シネマ太陽に足を運んで、ひたすら銅像が立ち並ぶ、特になんでもない並木をケタケタ通り過ぎて。その間をずっとぽこちゃんと並んで笑っていたら簡単に1時間なんて過ぎるんですね。
「ぽこちゃんなにあれ」
「なんかやってるね」
「これ私も売って参戦していいやつ?」
「売る側なるの?」
「ちょっと見に行こうよ」
私たちが並木からちょこっと顔を出すとフリーマーケットも顔を出してくれました。
ネットでよく聞くフリマとはちょっと、格が違う。バーゲンセールのような、現実味のあるメルカリみたいな。
細長ーく広がる並木を背景に、ぽつぽつブルーシート代わりの布を敷いていました。どうしてか、こんな場所には人情を感じるんですね。
フリマに立ち寄って一番最初に向かったのは、年季の入ったメンコがどさっと置かれているブースです。コーヒー染みたいな色褪せたメンコ、人生初の歴史の教科書でみた実物です。あれは買うべきだったかも。
メンコブースの担当は、自分の猫背の背骨をトントン叩くおじいちゃんでした。
その背骨トントンおじちゃん、すんごい博識なおじちゃんだったんです。
メンコからすこし目線を上げたら古銭販売ブースもあって。古銭の入った百均のかごが二段腹になっていました。
ぽこちゃんも私もフランスの綺羅びやかな古銭に目を奪われていたのですが、背骨おじちゃんの異常な博識ムーブメントで日本の古銭にすんごく興味が湧いてしまい、理由もわからず天保通宝が欲しくなるとかいうとんでもないことになりました。
「ぽこちゃんこれ」
「いや欲しくなるよね」
「100円だよ?買っちゃう?」
天保通寳をじまじまじと見る私とぽこちゃん。
もう5時間も前のことですが、未だに思うんですね。私もぽこちゃんも別に「天保通寳」が欲しかったんじゃなくて、「今日の記念の天保通寳」が欲しかったんです。博識な猫背おじちゃんに心を動かされるとは。濃い1日を形に残そうとしたかったんだな、と思ってます。
春休みは開けたばっか。これから桜さんも開花するのかなあ。
その時は私も口を開花させて桜餅でも頬張ろうと思います。