テントを背負って歩いた数日間は、すごく面白かった。時々テントで暮らすことは大切なことなんだと、改めて感じた。

 

 乗鞍ヒルクライムに出場した後、上高地に行こう。上高地に行くのなら槍ヶ岳に登ろうと思いついた。槍ヶ岳は学生時代以来40年ぶりだな、っていうか、学生時代に登っていなければ、今回の登山も思いつかなかっただろう。当時は横尾まで自転車で乗り入れ、横尾から雨具と食料を持ち1日で往復したが、今回は山と高原地図のコースタイムを参考に計画を立てる。槍ヶ岳下山後も涸沢あたりまで足を延ばしたいと思い、4泊分の装備を持ち込むことにした。ただ、台風10号の影響を避け、ヒルクライム大会の後ではなく今回の機会になった。

 

 テント・シュラフの類は持っているが、装備を詰めるザックは30リットルのものしかない。着衣は雨濡れ用の予備を持つだけで、着たきり雀作戦だ。高所でのテント泊を考えるとある程度の防寒着も必要だ。食料はフリーズドライを軸に、サバのレトルトパックを蛋白源とし、高野豆腐、乾燥わかめ、乾燥大豆ミンチをみそ汁に追加しよう。あれこれ考え50リットルのザックを準備した。泥縄式に応えてくれる強い味方はモンベル通販だ。ヘルメットもポチっておいた。

 

 東海北陸自動車道で高山・平湯温泉を経由し、あかんだな駐車場でバスに乗り換える。15時過ぎに河童橋に到着し、歩きはじめる。可能であれば横尾まで行きたかったが、徳澤到着が17時になったので、徳澤園のきれいな芝生にテントを張ることにする。

 

 

2日目は6時過ぎに出発し、横尾、槍沢と歩く。槍沢までは深い緑の中を通る気持ちの良い道だ。

 

 槍沢を過ぎいよいよ勾配がきつくなり、足元もガレてくる。まだまだ食料がいっぱい入ったザックは重く、肩の負担が大きい。1時間に1回は休憩しようと思っていたが、結局もっと頻繁に休憩を取ることになる。

 

 前回歩いたのが40年前で、道中ほとんど記憶がなかったが、天狗原分岐を過ぎた九十九折れあたりで何となく既視感が出てきた。明瞭な記憶ではないが、ちょっと懐かしい感じだ。

 

 播隆上人が滞在したと言われる岩屋から見上げると、槍ヶ岳や殺生ヒュッテが見え、すぐに行けそうな距離に見えるが、さらにそこから1時間歩く。

 

 お昼過ぎ12時40分に槍ヶ岳山荘に到着。キャンプ場の申し込みを済ませ、テントを張ったのち山荘でコーヒーをいただく。ご所望であれば生ビールやクッキー、プリンまでいただける。

 ヘルメットをかぶり、水、カメラをサブザックに入れ槍ヶ岳山頂へ向かう。ガスっており周囲を見晴らすことはできなかったが、高揚感を感じることができた。

 

 

 テン場は西鎌方面に開かれており、稜線が美しく見える。限られたテン場の4~5割程度はテントが張られた状態だ。高所でテントを張るのは初めてで、強風にあおられることが怖く、ガイラインをすべて張ったが、時々雨が落ちる程度で穏やかな夜だった。

(手前のオレンジ色のテントが僕のテントです)

 

 翌朝は日の出前から起きだし、槍ヶ岳山荘のテラス周辺から周囲を見渡す。日の出を槍の山頂から見ようとする登山者のヘッドランプの白い光がゆらゆら揺れて見える。

薄青い空に雲海が広がり、朝陽が徐々に広がっていく。

 

 

 日の出を堪能し、テントに戻りご飯を食べて出発支度を済ませる。東鎌方面に下り殺生ヒュッテを経由し槍沢を目指す。東鎌は結構な岩稜で、ヘルメットをかぶり下っていく。

 

 昨日登りの時に見た風景が、次から次に過ぎていく。槍沢の少し前あたりから湿った草木の香りが漂い始める。徳澤園まで帰り、緑の芝の上にテントを張った。

 

 翌金曜日、明神まで下ると人が多く驚いた。今日有休を取ると4連休になることからくる人出だろうな。僕は右ひざの痛みもあり、河童橋まで下りバスに乗り込んだ。

 

240911_徳沢~槍ヶ岳山荘 / うみかもめさんの登山の活動データ | YAMAP / ヤマップ

240911_槍ヶ岳山頂 / うみかもめさんの登山の活動データ | YAMAP / ヤマップ

240912_槍ヶ岳~徳澤 / うみかもめさんの登山の活動データ | YAMAP / ヤマップ