ヒトの腸内には約100兆個、200種類以上の細菌が住んでいます。
それも人によって全く違います。
遺伝子が同じ一卵性双生児でも違います。
それだけたくさんの細菌たちと一緒に生きていると思うと感慨深いと思うのは
私だけでしょうか。
前回お話ししたように出産の時に膣を通過するときにお母さんから細菌をもらいます。
お母さんの乳酸菌を赤ちゃんが取り込むことで、腸内で母乳を乳酸菌が分解し、赤ちゃんが腸内で栄養を吸収できるようにしていますしたね。
その後は赤ちゃんが大きくなるごとに、自分で細菌を取り込んでいきます。
手に届くいろんなものはなんでも
舐めて、かじって、ハイハイして、口から入っていきます。
だんだん外で遊ぶようにもなり、
家族以外の人と触れ合ったり
動物に興味を持って触ったり
講演や、海で砂遊びをしたり、
水たまりでバシャバシャと遊んだり
とにかく細菌と触れ合うことになります。
この時に触れ合うのは主に土壌菌です。
病原菌になるような細菌に触れ合う機会もあります。
そう考えると怖くなってしまうかもしれませんが大丈夫です。
この細菌たちは腸から入っていくと、免疫細胞たちが働き
人にとって有害かどうかの判断をしてくれます。
ここでこれらの細菌たちと触れ合うことで免疫機構を育ててくれるのです。
そして、だいたい3歳で腸内細菌叢が完成されます。
どうしても大人の我々は
赤ちゃんの行動を見て、あ、それはダメよッと取り上げたり
神経質になってしまうかもしれませんが
本能的に細菌に触れるという行動が備わっているのかもしれません。
ヒトも他の動物と同じように成長する過程で自然に腸内に細菌を獲得できるように備わっているのです。
ここまでで、生物がここまで繁殖するためにいかに細菌が関わってきているのか、なんとなくイメージがつきましたか?
そう考えると、今の世の中はあまりにも細菌と触れ合う機会が少ないのかもしれません。