<フレームの剛性>
フレームの剛性はロードバイクを選ぶ時の大きなポイントになると思います。
ロードバイクのフレームは主に操舵性とぺダリングの二つの剛性を考えて作られています。
剛性が低いとぺダリングのパワーや車体にかかる力でフレームが歪むので、
高いパワーでぺダリングしたり高い速度でコーナーリングするような場合にスピーディーさやシャープさを欠いたものになります。
おそらくわずかなパワーやタイムの低下に表われるでしょう。
ですが、剛性が高すぎると路面の衝撃やぺダリングのパワーに対する「逃げ」が無くなるので、長い時間の走行では体に負担がかかります。
基本的には自分のパワー、レベルに合った剛性のロードバイクを選ぶことが肝心です。
高価で剛性のあるロードバイクを買ったけど、身に余ってしまって無駄になることもあるので、カタログやインプレ記事などをよく読んだり、人に聞いたりしてモデルやグレードを選ぶのは大事なことです。
1.ステアリング剛性
ステアリング剛性はコーナーリングや路面からの衝撃などの路面の応答や操舵性に影響するフレーム全体のねじり剛性です。
ヘッドチューブやダウンチューブの剛性が大きく関係する所です。
フレーム以外ではタイヤ、ホイール、ハブ、バー、ステム、シートポスト、サドルがステアリングのフィーリングに影響します。
※ ちなみに、下の表はどこかがフレームの剛性をテストしたデータ(その1)です。
ぺダリング剛性はペダルにパワーを伝えてホイールを駆動している時のフレームの変形量を表すボトムブラケット部分の剛性です。
フレーム以外ではシューズ、ペダル、ボトムブラケット、クランク、チェーン、ハブ、ホイールが影響します。
中でもぺダリング剛性ではクランクとホイールの影響は大きいです。
どのくらいのぺダリング剛性が必要かは、乗る人のパワーに依存します。
※ データ(その2)
パワーがあればぺダリング時のフレームの歪みは大きくなるので、パワーが逃げない剛性のあるフレームのほうがバイクを進める推進力になります。
逆にパワーが剛性に負けるとパワーの逃げは体に来て負担になります。
また、コーナーリング等で速度が高いほどフレームのねじれは大きくなるので、応答性や操作性を高めるために、ステアリング剛性が必要になります。
おまけに、少し古い2012年ごろのフレーム剛性のデータはここで見れます。
http://blog.velocite-bikes.com/2013/07/about-frame-stiffness-what-is-stiff/http://blog.velocite-bikes.com/2013/07/about-frame-stiffness-what-is-stiff/
3.フレーム形状やサイズと剛性の関係
フレームの形状では、丸や四角いチューブのフレームより平べったいエアロ形状のフレームのほうが全体的なねじり剛性は落ちます。
上の表だと、cervelo R3とエアロフレームのS3とS5の比較が参考になるでしょう。
エアロフレームは見た目は頑丈そうに見えますが、乗った感じは意外にソフトです。
勾配やパワーの変化、コーナーの数が少なければ、剛性よりも空力に優れたエアロ形状のバイクのほうが向いていることでしょう。
一辺と直径が同じ長さの四角と丸なら四角の断面のチューブほうが強度があるので、強度が必要なダウンチューブやチェーンステーは角パイプっぽい形状に、剛性があまり必要ないトップチューブやシートチューブ、シートステーは丸くなっていることが多いです。
ダイレクトマウントブレーキはBBの後ろあたりに付きますが、もともと強度が要らないシートステーの場所に付けるのではなく、もともと強度が必要なBBまわりに付けられるので理にかなっています。
ボトムブラケットとチェーンステー周りはフレームサイズが変わっても同じ(またはほとんど変わらない)大きさですが、
その他のダウンチューブやシートチューブはフレームサイズが大きいほうが長くなるので、大きいサイズのフレームのほうが剛性は低くなります。
なので、身長が大きく大きいサイズに乗っている人のほうが剛性を低く感じたり、小さいフレームのほうが好みに感じるということがあります。
そういう差を無くすために、大きいサイズはダウンチューブを太くしたりして重量対剛性比を同じようにしてる(Focusのような)メーカーもあります。
<ドライブトレイン - クランクの剛性>
フレーム以外では、タイヤ、ホイール、ハブ、フォーク、クランク、バーやステム、シートポストがステアリングやぺダリング剛性に関係します。
ペダリングではクランクの剛性の影響が大きいですね。
※ クランク剛性のテストデータ
http://blog.fairwheelbikes.com/reviews-and-testing/road-bike-crank-testing/
クランクの剛性は、ペダルを踏んだ時に歪み・たわみが少ないほど剛性が高いということですが、非ドライブ側(左)はチェーンを駆動するのにスピンドルを介するので、左右を比べると、どのクランクでもドライブ側ではない左側のほうが剛性が低くなります。
クランクの剛性はクランクアームとスピンドル(シャフト)の剛性で決まります。
スピンドルの剛性は24mmより30mmのほうが高いので、上の表を見ても、24mmのクランクのほうが非ドライブ側の剛性が低くなりやすく左右差が大きくなる傾向にあります。
シマノは左右差が最悪値です。
なぜでしょう、左アームの取付けの構造が関係しているのかもですね。
SISLやS-WORKSのクランクはスピンドルの長さが短いので、剛性の左右差が少ない結果になっています。
剛性だけを見ればFSAとSRAMがけっこう優秀です。
SRAM GXPならFORCEが買い(REDは値段ほど硬くない、チェーンリングはREDもFORCEもたぶん同じなので)
剛性は欲しいけどアルミのようにガツンと脚に来るのは苦手と言う人はカーボン入りのFSAとかSRAMは良いんじゃないでしょうか。
個人的には「Praxis Turn Zayante」が剛性でもコスパ的にもおすすめ、シマノ/SRAM /カンパの10/11速と互換性があり、専用BBが必要ですが、BSA, BB86, BB30/PF30 フレームに対応しています。
※ちなみにこちらは10年くらい前のデータ
TOUR MAGAZINE
Model | weight crankset + cups/BB | Q-factor | stiffness left/right
Campagnolo Veloce 759g+92g | 145mm | 81.3/107.7N/mm ○
Campagnolo Centaur 757g+92g | 145mm | 80.4/108.4N/mm
Campagnolo Chorus 643g+92g | 145mm | 94.9/102.5N/mm
Campagnolo Record 603g+92g | 145mm | 88.3/108.3N/mm ※Test winner
FSA SL-K 707g+136g | 150mm | 69.3/70.6N/mm
FSA K-Force light 659g+96g | 148mm | 74.8/99.6N/mm
Fulcrum Racing Torq R 680g+92g | 145mm | 83/96.1N/mm
Fulcrum Racing RS 606g+92g | 145mm | 86/96.3N/mm
Race Face Cadence 759g+107g | 150mm | 76.2/102.5N/mm
Shimano 105 780g+98g | 147mm | 92.2/117.2N/mm
Shimano Ultegra 741g+98g | 147mm | 88.3/119.9N/mm
Shimano Ultegra SL 713g+89g | 147mm | 90.6/114.6N/mm ○
Shimano Dura Ace 666g+98g | 147mm | 89.7/113N/mm
Sram Rival OCT 703g+119g | 150mm | 91.3/136.4N/mm ○
Sram Force 677g+119g | 150mm | 68.8/109.6N/mm
Truvativ Elita 783g+119g | 150mm | 89.3/111.8N/mm
Truvativ Noir 672g+119g | 150mm | 90/116.6N/mm
Tune Fast Foot / 6Pack 567g+126g | 154mm | 62.2/63.1N/mm
剛性はグレードと関係ないのが気になる。