子供向けの絵本で「大ピンチずかん」という絵本がベストセラーになっている。大ピンチといえば、車に関しても結構ある。ということで、今回の鬼地街~は、車版大ピンチ図鑑を紹介。

 *クラウン・ロイヤルシリーズ(140系)

 ライバルのセド/グロに対し、クジラを除き、セールス面で常に優位に立っていたクラウンであるが、この140系のロイヤルシリーズは、Y32のセド/グロのグランツーリスモの人気に押され、苦戦していた。そこで、マイナーチェンジで、リアセクションを中心に大幅なデザイン変更を行った結果、見事にセド/グロの猛追を引き離すことに成功したのだ。

 *セルシオ(20系)

 初代の10系のデザインを大きく引き継いだ20系であるが、見栄えに変化が少なかったこと、コストダウンを進めた結果、どことなくチープに見えたことから、苦戦し、Y33シーマにも販売で苦しむという結果になってしまった。そこで、後期モデルでは、フロントセクションをデザインし直し、エンジンも大幅にパワーアップ、ATも4速から5速にバージョンアップした結果、再度ヒットすることに。

 *サニー(B14)

 全長を従来モデルとほぼ同じまま、ホイールベースを10センチ伸ばした結果、ダックスフントのような恰好になり、リアデッキも短くなってブサイクなデザインになり、コストダウンを進めたことにより、軽自動車よりも劣る質感となったことから、セールス面で苦戦を強いられることになった。そのため、日産は、翌年デビューしたN15パルサーでとりあえずはその場をしのぐことにした。N15パルサーのセダンは、当時ヒットしていたP10プリメーラのデザイン要素を取り入れたこともあり、サニーのピンチを救うことに成功した。当のサニーはその後のマイナーチェンジでリアセクションをデザインし直して、何とか回復した。

 *RB25DET

 トヨタの1JZ‐GTEに対抗するように1993年に投入されたが、投入当初は、RB26と性能の差を出すために、高圧縮でローブーストというコンセプトのエンジンに仕上げたが、1JZに対し、軽く引き離されたばかりか、ホンダのB16Aとのガチバトルでもあっさり負けるほどの鈍足ぶりだった。そのくせ燃費は1JZよりも悪く、保険料も割高という三重苦であった。そこで、可変バルタイをトヨタのように無段階で変更できるように制御し、圧縮比を据え置きながらタービンを変更し、ブーストを上げた結果、なんとか1JZに食らいつくところまで性能を向上させることに成功した。この、通称NEOターボエンジンは中古のエンジンにおいてかなりの高額になっている。

 *アプローズ

 それまでのシャルマンはトヨタの旧世代のプラットフォームを使用したものであったが、アプローズはダイハツ独自のプラットフォームを使用というダイハツにとっては悲願ともいえるセダンであった。しかし、デビュー当初に車両炎上トラブルが相次いだことから、危険な車というレッテルを貼られ、不人気街道を爆走することになった。ただ、そういうトラブルがなくても、ミラと間違うようなフロントマスク、日本人に拒絶反応の強い5ドアHBいうのもピンチの要因になった感アリ。

 また次回お会いしましょう。