グリスについて色々お勉強してたら長文になってしまいました(;´Д`)
※内容は個人的な意見を含みます。
1.自転車に使うグリスについて
自転車のベアリング部分は、快適また安全に走るためにとても大事な所です。
ホイール、ボトムブラケット、ペダル、ヘッドセット、プーリーなどがそうですね。
走行中故障すると危ない所でもあるので、
グリスは適したものを使い、定期的に点検や補充・交換することが肝心です。
<グリスは何からできている?>
グリスは
・ベースオイル(基油)
・増ちょう剤(固めるもの)
・添加剤(潤滑剤・極圧剤など色々)
の3つでできています。
例えば、リチウムグリスは増ちょう剤がリチウム、シリコングリスは基油がシリコンオイル、モリブデングリスは添加剤にモリブデンが配合されている…という具合です。
基油の「粘度」とグリスの硬さを表す「ちょう度」とは別のもので、ふつう、高回転向けの場合は基油の粘度を低く(柔らかく)グリスのちょう度を硬くします。高温や高荷重向けの場合は粘度を高くちょう度は硬くします。
グリスはオイルに比べ長期の潤滑ができるのが特徴。
グリスに使われる成分は数多く、使用環境や用途に合わせて配合されるので、グリスの種類は膨大です。
なのでグリスの選定はとても大事です。
<自転車のグリスの使用環境>
自転車のグリスの使用環境は、
1.高温ではない(外気温なので)
2.高回転ではない
(ベアリングの許容回転数の1/20以下)※1
3.荷重は低い
4.雨や湿気、ゴミなどの影響を受けやすい
5.ベアリングは小型サイズ(精密)
になると思います。
一番回転数が多く荷重を受けるのがホイールハブですが、工業的には乗用車のハブでも低荷重の分類で高回転ではないので、自転車にはそれほどシビアなグリス性能は必要ないです。
ちなみに700cのタイヤは普通乗用車のタイヤと同じくらいの直径なので、速度が同じなら回転数は同じくらいです。
(時速30kmで約240rpmです)
ただ、自転車は雨や湿気の影響を受けやすく各部の防水はルーズな面があるので、グリスには耐水・防錆性が必要になったり、防水やシール的な使われ方が求められます。
簡単にまとめれば、4の水などの侵入や錆、5の取り扱いを注意していれば、機能的には長寿命が期待できるということになると思います。
なので、ママチャリなんかは10年以上ノーメンテで乗っていることも多いんじゃないでしょうか?
でも錆びて壊れると高くつくので、早めに点検やグリスアップをするに越したことはありません。
※1 MAVICのホイールに使われている規格のベアリングで計算
(許容(限界)回転数が一番低いリアの6903で22,000rpm NTN製)
<グリスのメンテナンス>
ロードバイクなどのスポーツや趣味に使う自転車は、常に状態を良くしておきたいので、普通の自転車よりもメンテナンスしていると思います。
といっても、一ヶ月に一回、車体を分解しグリス交換が必要、というのは現実的ではありません。
多くの人が、雨でもベアリングは錆びず、1年または10,000kmに一回グリス交換すれば充分で、ベアリングは5年10年もつ、くらいの寿命を求めるんじゃないかと思います。
ちなみに、カンパニョーロのロードホイールの推奨メンテナンス間隔は以下の通り、
ハブのグリスは必ず交換というわけではないです。
車でもハブグリスは車検毎に交換しませんから、変色や変質して無ければ交換しなくて良いと思います。
汚れた所を除いて補充するだけでも構いません。
ただし、違うグリスの混合はNG。
2.自転車のベアリングとグリスの性能
<自転車のベアリングの種類>
ヘッドセットには、軸方向の荷重に強いアンギュラ玉軸受けが使われています。
カップ&コーンハブも構造的にはこのタイプです。
(下の画像の左・中)
ボトムブラケットには、主に(右)のような深溝玉軸受が使われています。
縦(スラスト方向)の荷重に強いタイプです。
MAVICのホイールに使われているカートリッジベアリングもこのタイプです。
ボトムブラケットにもアンギュラ玉軸受の設定があるパーツもあります。
<ベアリングと潤滑>
BBや一部のホイールに使われている深溝玉軸受の場合、ベアリングの内部すきま(ラジアル内部すきま)は、内径10~18mmのもので3~18μm(0.003mm~0.018mm)、BBに使われているような内径24~30mmのもので5~20μmととても狭いです。
ハブやヘッドセット、ボトムブラケットのように組み付け時に予圧(プレロード)をかけてガタを無くすと、そのすきまは、ほぼ「ゼロ」になります。
(※ プレロード、予圧とはベアリングまわりの剛性や回転精度を出すために必要な荷重、寿命にも影響。)
自転車に使われているような小さいベアリングには、ややちょう度が柔らかい(粘度が低い)ほうが合います。
粒子が大きいモリブデンやセラミック、某テフロンなどの個体潤滑剤入りのグリスは合わないと思っていいと思います。
(粒子径は1μm以下(0.4とか0.5μm)から 数μm、数十μm位の大きさ)
その「厚い」個体潤滑剤では潤滑できなかったり、潤滑油の潤滑の邪魔をしてしまう場合があるからです。
そもそも機能的にも固体潤滑剤は必要ないです。
<グリスの寿命>
工業製品では、「グリスの寿命=ベアリングの寿命=製品の寿命」なので、グリスの寿命はとても重要視されています。
寿命が長いことは良いグリスの条件です。
グリスの寿命は、下の表のように回転数と温度でだいたい決まるようです。
- - - - - シールドベアリング(深溝玉軸受)のグリースの寿命 - - - -
n:回転数
Nmax:ベアリングの許容回転数
t:運転温度
※ 運転温度は周囲温度の+10℃~40℃になるようです
ワイドレンジグリス(合成油ベースなどの使用温度範囲が広いグリス)は、鉱油ベースの汎用グリスよりも高回転・高温での寿命が優れています。
ですが、自転車のホイールベアリングのn/Nmaxは0.25(以下)と低く、高温環境ではないので、ワイドレンジグリスのメリットはあまり無いと言えると思います。
<回転トルク(回転抵抗)>
自転車のホイール(ハブ)ベアリングのグリスでは回転(空転)の軽さを売りする、気にする人が多いです。
例えば、粘度の低い基油を使ったグリス、ちょう度が柔らかいグリス、低トルク性が良い合成油ベースのグリスは「空転」でよく回ります。
ですが、空転は実走行と荷重や回転数、温度が違うので参考にはなりません。
粘度やちょう度が低いものは、荷重や回転数の上昇で温度が上がりやすく耐摩耗性は悪くなるので、グリスやベアリングの性能や寿命低下の心配は増えます。また、グリスの漏れ出しや、水や塵侵入のリスクも増えます。
仮に「軽いグリス」に効果があるとしても、期待できるのは漕ぎ出しから温度が上るまでの間くらいでしかなく、ベストな状態を維持するのは難しい(メンテ回数は増える)、といったあまり意味がなく神経質なものになるでしょう。
・回転のトリック
「軽く回る=良さそう」という錯覚はグリスだけでなく、柔らかいグリスを入れて(ごまかして)ある自転車用ベアリングや、セラミックベアリング、非接触シールのベアリングにも同じことが言えます。
ベアリングのグリスを洗い落としたり、ハブのアジャストを緩めてすきまを広くするとベアリングは軽く回るように感じます、でもそれだと耐久性はありません。
グリスを入れてプレロード(予圧)をかけると手で回して感じる抵抗は増えますが、それは寿命と回転精度を上げるために必要なことです。
性能アップしたいなら、ハブ調整をまめにするとかホイールの振れやセンタリングを調整する、シールドベアリングならABCE-5とかABCE-7の精度の良いベアリングを使う、というほうが間違いなく効果はあると思います。
<耐水性などの性能>
増ちょう剤の種類でグリスを分けると性能は下の表のようになります。
(引用:http://www.chuo-yuka.co.jp/)
耐水性ではアルミニウム複合とウレアが良さそうです、実際の自転車用グリスでもアルミニウム複合のものは多いです。
<グリスの寿命判断>
色と硬さで判断ができます。
黒く変色…摩耗粉によるもの
茶色く変色…摩耗粉または錆、水の混入(小)
白く変色…乳化、水の混入(大)
軟化…水分や異種グリスの混入
硬化…完全に寿命\(^o^)/
3.グリスの種類と用途
よく使われていそうなグリスにはどのような種類のものがあり、どれが自転車に使えそうなのか、ざっとまとめてみました。
<独断での判断>
◎…良
○…可
△…注意
☓…不可
◎ 鉱油ベースのグリス
使用温度範囲はだいたい -20℃~120℃ くらい。
世の中で使用されているグリスのほとんどはこの鉱油タイプ。
○ 合成油ベースのグリス
合成油は鉱油よりも優れている点があるので、低温または高温、高回転などの特殊な環境で使われていることが多いです。
(自動車エンジン補機類、OA機器、モーター等)
価格は鉱油ベースと同等~100倍以上するものまで様々(基本的には高価)。
鉱油はひとくくりにされていますが、鉱油でも種類は色々あります。
>>AZセラミックグリス
は合成炭化水素油(PAO)ベースのグリス。
◎ リチウム石けんグリース
潤滑性、耐熱性、耐水性、機械安定性に優れていて欠点がないグリス。摩擦係数が小さいのも特徴。
自動車や機械などの低速~高速ベアリング、回転・摺動部分の潤滑など一般的に広く使われていていて、価格も安い。
万能グリス、MP(マルチパーパス)グリス、ベアリンググリス(BG)、などの名前で売られていることが多いです。
☓ リチウム石けんEP(極圧)グリース
リチウムグリスに極圧(EP)添加剤を配合したもの、高荷重になる箇所に使われる。
自転車には必要ない。
△ リチウム石けん(等の)モリブデングリース
グリスに極圧添加剤と二硫化モリブデンや有機モリブデンを添加して、さらに耐荷重性、耐摩耗性、焼付き防止性をアップさせたもの。
主に重機などに使われるが、用途は広い。
◎ リチウム-カルシウム(Li-Ca)混合グリース
リチウム同様多目的グリース。
○ カルシウム石けんグリース
使用温度範囲 -10~70℃くらい
耐水性は良いが耐熱性が低い、低速・低荷重向けグリス。
俗にシャシーグリスやカップグリスと言われているものがそうで、たぶん一番安く買える汎用グリス。
>>デュラグリス(シマノプレミアムグリス)
>>モーガンブルー カルシウムグリス
はカルシウム石けんグリスらしいです(複合や混合かもしれないけど)。
○ コンプレックス(複合)グリース
「リチウム+α」のように増ちょう剤に成分を化合し、耐熱性・耐水性などを強くしたもの。
リチウム、アルミニウム、カルシウムコンプレックスなどがあります。
>>Bel-Ray Waterproof Grease (アルミニウムコンプレックス)
>>White Lightning Crystal (アルミニウムコンプレックス)
>>Maxima Water Proof Grease はポリブテンというポリマーを配合したリチウムコンプレックスグリース。
>>モーガンブルー カンパグリス (たぶんカルシウム?コンプレックス)
※ カルシウム石けんグリスは親水性なので、グリスに水分が混入しても保てるのが特徴、多湿環境向き、
いっぽうアルミニウムコンプレックスグリスは撥水性が優れているので、同じ耐水性でも特徴に違いがある。
△ シリコーングリース
シリコンオイルベースのグリスで、広温度範囲で使えて耐水性が良いのが特徴。
金属以外にゴムや樹脂にも使え、潤滑以外にシール用や凍結防止用、放熱用、電気絶縁用などにも使われる。
(電気部品の潤滑、モーターの潤滑、ベアリングの潤滑など)
>>信越化学 G-40 はベアリングに適したシリコングリース
市販品はラバーグリス、ブレーキグリスなどの名前で売られていて、モリブデン配合のものが多い。
○ ウレアグリス(非石けんグリース)
リチウムに比べ耐熱性、耐摩耗性、耐水性などが優れているので、高温下や高荷重になる箇所で使われています。
ベアリングの潤滑に合わないものがあるので、購入する場合は注意。
>>パークツール ポリリューブ1000はパラフィン系鉱油ベースのテトラウレア(ポリウレア)グリース。
● モリブデン、銅、グラファイト(黒鉛)
などの固体潤滑剤は、油膜が切れやすい/摩耗しやすい高負荷や高荷重・高温環境で活躍する潤滑剤(添加剤)です。
主にモリブデン(二硫化モリブデン、有機モリブデン)は高荷重下での潤滑、グラファイトは高温下での潤滑、銅は高温での焼付き防止に使われていることが多いです。
潤滑に向いたものと、そうでないもの(スレッドコンパウンド、アンチシーズ[Anti-Seize]のような焼付き・かじり防止の組み付け用のもの)があるので注意。
自転車に使うとしたら、ディスクブレーキの音鳴き防止やチタンボルトのネジ部分なんかには良いと思います。
金属パーツの圧入部分やBBのねじ部分に使う人もいます。
● 窒化ホウ素(セラミック)
も固体潤滑剤です。
窒化ホウ素はモリブデンや黒鉛以上に熱に強く、放熱性や化学的安定に優れ、毒性がないのが特徴です。
高温箇所や汚染を防ぐ環境で使われています。
セラミックはモリブデンなどに比べて非常に硬いのでベアリングを痛める場合があります。
>>フィニッシュライン セラミックグリス
>>AZセラミックグリス はベアリング向きとのこと。
● フッ素樹脂(PTFE)グリース
工業用のフッ素グリースは、基油にフッ素オイル+増ちょう剤にPTFEを使用しているもので、非常に高価(1kg10万円くらい)。
>>フィニッシュライン
プレミアムグリス(テフロン®) や >>Super Lube synthetic
multi-purpose
grease(Syncolon®)
はそれとは異なり、グリスに潤滑剤としてフッ素樹脂粉末(PTFE)を添加したものです。
モリブデンやグラファイト、セラミック等は強い油膜を作るので、凸凹で摩耗が多い初期なじみの潤滑剤として使われる場合があります。
<グリス選定の注意点>
※ 自転車に使うグリスの硬さ(ちょう度)は NLGI.No.2 か No.3 が良いです。
(ベアリングにはNo.2のほうがおすすめ、シール性は硬めのNo.3のほうが良い)
※ 自転車には極圧(EP)や高荷重用のグリスは必要ない。
※ モリブデンなどの固体潤滑剤配合のグリスはベアリングに使用しない。
※ 同じグリスの種類でも成分によって適合用途はガラリと変わるので名前で判断しない。
3.おすすめの自転車用グリス
<リチウム石けんグリス>
私は、自動車用のホイールベアリンググリス(ニグルーブ
MP-DXというリチウム石けんグリス)を、ロードバイク等の自転車のホイールハブやペダル、、ヘッドセット、BB、その他組付けに6~7年使っています。
グリスの寿命も長いし何も問題がないので、ベアリング類には他のグリスを使ったことがありません。
車のハブベアリングで何年ももつグリスだから当たり前なのですが、性能や信頼性は高いと思います。
よく言われるゴムや樹脂への影響もないし、性能+コスパではたぶん最強じゃないかなと。
自転車に使う場合の欠点は
△ 粘りや付着性が弱いので落ちやすい、表面や隙間を埋めるようなシール性は劣る
△ 滑るのでシートポストには向かない(と思う)
位でしょうか。
ベアリングやスピンドル回り、フリーハブなどの内部パーツに使うには一番良いと思います。
私が持っているのは2.5kg/3500円位なのでかなり安い
(でも量が多すぎて全然減らないっていう…(´Д`;))
<フィニッシュライン プレミアムグリス(テフロン)>
よく使われているや~つです。
粘りが良く付着性が良いので、上のリチウムの欠点箇所(グリスが落ちやすい表面、隙間のシール)に使っています。
水が侵入しやすいベアリングの「まわり」やシールやO-リング、ステム、ボルト(ねじ)、シートポストなどの組付けに使うには良いと思います。
特に良くもなく悪くもない印象。
ハブに使っている人が多いのは謎。
<ウレアグリス>
リチウムよりも性能が良くコスパも良いので、汎用グリスを使うならリチウムかこれになるでしょう。
ベアリングの潤滑に合わないものがあるので、購入する場合は注意。
スプレータイプはディレイラーやブレーキの可動部分などに使いやすいですが、スプレータイプは柔らかいので落ちやすい&全然減らないので無駄感あり。
<純正グリス(カルシウム)系>
湿気の多い環境に適した自転車向きの無難なグリス、そのわりに値段は高い。
↓↓↓ここから下は自転車に使ったことはないが、使えるんじゃないかというもの。
<シリコングリス>
シマノのペダルだと良く分かりますが、ベアリングだけでなくラバーシールもちゃんと潤滑されていないと回転の抵抗になります。
そのようなゴムや樹脂パーツの潤滑や防水、老化防止に使うには良さそうです。
手に入りやすい自動車整備用のラバーグリスはモリブデンが入っているので、ベアリング以外に使うなら良いと思います。
シリコングリスは値段は高めだけれど、サッシや戸の滑車やキャスター、水栓まわりなど家庭内で使えるのでひとつ持っていると便利。
(ベトつかず油臭くないのでよい)
一般的なシリコングリスと違い、>>信越化学 G-40M はベアリングに使えるようなので興味あり。
高温環境じゃないので G-30M のほうで充分かもしれない。ちょう度はMを。
<マリン用やオートバイ用グリスの流用>
雨の日とか錆が心配な人は、耐水性・耐食性を重視した、>>ヤマハ グリースA とか グリースD のようなマリン用グリスだったり、上にも書いた、Maxma WaterProof 、Bel-ray WaterProof などの耐水グリスも良いと思います。
工業用や車両用などのグリスは厳しい条件で使われている(作られている)ので、ちゃんとした物を選んで適切に使えば性能やコスパは高いです。なので購入の候補に入れてみるのも良いです。
<シール剤>
乾くとゴムのように固まるやつです。
あまり使う人はいないと思いますが、隙間を塞ぐとか防水したいなら >>3M 液状ガスケット のようなものをおすすめします。
水が侵入しやすいフレームのケーブルホールの防水とか、シートチューブのスリットを埋めちゃうとか、使えないことはないです。
・自転車専用グリスは良いのか?
自電車専用グリスは100g/1,000~1,500円位なので、私が買ったリチウムグリスと比べると(量で言えば)10倍以上のお値段がします。
(気にならない人はきっと良いお客様です。)
なのできちんとしたもの、用途にあったものを買いたいものです。
↑といいつつ最近無駄に買ってしまいました (・∀・;) 物欲って怖いですね。
自転車専用グリスの良い点は、性能や用途を自転車に合わせて作っているだろう点です。
一般的なグリスに比べると、自転車用グリスは耐水性や防錆性が良く、ベアリング含めどこでもマルチに使えるよ、というものが多いですね。
(上の画像のもそういうやつです)
「メンテしたのに錆びた、壊れた」じゃ困るし、ショップさんは特にそういうグリスは使いやすいと思います。
でも、自転車専用グリスは、規格化されている工業用グリスに比べると成分や信頼性が不確かだったり、普通のグリスとあまり変わらないものが高く売られていたりするのも事実です。
なんか良さそうな成分や新しさでユーザーの購買欲をそそっててナンボ…みたいなとこもありますし。
自転車は高温・高回転・高荷重のように過酷に使われるものではないので、ある程度どんなグリスでも使えてしまう、ということも理由でしょう。
本当に良いものならどこも同じようなグリスを出すはずなので。
グリスにこだわるのなら、ベアリングは潤滑の良いリチウム、ゴムはラバーグリス、耐水部分は耐水用グリス…と言うように使い分けるのが最も性能を発揮し長持ちする方法です、なので自転車だからといって自転車専用品だけにこだわる必要もないです。
まず安いグリスから使ってみて、潤滑とか耐水・防錆性とかグリスの寿命とか、何か「物足りなさ」を感じたら新しいグリスを買ってみるのが賢い買い物だと思います。
4.グリスの使い方
Ⅰ.ベアリングのグリスは適量に
ベアリングのグリス交換をする時は量を入れすぎないように注意しましょう。
(※ OHなどの記事を見るとほとんどの人がグリス入れすぎ)
グリスの入れすぎは、漏れ出し、水分やゴミの混入、温度上昇、酸化促進の原因になるので逆効果です!
自転車で使われているシールドベアリング(深玉溝軸受)の場合で言うと、グリス充填量は空間容量の1/2~2/3(50%~67%くらい)が適性です。
(高回転の場合は空間の1/3~1/2)
「すきまの半分くらい」と覚えておきましょう。
使用後間もないBBのベアリング、グリスがボールや保持器の周りにまとわり付いている位の量です。
Ⅱ.違うグリスどうしを混ぜない
違う種類のグリスが混ざると変質してしまうので良くありません。
違うグリスを使う場合は、グリスをきれいに洗い落としてから装填しましょう。
Ⅲ.初回は早めのメンテが良い
新品のベアリングは摩耗量が多いので、ホイールハブやヘッドセット、クランクのガタや振れは初回は早めにチェック&調整するようにしましょう。
ホイールハブのグリスは初回は早めに交換するほうが良いでしょう。
Ⅳ.カップ&コーンの組み合わせは同一に
ベアリングのボールとコーンはなじんでいるので、左右を組み替えないようにしましょう。
プレスフィットBBなどの場合は、フレーム側の精度が悪くて圧入するとベアリングが変形してしまう場合があります。
圧入後に回転をチェックして、回転の重さや引っ掛かりなどの異常がある場合はフレーム側の修正が必要です。
私の経験上、グリスの老化やサビの発生の原因は、グリスの種類どうこうよりも「ちゃんとグリスアップしていない」とか「雨天後にメンテをサボった」とか「ハブ調整が悪かった」という整備不足が原因の場合がほとんどです。
ハブに少しガタがあるまま乗っていたとか、シートポストのグリス不足→リアタイヤの水跳ねでBBに水が侵入とか、そんな感じですね。
良いグリスを持っていてもメンテが行き届いてなかったり、ちゃんとグリスアップしていないとダメです。
グリスアップ方法のコツとしては、ベアリングの中以外の箇所はケチケチせず、けっこうたっぷりめにグリスを塗ったほうが良いです。
なので高いグリスを少しじゃなく、安いグリスをもったいぶらないで使うほうが結果的には良いですね。
あとば、シートチューブのすき間にチューブを切ったやつをかぶせるとか、そういう防水の工夫も必要です。
参考:
http://www.jp.nsk.com/
http://www.chuo-yuka.co.jp/
http://www.nok.co.jp/
http://www.ntn.co.jp/
http://www.yushintrading.com/
http://www.nokklueber.co.jp/