それは突然に
その日は長男がものすごい勢いで帰ってきたんです。
いつもよりも早く。
しかもその曜日は、次男も一緒に帰ってくるはずなのにいないんです。
「急いでたから置いてきた!」
そう叫ぶと同時に、ランドセルを玄関に放り出し、かけていきました。
トイレに。
そんなに長い時間ではなかったけれど、いつもより長い。
そんな風に感じました。
いったいいつまで入ってるんだろう。そう思って、廊下をみると、
全開じゃないですか!扉が!
「ちょっとお腹が痛くてさ。次のバスまで次男を待つより、帰ったほうが早いと思って」
そう釈明すると、長男は次のバスで帰ってきたであろう次男を迎えに行きました。
「ただいまー!トイレ!トイレ!漏れちゃうー」
次男の元気な声が家中に響きます。
犯人は誰だ!
その日は長男の塾の日。出かける前に用を足そうと私もトイレへ入ります。
ふと、便器の底に目をやると、見えるじゃないですか。
茶色くて、ちょっと大きな塊が。
流石に男子3人の母です。こんなことよくあります。このくらいじゃびっくりしません。
「ちょっと誰よー!トイレのあと流してない人!」
子どもたちのいる2階へ叫びながら、洗浄レバーをめいっぱい引いたのでした。
本来なら流れていくはずのそれが流れない。どんどん上がってくる水面に恐怖を感じ、思わず私は叫びました。
「誰だー!う○こしたやつーーー!」
叫び声と合わせるかのように、縁ギリギリまできた水面の上昇は止まりました。
「僕じゃない!僕う○こしてない」慌てたように降りてきた次男。
そして、申し訳なさそうな顔で「俺だ。したの。でも流したよ。ちゃんと」と言いながら降りてきた長男。
「お腹が痛かったんだよ。それで、ギネスかな?ってくらい長いのがさ。流れなかったんだ」
長男は釈明を続けます。
「またお前か」
私の口から出たのはそれだけでした。
続く。
RABIのmy Pick