黄色いダイヤ

黄色いダイヤ

黄色いダイヤに魅せられた男たちのドラマ

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堺 「平助もう戻れんのけ?」


平助「相場は生きものやな、あれは人間をだめにすけんなあ」


堺「お前は、仕手相場をつくっちまった。相場は、いいタイミングで後乗りするのが一番や」


平助「なつかしいなあ。お前と鉛取引した時は愉快やったのお」


堺「ほな、わしは行くで。前場に仕掛けるけん。」


平助「ほな」


堺は、そのままタクシーに乗り込み東京に帰っていった。


平助は、千葉の館山が好きだった。


元々、海のないところで育ったからだろう。


千葉の海は、平助の心を癒してくれた。


タイ、上海、ロンドン、シカゴでの戦いを思い出しながら


海の見える歩道を果てしなく歩いていった。

平助は、シカゴ相場で10年生き抜いてきた敏腕トレーダーである。


米国の相場というと、NYダウやS&Pという株取引を、思い浮かべるのだが平助は違った。


「商品先物取引」の魅力にとりつかれてしまったのだ。


それも、とうもろこしという得体の知れないものを取引していたのである。


平助「なあ、堺。今日は、よく晴れてるで、コーンベルトの天気はどないやったんだろう?」


堺「昨日は、ようさん雨が降ったよ。収穫が遅れるかも知れんなあ」


平助「そうか、コーンはようさん育ったけん、今日は、売りがええんと違うか?」


堺「ほな、コーンは売りやな」


平助「堺、大豆は買っときや。いま、チャイナでも、ようさん大豆製品使われるけん、在庫率なんて気にすんな」


堺「平助、もう戻れんのけ」


「平助、シカゴのコーンが豊作だそうだ」


堺は、今でもシカゴの相場で日銭を稼いでいる。


「堺、もう俺は相場はやらねえ!吸いも甘いも知っしまったからなあ」


「平助、お前ほどの、トレーダーが引退かあ、なんとも勿体ねえ」


野島崎灯台を眺めながら、朝5時から日の出を待っていた。


ここで朝日が出るのを何回見たことか。シカゴの相場が終わるのは日本の朝方だった。


シカゴは、今日も大相場になっていた。


USDAの発表によると、コーンの在庫率は15%と、今年は豊作の見通しから、ストップ安。


バイオエタノールに使われるはずであったコーンも今や、主役をサトウキビ、キャッサバに


取って代わられた。


「黄色のダイヤか」平助がポツリとささやく。