「オレンジとアップルと9cm王国」ですぞぃ♪
定期購読している方は〜
ちゃぁんと届いているはずだがぁ〜
ちょいと、
「真夏のデザインフェスタ」情報が長引いたため〜
ご無沙汰しておったー
やっぱり、定期購読した方がいいかなん、って、
思ったら〜ん、
こちらへどうぞ〜ん♪
「BOMB書店☆静かなる読書」ですがな〜♪
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【★】「オレンジとアップルと9cm王国」 第四部
☆ 第四十二章 「J」という文字 ☆
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「J」と、ギュンが呟く。
うっすらと開けた目を何度も瞬きしながら。
「見えるのかい?」
とシュウオンが聞く。
「見える。まだ、この目が少しは機能しているってことだね」
とギュンが、石の側面に刻まれた「J」という文字を見ながら答える。
「十分、機能しているよ。よかった」
とシュウオンが、ホッとしたように言った。
「心配かけて、ごめんよ。シュウオン。
君の言う通り、少し休めば、回復するかもしれない」
「ああ。そうだよ。ギュン」
「けど…」
「けど?」
「気になるな。このJという文字」
「うん。Jということは、
ドクターJ・ジョーカー氏の石ということになるのだろうか?」
「だとしたら、
ここは、ドクターJ・ジョーカー氏の敷地内ってことになるのかな?」
「だとしたら…」
「妙に先の尖ったポールは、この近くということになる」
と、ギュンとシュウオンが同時に言って、
お互いの顔を見合い、それから、辺りを見渡した。
相変わらずの暗闇だが、
泥の波で倒れている木々の葉に、水滴が煌めいている。
「まるで、星のようだね」
とギュンが呟く。
「そうだった。その星のような水滴を
君に持ってこようと思ったんだった」
と言って、シュウオンが羽ばたいた。
「いいよ。シュウオン」
とギュンが言った時には、
すでに、シュウオンは飛び立ち、近くの木へ移動していた。
ギュンは、また、目を閉じた。
「あの赤い光を直視してから、
全身の力が抜けてしまったようだな…
この羽…動かせるだろうか…」
とギュンは、自分の羽を動かそうとしてみた。
だが、体に電流が走ったような痛みを感じ、
少しも動かすことができなかった。
「…このまま、少し休めば、回復するものだろうか…」
とギュンは考え、
それから、ゆっくりと自分に言い聞かせるように呟いた。
「ギュン。君は、もう十分、働いたじゃないか。
シュウオンという仲間もできて、
そして、赤い光を追いかけた。
あの赤い光が何であるかは、はっきりとは分からないが、
きっと、きっと…」
その時、シュウオンが嘴に水滴を含んで、戻ってきた。
ギュンは、シュウオンを見る。
「ああ。シュウオン。ありがとう。
その水滴で、僕の目を濡らしてほしい」
とギュンが言う。
シュウオンは、言われた通りに、
嘴に含んだ水滴をギュンの目に垂らした。
静かな闇の中で、
ギュンの目の中に入っていく水滴が、
ポトンと音をさせたような気がした。
ギュンが
「ううう」と唸った。
「ギュン。大丈夫か?」
とシュウオンが慌てて聞く。
「大丈夫だ。シュウオン」
とギュンは言い、そして、続けて、
「僕は、分かったんだよ」と言った。
「え? 何が分かったの?」
とシュウオンが聞く。
「ここの場所だよ」
とギュンは答える。
「ここの場所?」
とシュウオンが聞き返す。
「そうだよ。ここの場所。
ここは、塀の外だ。
ドクターJ・ジョーカー氏の敷地内だったら、
こんな石があったことを僕らは知っているはずじゃないか。
いくら広いドクターJ・ジョーカー氏の敷地内だったとしても、
僕らは、その敷地内にいたんだからね。
でも、こんな、石、僕らは知らない。
だとしたら、塀の外だってことになる。
でも、あのドクターJ・ジョーカー氏が、
自分の敷地の外に、
自分の名を刻んだ石を置いておくだろうかと考えると、
それは、違う気がする。
としたら、ここは、どこか?」
「ここは、どこか?」
とシュウオンが、また、聞き返す。
ギュンが何を言おうとしているのかを理解しようとして
何も考えられない自分に戸惑いながら。
「…もしかしたら、だけど…
ここは、塀の外であって、塀の中かもしれないって、思ったんだよ」
「塀の外であって、塀の中かもしれない?」
とシュウオンは、また、聞き返す。
「君は、知っているよね?
白いネコのキャロルが塀の中に迷い込んだってことを」
とギュンは言う。
「え? だとしたら、
その白いネコのキャロルが迷い込んだ塀の中に、
僕らは存在しているってこと?」
「ああ。そう。だから、太陽がない」
「え…」
とシュウオンは絶句した。
シュウオンは、かつて、鳥籠に入ったキャロルを運んで、
ドクターJ・ジョーカー氏の屋敷の部屋に連れて行ったことがある。
塀の中に入り込んだキャロルを運び出したのだから、
塀の外であったはずだ。
それから、影の森へ行ったり、影作りの家に行ったこともある。
しかも、すでに、塀の中は、石が落ちて壊れてしまったはずだ…
とシュウオンが考えを巡らせた時だった。
「つまりさ。ねじくれたんだよ。
僕らだって、十五羽揃って、
オレンジが木に放った作られた影を運んだりしていた。
でも、それは、塀の外での出来事だったはずだ。
だけど、泥の波が襲いかかって、何もかもがひっくり返ったじゃないか。
表も裏もなくなった。
あの塀は、ただの塀じゃない。
だって、あのオレンジとアップルが作った塀だ。
あの塀には、いろんな絵が描かれていて、
あの塀ができたとたん、
ガラスの城ができたり、
キャロルが塀の中に入ってしまったりした。
つまり、塀の中とは、塀、そのものの中のことでしょう?
つまり、ドクターJ・ジョーカー氏の敷地内と
敷地外の間に塀を作ったことによって、
第三の世界が現れたってことだよね。
塀の中に」
To be continued.
