わがエリミネーターのハンドル左には

CHOKEレバーが付いている

キャブレターだから当然だ

SRのようなビッグシングル車だと

デコンプレバーがあったり

もっと古いトラとかメグロとかだと

"点火時期調整レバー"なんてものまで

付いていたりする

 

昔見たスクーターには

左グリップもアクセルのように回せて

それで点火時期が調整出来た

 

古いアナログなバイクは

これだから乗っていて楽しい

 

昔の人や旧車乗りなら

これは見てすぐわかるだろう

SAABはECU制御のエンジンだが

デスビが付いているので

メンテにはタイミングライトが要る

さてその点火時期だが

これは実に奥が深い

と言うか"謎が多い"

 

プラグに点火するタイミングは

ピストンの上死点よりちょっと前

という事は誰でも知っている

 

プラグが火花を飛ばし火炎核を生成し

それがシリンダー全体に広がって

"燃焼"に至るまでには

一定の時間がかかるから

と頭に叩き込まれて来た

 

エリミ900の場合だと

10°BTDC@1,000rpmから

35°BTDC@3,500rpm

つまりアイドリングでは

上死点より10°手前で点火し

3,500rpm以上になると

上死点より35°手前で点火する

 

不思議な事に排気量が違っても

この値に排気量差程の違いは無く

設計が新しいエンジンだと

点火時期が遅く

古いエンジンは

点火時期が早い傾向がある

 

もっとも不思議なのは

GPZ系エンジンは10,000rpmは回るのに

何故3,500rpmで進角を終えてしまうのか?

これはどんなエンジンでもそうで

最高回転数の遥か手前で進角は終わる

 

何故それで済んでいるかと言えば

点火してから燃焼するまでの時間

いわゆる火炎伝播速度

回転数によって変化しているからだ

 

でもこれは異なことだ

気化したガソリンが燃え広がる速度が

回転数によって

都合よく変化するなんて?

 

でも実際にはこれが起きている

 

もしこんな都合の良い現象

が起きなければ

昔の250cc4気筒やF1のような

20,000rpm位回るエンジンだと

最大進角180°あたりになる筈だ

いやいくらなんでも

吸気前に点火したって・・・

って話である

 

この都合の良い不思議は

レシプロエンジン研究者たち永年の謎で

"天の恵み"

とされて来た案件だったが

その後一部の理屈は解明されたようだ

読んでも全くもってチンプンカンプンだが・・・

 

それでも現代化学をもってしても

いまだ完全解明には至っていない

 

何気なく走らせているバイクのエンジン

1秒間に何十回もピストンが往復する

シリンダーの中では

常時超常現象が起きている

そう考えると実に面白い!

 

最後にシリンダー内の映像を紹介する

これを見ればいつプラグが点火し

それが燃焼していく様子が一目瞭然

レシプロエンジンは

回転数分だけのドラマで回っている

ロマンのカタマリだ