腸内細菌は人の体でどんな働きをしているのでしょうか?

 

たくさんの役割がありますが、ざっとあげてみると、

 

腸内細菌が作る短鎖脂肪酸(乳酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの有機酸)は腸内を弱酸性化にすることで、有害菌の繁殖を抑えたり、蠕動運動を活発にし便の水分量を増やしてお通じをスムーズにします。

他にも短鎖脂肪酸は脂肪細胞の肥大化を防いだり、脳で満腹感を感じて食べ過ぎ防止作用にもなったり、

脳の炎症を抑えることで認知症の予防になったり、

免疫細胞の一つのTレグ細胞に働き過剰な免疫を抑制したり、アレルギー予防にもなります。

 

また、腸内細菌は人が作ることができないビタミン、ホルモン、酵素を作ることもできます。セロトニン(人が幸福だと感じるホルモン)やドーパミン(活力が出るホルモン)の前駆物質も作ることができます。

 

腸内細菌はわざわざ我々人間のために

何かをしてあげているという意識はありません。

たまたま、そこに住まうことで恩恵を得られたというだけです。

 

食物繊維から糖分を作り出す糖化菌、(納豆菌など)

糖から乳酸を作り出す乳酸菌

糖から酢酸を作り出す酢酸菌

糖から酪酸を作り出す酪酸菌など

その他、いろんな短鎖脂肪酸を作り出す細菌たちがいます。

 

それぞれが各自の役割を持っていて、この細菌の方が優れているとか劣っているというわけではありません。むしろ役割分担をすることでスムーズに働けるのです。

 

他の細菌が少なくなったり、うまく働けなくなると、自分たちもうまく働けなくなってしまうのです。

糖化菌が少なくてうまく糖が作られないと、その後の糖を代謝をする乳酸菌がうまく働けなくなることもあります。

細菌同士がお互いにいて働けるから、腸内でいろんな種類の短鎖脂肪酸が作られています。最近は話題の腸活では、何々菌がいいとか、各細菌の役割ばかり注目しがちですが、お互いがちゃんといてこそ成り立つ関係です。