こちらは過去の出来事になります。


両親が来た週末が明けて、2日目の朝。


相変わらず、夫は私と一緒に家を出ようとします。そしてお互い会社へ。


特にいつもと変わらない1日でした。


夕方、仕事も落ち着いてきた時間帯に、私のスマホのバイブが突然鳴りました。

業務中は、スマホはバッグの中にしまっておくのですが、この日はたまたまデスクの上に置いていました。

画面を確認すると、見知らぬ電話番号からの着信でした。

こういった登録していない先からの電話はいつもなら取りません。勧誘が多いからです。

ただ、市外局番を見たら、両親の住むエリアのものでした。

(何だろう。)


とっさにデスクに座ったまま取りました。


らぶか「もしもし。。。」


「あ、もしもし。らぶかさんの電話ですか?」

らぶか「はい。」


「らぶかさん、〇子です。」


叔母でした。


なんだろう。


叔母が私にかけてくることは初めてです。


嫌な予感がしました。


「あのね。先ほど、□□病院から電話が入って、お父様が倒れられて救急搬送されたそうなの。」


「えっ。」


急いでデスクを離れ、通路に出ます。


「父に何が起きたのですか?」


心臓がバクバクしています。


叔母「私も詳しくは存じ上げないのですが、心臓か何かで倒れられて。今からドクターヘリで大きな病院に移送されるところらしくて。


ドクターヘリ。


頭が真っ白になります。


叔母「病院から私の自宅に電話が入って、すぐに来るように言われたんですけど、私はご承知の通り体調がすぐれなくて行ってさしあげられないから。らぶかさんにとりあえず連絡しなきゃと思って。」

私は立っていられなくなり、スマホを耳に当てたまま、その場にしゃがみ込みました。

「母、母は?」


呼吸が乱れてハアハアとなります。


叔母「お母様も今病院へいらっしゃるそうなの。ドクターヘリはこれからお母様も一緒に乗り込まれると病院の方はおっしゃっていて。」


移送しなくてはいけないほど深刻なのか?


意識はあるのだろうか?


父といえば週末会ったばかりではないか。


とりあえず向かわなきゃ。姉に連絡しよう。


切ると、既に姉から着信が3回入っていました。


電話をかけると、姉がすぐに出ました。


「らぶか、話は聞いてる?私のところに病院から連絡が入った。お母さんは今日に限って携帯電話自宅に忘れたらしくて、携帯にかけても連絡は直接取れませんので、と言われた。」


らぶか「お父さんの容態は?」


「詳しい状況は教えてくれなかったけど、移送先に着いたら緊急手術らしい。」


では、父はまだ命は繋がっているのか。


「お互い、着替えとか取りに自宅に一旦戻りたいところだけど、もうこのままで移送先の病院に向かった方がいいと思う。会社出られる?」

らぶか「うん。じゃ、私新幹線手配するよ。17時に駅で待ち合わせよう。」

急いで書類を片付け、残ったスタッフに仕事を託します。会社を飛び出し、駅に向かいながら、ぐるぐる色々なことを考えていました。


父が搬送された病院は、実家があるエリア内では大きな総合病院だ。

あの病院で対応できないくらいの状況なのだ。

ドクターヘリで移送しなくてはいけないということは、命に係わる深刻な状態なのか。


自分の手が震えているのが分かりました。 


落ち着け。落ち着け。


今、ここでテンパっても仕方がない。


詳しい状況が知りたいのに、母に連絡が取れないとは。
 
駅で姉と合流しました。


翌月始めに、姉と会い、夫の不倫を告白する予定でしたが、結局、姉とすぐに再会することになってしまいました。


その場で新幹線をもう一本早い便に変更し、乗り込みました。新幹線はすぐに出発します。

移送先の病院は郊外にありました。


病院に着くまで、2時間半はかかる。。。


父は今どんな状況なんだろう。


移送先に着いたのか。


手術は始まっているのか。


それともまさか。。。


考えたくない最悪の状況が頭に浮かび、急いで打ち消します。

お父さん、待ってて。


一方、自分の中の冷静な部分では、最悪のケースを覚悟はしないといけないのだろう、とも思っていました。

姉と共に座席に着き、今日これからのこと、病院に泊まりがけになる可能性など、準備すべきことなど、一通り話し合い、一息ついた時。


姉が突然言いました。


「らぶか。この新幹線に乗っている時間はどうせ私たちは何もできない。この前言っていた、らぶかが話したいって言ってたこと、今話して。」