今日、夫は家を出て行きました。


離婚届を出した後も、同居はしばらく続いていたので、今日が本当のお別れの日でした。

夫が去った後の広い部屋で、前日のピクニックで作ったお弁当の残りを1人食べながら、夫が去るまでの今日1日を振り返っているところです。


「最後の昼食にはカレーライスを作って欲しい」


と1週間前からお願いされていました。


カレーを食べたら、出て行くと言っていたのに、食事が終わった後も、なんだか夫うだうだしていました。


その後、


「出てくの1時間延長していい? 最後にらぶかが入れた珈琲飲んでから行きたい」


と言われ、私またキッチンへ。


(あと少しのガマンガマン。)


夫は珈琲を飲み終え、ベランダで一服してから、ボストンバッグを肩に掛け、私の前に立ちました。

「色々とありがとう」


と小さな声で言い、ぴょこっとおじぎをしました。

数日前から、彼が少し感傷的になっているのは感じていました。


綺麗に円満に別れましょう、最後の時を思い出深いものにしましょうオーラが出ていたんですよね。


前日ピクニックをしたのですが、夜は夫が予約してくれたお店で夕食をとりました。

前の週に、らぶかの好きなお店で最後ご馳走するよ、と言うので、


「じゃ、焼肉。」


と答えておきました。


夫的には、初めてデートした時のレストランとか、雰囲気のあるお店を期待していたのでは。


感傷的なディナーにはさせません。


焼肉屋に入った時も、シャンパングラスを注文したがっていました。

記念日はいつもシャンパンだったからです。


「あ、私梅酒ソーダ割りにするわ。」


「えーっシャンパンにしないのー」


ゴリ押しする夫を無視し、店員に梅酒をオーダー。

夫、ちょっと面白くなさそう。


帰宅後は、ソファで寛いでいると、CDジャケットを10枚くらい持ってきて隣に座ってきました。


「この中から何が聴きたい?選んで。」


と言いながら、喜々として、紙芝居のように一枚ずつ私にジャケットを見せていきます。


子供かっ。


その中にマイルスデイビスのジャズアルバムが2枚含まれていました。

マイルスデイビスは、夫と昔出会った頃に一緒に聴いたアルバム。感傷的になるには持ってこいのアイテムです。

1枚は「枯葉」。


もう1枚は何と「いつか王子様が」。


思わずジャケット2度見してしまいました。


離婚した夫婦の最後の夜に、


「いつか王子様が」。


夫なりのジョークだったのでしょうか。。。


もちろん私スルー。


夫、予想が外れたのか、2巡目の時、マイルスデイビスの時だけ、これを選べと言わんばかりに私に近づけます。


それでもスルー。夫僅かに口とんがらせました。


結局私が選んだCDは、


マイケルジャクソンのスリラー。


よって、夫婦最後の夜は、マイコーの


「フォー!」


の雄叫びが鳴り響くことになりました。


とまあ、こんな感じで、この数日間、夫だけが勝手に感傷的になっていたのです。


さて、夫退去の瞬間に話を戻します。


私の前に立ち、


「色々とありがとう」


と小さな声で言い、ぴょこっとおじぎをしました。

おじぎをして上半身を起こした時の彼の顔を見たとき、

彼の目が少し潤んでいることに気づきました。


その潤んだ目を見た瞬間、私も涙が出そうになりました。

涙は見せたくない。


見せれば誤解される。


お腹に力を入れ、ぐっとこらえて言いました。


「就職活動頑張って。決まったら報告して。」


彼の表情は寂しそうに見えました。
彼なりに感傷的になっているのでしょう。


貴方の涙の意味は分からないけど、私の涙の理由は貴方とはたぶん違う。


これは悔し涙だ。


散々私を傷つけ、どん底に陥れ、離婚という結末を作ったのは貴方だ。


勝手に感傷的になっている彼を見て、何も理解していないことをまた再認識させられ、ただただ悔しくて虚しくなった涙なのです。


2人の別れを感動的な最後にしたくない。


普段の外出を見送る時のように、私は夫を玄関から送り出しました。


エレベーターに向かって通路を歩いているであろう夫を見守ることもなく、私は玄関のドアを静かに閉めました。


しんみり涙を見せた彼がこれから向かう先は、


不倫相手宅から僅か徒歩10分のところにあるウィークリーマンション。


好きなだけ感傷に浸って、次は首を長くして待つ彼女の元へ。


私は何も知らないと思っているみたいです。


彼の私に対するこの数日間のこれらの感傷的なふるまいは、

1年半前夫に離婚を突然切り出された時に失った私の自尊心を少しだけ取り戻すものではあったけど、

視界に入らなくなれば、私はいずれ夫の記憶から消えるのでしょう。


「らぶかがいずれこの部屋を出て行く時は、鍵を預かるついでに何処かでお茶しよう。」


玄関を出る時、遠慮がちに夫は言いました。


はいともいいえともとれない微妙な微笑みを返して、夫を送り出しました。


楽しい人だったし、親友のような、兄妹のような(姉弟?)、同志のような存在に思っていたけれど、

もう私に関わらないで。


もう十分傷ついたから。


前を向いて歩かせて。


今はそんな気持ちです。





突然ですが、


松山千春の「恋」って曲ご存知ですか?


この歌は、同棲していた彼に別れを告げて部屋を出て行く女性を歌ったものです。


私の場合は、夫が先に部屋を出て行ったので、少しシチュエーションは違うのですが、今の私の気持ちはこの女性と似た気持ちです。


先日の長渕剛といいフォークソング系が何故か続いていますが、私はこの曲オンタイムで聴いていたわけではありません。


まだまだ小さな小学生でした(笑)。



「 恋  」

松山千春 



愛することに疲れたみたい 

嫌いになったわけじゃない 

部屋の灯はつけてゆくわ 

カギはいつものゲタ箱の中 



きっと貴方はいつものことと 

笑いとばすにちがいない 

けど今度は本気みたい 

貴方の顔もちらつかないわ 



男はいつも 待たせるだけで

女はいつも 待ちくたびれて

 それでもいいと なぐさめていた

それでも恋は恋



多分貴方はいつもの店で

 酒を飲んでくだをまいて

 洗濯物は机の上に

短い手紙そえておくわ



今度生まれてくるとしたなら

やっぱり女で生まれてみたい

だけど二度とヘマはしない 

貴方になんかつまずかないわ 



男はいつも 待たせるだけで 

女はいつも 待ちくたびれて 

それでもいいと なぐさめていた 

それでも恋は恋 



それでも恋は恋 









二度とヘマはしない

貴方なんかにつまずかないわ



目を潤ませる彼を見て思った私の率直な気持ち。


精一杯自分を奮い立たせなければ、彼の前で立っていられませんでした。


引越まで日がないので、本当は今夜からでも準備始めなければいけないのですが、


ずっと張り詰めていた糸が切れてしまったのか、やる気が起こらず、こうやって記事を書いてしまいました。

明日から、引越の準備を始めます。


感傷に浸っている暇はありません。


今度こそしばらく記事書けないかもしれませんが、また戻ってきます!


らぶか