星鮫弁護士と再度話し合い、これからの方向性について決めました。
⚫︎慰謝料と違約金について、先方案を受け入れる
→ 合意を早期に成立させるため
⚫︎合意成立するまでは、今も続く2人の水面下での接触を指摘をせず、気づいていないフリをこれまでどおり続ける
→ 不倫継続を指摘した場合、誓約しない、慰謝料額を下げる等、開き直って合意条件を変更される可能性があるため
⚫︎合意成立後、ジャイ子氏が違反した場合は、再度証拠を取り、違約金請求をする。
→ 近い将来の離婚を見据えて、夫から受け取れるお金は、早めに確保(彼女の資金元は夫)
合意書案の作成は、ジャイ子氏側の弁護士に先を越されてしまいました。でも、だからと言って、その文案をたたき台にして詰めていく必要は本来ないのです。
とはいえ、早期に合意するためには、文を大々的に変えてしまうよりは、譲れないところだけ修正し、変更は最小限にとどめましょうということになりました。
まず変えてもらったのは冒頭の文。
「既婚者と知らずに交際に及んだことを認め」
「既婚者と知らずに」の部分は削除してしまいました。仮に当時既婚者と知らなかったとしても、結局今も接触しているのであれば、道義的には、この文を入れる権利は彼女にはない。
そして、「交際に及んだ」というぼやけた表現を削除し、彼女が夫と肉体関係にまで及んだことを明確にしてもらいました。
「不貞行為に及んだことを認め」
特に前者の削除部分で、ジャイ子氏はおそらく食い下がってくるでしょう。
星鮫弁護士の言葉を借りれば、「私は知らなかった。私も被害者なんだ」というのが、彼女のプライドを保持するための唯一のものなのです。
実は、この修正は、彼女が拒否したら、元の文に戻してもいいと考えていました。
どちらの文になろうとも、示談交渉のなかで合意さえできれば、あまり影響はないというのが、先生の見解でした。
では、なぜ敢えて修正したかというと、
「貴方、今はもう夫が既婚者と知ってるのに、会ってますよね」
って言いたいけど、気づいていないフリをすると決めたから、ここを削除することで、合法的に鬱憤を晴らしたかっただけです。
早期に解決を、と言いながらも、なかなかスパッと割り切れない私です。 。。
次は、「違約金」という表現を「違約罰」という言葉に修正しました。
なぜこの言葉に変えたのかというと、きっかけは、私が星鮫弁護士へした質問でした。
合意成立後に、ジャイ子氏がまた不法行為に及び違反した場合、受け取る違約金とは別に、その不法行為に対して、別途、損害賠償請求できるものなのか、と聞いたのです。
先生によれば、それは、合意書の中で、どちらの言葉を使うかで答えは変わってくる、とのことでした。
「違約金」には、
①損害賠償額の予定と、②違約罰
の2つの意味合いがあるそうです。
①は、例えば、賃貸マンションの借主が床を傷つけた場合、10万円の違約金を支払ってもらう契約を結んでいたとして、退去時に床の損傷が激しく、実際は10万円以上の損害になったとしても、約束した違約金以上の額を請求することはできない。
②は、①と比べて、ペナルティーの意味合いが強いので、実際の損害額にかかわらず、契約違反をしたら支払わなければいけないお金。
だから、「違約罰」という、より定義が明確な表現にしておけば、ペナルティーとしての2万ラブカとは別に、彼らの不法行為に対して、私が被ったと考える損害額を別途請求することは可能(請求額がそのまま認められるかは別として)。
実際私がまた賠償請求をするかどうかは別にして、この言葉の変更も、もしジャイ子氏が拒否したら、「違約金」に戻してもいい、と思っていました。ここで揉めて時間をロスしたくないと考えていたからです。
「違約罰」に修正すれば、ちひろ弁護士は、当然ながらこの2つの言葉の違いをジャイ子氏に説明するでしょう。
彼女が本気で誓約するつもりなら、この修正に懸念はないはず。夫と接触さえしなければ、そもそも何の追加の支払いも発生しないからです。
合意内容に違反したところで、どうせ夫が違約金を代わりに払うわけだから、ジャイ子氏の財布は痛まない。
彼女は誓約事項を守るつもりはさらさらないのだろう、そういう女性なのだ、というのは、彼女が夫と温泉旅行に行ったことで、私の中でほぼ確信していましたが、
両者の弁護士も署名し、成立に至る正式な合意というものを軽くみて欲しくない。
誓約する、約束する、という行為に対し、どれほどの誠実さ、忠実さを持った女性なのか知りたい、という気持ちもありました。
夫のことが好きだ、本気で一緒になりたい、と思うのなら、私はむしろ、誓約できません、と言われた方がまだ納得がいったのかもしれない。
最後は、「主導して」という部分でした。一番懸念している部分でした。
「4.乙(ジャイ子氏)が前項の定めに違反して、本合意書成立後に、乙が主導して、甲(らぶか)の夫との面談を行うこと、乙が主導して甲の夫に対して架電、手紙の送付、電子メールの送信等を行うことにより連絡又は接触を行った場合は、甲に対し、違約金として金20,000ラブカを支払う。」
星鮫弁護士から、ちひろ弁護士に確認したところによると、「主導して」は、不可抗力のケースを考慮して盛り込んだ、とのとことでした。
ジャイ子氏が接触を避けようと努力しても、夫と偶然出くわすこともあるかもしれないし、電話がかかってきたり、メールが届くのは不可抗力なので、ということでした。
言わんとすることは理解できますが、それでは、先週末に夫と温泉に行ったのは偶然なのですか、と突っ込みたくなります。ちひろ弁護士はどこまで知っているのだろうか。
「主導して」なんて言葉入れたら、何でも言い訳できるだろう。
「奥様に言われた通り、携帯からご主人の番号を消去したんですけど、知らない番号からかかってきて思わず出たら、ご主人だったんです。私が主導したわけではありませんし、私からかけたわけでもありません。」
とか、
「私がお店で食事してたら、彼が後から偶然入ってきたんです。隣の席しか空いてなくて。私は主導していません。」
などなど、何でもありだ。
辞書を引くと、「主導」とは、
「中心となって他を導くこと」
とありました。
中心じゃなきゃいいのか。
私が「これは夫の主導ではない」と証明するのは簡単なことではない。
この表現は、いずれ接触の証拠を取った時に争点になるかもしれない。
「主導して」は削除してしまいましょう、ということになりました。
削除したままだと、たぶん反論してくると予想し、代わりに条文を追加しました。
「乙(ジャイ子氏)は、ガキ夫氏が、乙に対して、面談、架電、電子メールなどの連絡・接触行為を行った場合、乙はこれに対応せず、ガキ夫氏の要求をすべて拒絶し、それ以上、一切の連絡及び接触をしないことを誓約する」(一部省略)
こうすることで、彼女が言い訳する余地を与えないようにできますし、彼女も、夫から近づいてきても、きちんと拒絶すれば、私から違反に問われないのですから、文句はないはずです。
最初の2つと違って、ここの部分は絶対譲れない。
さあ、どう出てくるか。