだすと、裏にエアパッキンに包まれたものがでてきた。

これは、いつものトイガンルートで手に入ったものだ。

Cooper「まぁこれも話のネタにレストアするか」


BAR Brenは明日31日にまで営業です。


to be continued・・・・・・



世の中は師走、慌ただしいですね。さて、ここは、ある路地にあるBAR

私がマスターのCooperです。地下にあるこのBARの名前は、「Bren」
トイガン好きが夜な夜な酒を片手に、トイガン談義をする、そんなBAR

今宵はどんな話をしましょう。



入口が開く。小柄な男はまっすぐカウンターへ歩み寄り、帽子をとった。

Y「マスター、久しぶり!」

その男はYは私の十代からの親友。私がガンショップで修行をしているころ、彼もカスタムを持ち込んで、年下ではあったが筋のいい男だった。
正直どうでもいいガンがすきで(GM2とかハイパト)何故かそんなこんなでもう40年近く付き合っている。

Cooper「あれ?珍しいじゃない。帽子どうしたのww」

Y「へ?なにが??」

Cooper「。。。。。似合わねえから^^;」

Y「変な格好日本一なんだよ、俺」

Yとのキャッチボールはいつもやつは斜め上すぎて、あまり笑わない私がツボに入ってしまうことが多い。

Y「とりあえず。。。。」

Cooper「ビール?」

Y「いや足が痛くなるんだよ」

お互い年をとったなぁw。

Y「じゃジントニックで」

やつは飲み始めると、すぐにガンの話題。

Y「マスター、なんか面白いもんないの?」

ほらきた。

Cooper「そうだなぁ。。お!そういえばこんなものが」

私はカウンターのコースターの脇に、カートリッジをおいた。


Y「なにこれ?45の空ケース?」

Cooper「いやいや、よく見てよ。ケースの裏はインターが入ってないし、GM2のカートから見ると、内径がでかくない?」

Y[あ、、、もしかしてさ、いやでも現物見たことがないからな・・・」

私はカウンターの下に隠していたABSのコマンダーを取り出した。


Y「なにこれ?すげーどこの?」

Cooper「おいおい、最近のトイガンを見慣れてわすれちゃったか?スズキだよスズキ。」

Y「なつかしい!!今見ても格好いいな。」

Cooper「まぁマルシンが手に入るし、いまはHWにセンターファイヤー、でエキストラクタも一本物で、動きも断然いい」

Y[でもさぁかなりシャープだね」

Cooper「金型がまだ新しいからね。そうそう、俺達が出会った頃、まださぁガバメントといえばGM2の頃だから40年近くたっているよ」

Yがコマンダーを手に取る。スライドを引く

ジャキジャキ!!!!

Y「うわぁぁ油切れジャネーノ?」

Cooper「いやいやこんなもの。たまにあたりがあったけど、当時はだいたいレコイルスプリングガイドが動いたり、プラグが回ったりしてるからスプリングのあたりでない限りはこんな動きだったんだよ」

Y「へー、でもさマスターがいたショップはそんなことなかったじゃん」

Cooper「・・・・一応カスタムショップだぜ、そりゃそのあたりは調整済。あとはロングれコイルスプリングガイドをいれるのが流行っててあれが実はすごく調子を上げたんだよ。かっこいいだけじゃないのさ」

Yはがちゃがちゃするのに飽きて、今度は分解を初めた。

Cooper「さすが手慣れたもんだな」

Y「バカにしてんのか?wガバとチーフをバラせないやつは、犬の糞でも踏んでしまえってもんさ」

Cooper「さて本題。バレル抜いてみな」

Y「OK」


Yは手慣れた手付きでプラグ、トップリングを外してバレルを抜いた。

Y[ほぉぉぉこれあれだ!スパーブローバック!!デトネーターでか!!!これガス抜けないーよな。」

某カスタム工房が発売したのがこのスーパーブローバック。

当時はマルシンが閉鎖系のカートリッジ、プラグファイヤーカートリッジを発売して、初期型ワルサーP38、ブローニングハイパワー、NEWP38と破竹の勢いだった。

マルシンは旧アサヒイーグルや中田商店の金型を改装して次々とABSモデルを発売して、快調なブローバックを実現していた。

MGCのオープンとネーターはとてもシビアで、キャップ火薬が登場していたが、まだまだマニア向けだった。

はじめこそガス抜けが全くしない構造のカートリッジのため音が全くせず、下宿モデルと揶揄された。

しかしNEWP38ではプラグの形状がすり鉢状になり、キャップ火薬のケースに穴を開けるというもので、ガス抜けもよく大ヒットしていた。

後にMGCがGM5を発売するまでは、なんと上野の日章ビルのMGCが閑古鳥で、マルシンの直営店のレプリカが客がごった返すほどだった。

Y「これどうしたの?未発火だね」

Cooper「ちょっと新しいルートができてね。最初はABSのノーマルコマンダーということで仕入れたのだけど、スライドを引いた瞬間びっくりしたね。未発火、それも初期型だ」

Y「え?違うの?」

バレルを覗き込みながら、

Cooper「いや、形状は微妙に違うところはあるけど基本的にはおんなじ。カスタム工房がひどくてね。。。。後半は、カートリッジが入らないデトネーターを納品してきた^^;
そんで、ショップで店員総出で、紙やすりで削って調整したんだよ」

Y「やスターもやったの?」

Cooper「おう!やったぜ。かなり気を使ってな!だって結構シビアなブローバックシステムなのにとりあえず入るようにして販売するってひどいよな」

実に調整が難しいのがこのスーパーブローバックだ。

売れるには売れたのだが、カートリッジのリピーターがいないことが調整の難しさを物語る。

Cooper「Yさぁこればらしたことある?」

首を横に降るY。タバコに火を付ける。


私は、精密ドライバーでデトネーターを外した。

ベースはバレルに残りちょうど半分くらいが外すことができた。

Y「なにこの真鍮のパーツ?それとバネ??」

そう、スーパーブローバックの特徴は、オープンカートリッジの弱点の一つ、チャンバーにカートリッジを送ったときの暴発防止に真鍮のストッパーとバネが入っているのだ。

Y「なんかすごいね、この発想」

Cooper「まぁ当時はまだ平玉のブローバックの経験者が沢山いて、暴発が常に頭をよぎるマニアが多かったんだよ。たぶん、このカスタム工房の社長が思いついたんじゃなくて、マニア同士の些細な会話から生まれたんじゃないかなって話を良くしてたよ」

Y「でさ、よかったのこれ??暴発とかGM2でもあんまなかったよな?」

Cooper「そうキャップ火薬が普及し始めて都内では普通に買えたし地方でも大都市では手に入ったから正直暴発を気にする人は減っていたし暴発自体も減っていたんだよ。だから暴発防止という観点ではほぼ意味無し」

Y[なんだよ、いみねぇぇ」

Yは新しいタバコに火をつけた。

Y[ふぅーーーってことは外しても良かったわけ?」

Cooper「実はそうでもない。チャンバーにカートリッジが入るとピッタリとカートリッジの口をこのストッパーが塞ぐ。発火したときデトネーターはある程度のクリアランスがあるから、要するに多少マズル方向におもらししながらカートリッジが後ろに下がるんだが、ほんの一瞬カートの口を塞ぐことでこのおもらしが一瞬とまって高い圧力が生まれる。」

Y「ましか!!すげぇぇてんさいじゃん!!!」

Cooper「・・・・・って思うんだ^^;」

Y[[なんだよーーーー、わりーけどもういっぱいくれる?」

次はジンリッキー。

Y「結局さ、こんな大層なシステムで動いたわけ?」

Cooper「実はね、結構調整が必要だったのだよ。ただ、PFCが全く動かなかったのに比べて、発火さえすればちゃんと動いた。カートリッジが軽いからアスファルトの上で打つとエンプティケースの音が最高だ」


Y「ひゅーーそりゃいいね。調整って何が大変だったの?」

Cooper「そりゃもうさぁ大変なんてものではなかったのだよ。
まず、MGCがキャップだとパワー不足、で、当時のマルシンのパワーキャップは若干パワーが上だったので、パワーキャップを使うと動くのだけど、キャップを収めている凹みがMGキャップのサイズでブローバックするとキャップが飛び出してジャムる。
結局二択で、パワーキャップを瞬間接着剤で貼り付けるかMGキャップをほぐして2粒で、その代わりデトネーターを削って暴発しないようにしないといけないかしか方法がなかったんだよ」

びっくりした顔のY.

Y「え??いみねえぇww」

調整方法は、デトネーターを若干短くして、MGキャップを2粒、これも、MGキャップにホブしたMGキャップをプラモデル用の接着剤で貼り付けて、そのキャップをカートリッジに詰めるというやり方。


Y「じゃ動くには動くのか。でもマズル側にあんなでかいストパーがあったんじゃ音も、マズルフラッシュも期待できないのかな?いや、オートだからマズルフラッシュはむりかw」

Cooper「いやいや、実はキャップ2粒なんで、3cmくらい昼間でも見えるくらいのマズルフラッシュが出たんだ。
ショップの常連はみんなんこの方法を知っていたからバンバンうって遊んだ。そのうち、もっとデトネーターの径と、カートの内径をボーリングしたやつが現れて、リボルバー並みの音で、あれはすごかったなぁ。最初からあれで出せばすごいシステムだったのにね」

Cooper「一応な、西○警察の現場に持ち込んで、○ひ○しさんにうってもらったりとかしたらしいけどね。あれでプロップはありえないけどねww」

Y「なるほどね。。。当時は興味あったけど買えなかったんだよなぁ」

Y「マスタ、じゃこれ買うよ」

Cooper「ありがとうございます〜ただし、カートリッジが数発しかないよ。いいの?」

Y「今はうちてぇって思ってるけど酔いが冷めたら、きっと昔を懐かしんでおわりさ」

紙袋に入ったコマンダーを持ち帰ったYは知人の機械加工屋にカートとデトネーターを作ってもらった改良型をつくり、BARに持ち込むのはこのずっとあとの話。
            ・
            ・
            ・
            ・
            ・
            ・
            ・
おっと樽のビールが切れたようだ。

私はが更に地下に降りると、階段の下に見慣れた箱が。

Cooper「おや?何だこれ?あれ?こんなんあったっけ?っていうか当たり前過ぎて、わすれてたwwこれも在庫か」


to be continued・・・・・・