Lv.7 ~サドル~」 の補足です。


1.骨盤の角度とサドルの関係


骨盤の角度や座骨の骨のカーブは個人差がありますが、広く圧力を分散するようにサドルに座れるのが良い座り方です。

骨盤を起こす(後傾する)場合は(下図の右)のような後ろがフラットな「座骨の後部が当たる位置が低い」タイプのサドルが合います。
このタイプのサドルで骨盤を前傾すると座骨の後ろが浮いて前側(股間側)に圧力がかかるので痛みが出ます。

骨盤を前傾する場合は(左)のような後ろが反り上がった「座骨の後部が当たる位置が高い」タイプのサドルが合います。
このタイプのサドルで骨盤を立てると座骨結節付近が強く当たりすぎたり、フラットなノーズ部分に座ってしまったりするので痛みが出ます。


(図:痛みが出やすい座り方)


つまり、サドルが姿勢に合っていない/サドルに合った姿勢をしていないとどんなサドルでも合わなくなるわけです。



2.ポジションとサドルの関係


サドルのフィッティングはサドル本体だけでなく、姿勢やバー、サドル、ペダルのポジションも大きく関係します。


<サドル後退量と骨盤の傾斜>

体のバランス(重心)が同じ姿勢の場合、

(下図のA)サドル後退量を少なくすると骨盤は後傾する
(下図のB)サドル後退量を多くすると骨盤は前傾する

というのが自然な姿勢の変化です。

なので、サドル後退量のセッティングで座り方とサドルのフィッティングは変わります。





骨盤を前傾するならサドルを後ろに引かないとバランスが崩れて体が前に倒れてしまうということですね。

骨格や柔軟性は人それぞれなので、柔軟性を無理せず座りが良い骨盤の角度に合わせてサドルの前後位置や高さ、角度、サドルの形状を決めると良いでしょう。




<サドル位置とぺダリング>


サドルの前後位置が変わるとぺダリングのパワーの入力方向と入力位置が変わります。
セットバックが少ない場合は下方向、多い場合は斜め前方向にパワーを入力しやすくなります。



パワーの入力方向が変わるとぺダリングに適したクリートの前後位置も変わってきます。

ブルーのようにサドルのセットバックが少なく下方向へ押し下げるぺダリングはかかと寄り、セットバックが多く斜め前方向に押す場合はつま先寄りがぺダリングしやすいセッティングになると思います。

逆に言うと、クリートをかかと寄りにすると後者のようなぺダリングがしづらくなり、前者のような乗り方になりやすくなります。
なんか座る位置が落ち着かない、腰が前に移動してしまう…、というような時はクリート前後位置が原因の場合もあります。





<全体的な姿勢の傾向>


(A).骨盤を後傾する姿勢では骨盤周りの重さが後ろに残る分、背中を前に曲げてバランスを取るような姿勢になるので、バー落差は多くなります。

(B).骨盤を前傾する姿勢はサドルを後ろに引いた分サドルの高さ(シートポストの突き出し)は低くなり、脊椎の曲がりは少なくて良いのでバー落差は少なくなります。


体型での個人差で言うと、
脚が長くて胴が短い体型だと体のバランスが前に傾きづらいのでサドルが高い割に後退量が少ない(A)のようなセッティングになります、逆に胴が長い場合はバランスが前に行きやすいので後退量の割合が多い(B)のようなセッティングになります。


脊椎が固い人は骨盤を前傾させないと前傾姿勢がとれないので(B)ですね。