1.能動的な運動と受動的な運動


ペダリングの運動は「能動的な運動」と「受動的な運動」の二通りの方法に分けられると思います。


(A)能動的な運動


能動的な運動というのは、アグレッシブな筋肉の使い方をする運動です。
クランクの回転方向に向かって積極的に足を出してペダルを回す、グイグイ押していくような運動です。

サドルに体重を多く乗せてぺダリングしたり、瞬発的に筋肉を使う場合にこの能動的な運動になりやすいです。

この運動では大腿四頭筋や膝まわりなどの脚の前側の筋肉や、ふくらはぎなどの筋肉が使われます。

高いパワーを一時的に出したり、軽く回すぺダリングの持続には適していますが、大きいトルク(パワー)を持続するのは苦手な運動方法です。



(B)受動的な運動


受動的な運動は、ペダル(足)に体の重さ(荷重)を乗せてクランクを押すような筋肉の使い方をする運動です。

自転車の立ち漕ぎや歩いて階段を上がる時のように、重い物を押す・持ち上げる運動にみられる筋肉の使い方です。

この運動は股関節~太ももを動かしていく運動なので、ハムストリングスや臀部などの体幹まわりの大きい筋肉が使いやすく、大きいトルク(パワー)を持続するのに適している運動方法です。




※ 専門的な用語とは異なるかもしれませんが、分かりやすく区別するために 能動的 と 受動的 というふうに分類しています。




<能動的な運動と受動的な運動の違い>


 例えば15kgの重さの力をペダルにかけるとしたら、(A)は15kgを脚の力で押す運動、(B)は体重を15kgペダルに乗せて押す運動、という異なる筋肉の使い方になります。



例えば、手で重い物を押す時は、手に重さ(荷重)を乗せた状態から腕を伸ばして押すと思いますが、それが(B)の受動的な筋肉の使い方です。

(A)の運動では筋肉を積極的に使ってペダルを押さないとクランクに力を加えることができませんが、(B)の運動は体の重さをクランクを回す力に換えることができるので、効率の良い体の使い方です。

(B)のぺダリングをする場合に重要になるのは「ペダルにかかる荷重」です。

サドルに全体重を乗せていればペダルに荷重はかからないので、体を前に傾けるようにして適度にペダルに荷重がかかる乗り方・ポジションにすることがフィッティングのポイントになります。



・(A)+(B)のぺダリング

軽快車などの普通の自転車の乗り方はペダルに荷重を乗せないで足を回す(A)の能動的な運動なので、軽く走るには良いけれど、パワーを出すには脚の強さ、いわゆる脚力が必要になる運動方法です。

高 いパワーを出し持続するには、(B)のペダル荷重を利用した立ち漕ぎのようなの体の使い方が少なからず必要になりますが、普通の自転車に乗っていた人の多 くは(A)の運動方法には慣れているけれど(B)のペダルに荷重を乗せるぺダリングは慣れていないので、なかなかできないんじゃないかと思います。


(A)のペダリングでは大きいトルク入力の適した体の使い方ができないので、上り坂でパワー(トルク)を上げると膝が痛くなる、固いフレームやクランクにトルク負けてしまって脚にくる、といった乗り方になります。
重い物を押すのではなく蹴るような運動になってしまっているわけです。

なかなか速くならない伸び悩んでいる人は、(A)の脚力を活かせる運動と(B)のペダルに荷重を乗せる運動の両方の運動をバランス良くできるようにすればパフォーマンスは向上するでしょう。


ペダリングではポジションとフォーム、体の重心位置の違いによって(A)と(B)の運動方法に分かれやすくなります。
次回は、姿勢とポジションをどうすれば良いかについて詳しく書こうと思います。