国松の元で育ったコックはたくさんいると思います。
今ではちゃんといっぱしのことを口にするようになった子もいるようです。
いつまでも、「出来なかったら怒られるんじゃないかなぁ…」
なんて言ってるようじゃ悲しいですからね。
ちょっと嬉しかったりします ^_^
今は一人だけそばに置いて指導しています。
もう10年の弟子です。
毎日苦しいでしょう。
たぶん、もう世間様にお出ししても
恥ずかしくはない十分な腕は持っていると思います。
だけど、それだけではお客様に失礼です。
小さな頃、
おふくろの作ってくれた、
自分のために作ってくれた
焼き魚と味噌汁と、古くなったぬか漬け。
自営のお仕事だったから忙しかったでしょうに。
本当だったら、手を抜いて出前を取っても良かったのに。
それでも、国松には作ってくれました。
そのあともまた、休む間もなく夜中まで仕事をしていました。
自分の食事は真夜中でしょう。
日曜日も仕事、仕事。
おいしかったです。
あの頃はあんまり思わなかったけど
今になって身に浸みます。
料理って、愛情の表現なんだって思います。
口に出さなくても
時間が経っても、伝わることってあるんだなぁって。
それが、どういうことなのかって。
それに気付いたときから
料理が変わった気がします。
プロですから、
おいしいのは当たり前。
職人ですから、
時間を超えても、表現出来れば
とっても嬉しいです。
だから、料理に迷った時は
おふくろさんの料理を思いだします
苦しい時も
辛い時も
楽しい時も
うれしい時も
国松の体は、おふくろさんの料理で作られましたから。
離乳食もあったでしょう。
質素な食事もあったでしょう。
インスタント食品もあったでしょう。
特別な日の豪華な食事もあったでしょう。
でも、それらも全部おふくろさんが
くにまつの為だけに作ってくれました。
今こうして「料理」を仕事にするようになって
「料理」というお仕事に誇りを持つようになって
あらためて、「料理」というものを
かみしめたいと思っています。
ですから、弟子に対する
国松の心情は常に
「何かを感じられるまでがんばれ」です。
やるもやらないも
すべて自分です。
今に満足しても良し。
今じゃ不満だと先を目指しても良し。
逃げ出しても良し。
暗中模索。
自業自得。
お先真っ暗なんて素敵じゃありませんか。
真っ暗だから、何にも決まってないんです。
不安はあります。
でも、それと同じくらいの希望もあります。
真っ暗闇は希望にあふれているんです。
誰かの言うとおりにしなくて良いんです。
誰かの作った道なんて面白くないでしょ?
「僕の通った後ろに、道は出来て行く」
ですから。
苦労はするでしょうが
誇りある、頑張り甲斐のある「職人」ですから。
byくにまつ