月日は百代の過客にして、、、
松尾芭蕉は、深川から奥の細道に旅立った。
芭蕉庵を引き払ったあと、女の子がいる家族が住んだようだ。雛壇を飾るかつて自分が住んでいた芭蕉庵。
いま、新しい年を迎え、春霞の空の下、白河の関を越えよとそそる神に誘われて心は乱れ、道祖神にも取り付かれて手舞い足踊る始末。股引の破れをつづり、旅笠の紐を付け替えて、三里に灸をすえてみれば、旅の準備は整って、松島の月が脳裡に浮かぶ。長旅となることを思って草庵も人に譲り、杉風の別宅に身を寄せて、
隅田川を船で上り、千住大橋のたもとから奥の細道に旅立った。