歴史におけるポジとネガの反転 | 方丈随想録

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中国の歴史は王朝の交替の歴史だが、その王朝の交替は同じ漢民族の間で行われたわけではなく、異民族による所謂「征服王朝」というものがある。近くは満州族による清朝があり、更に遡るとモンゴル族による元朝がある。更に遡ると金朝、西夏、唐朝、隋朝もそうだ。したがって、中国の王朝の交替は民族間戦争の色彩が強く、新しい王朝が成立するということは、それ以前の王朝の痕跡を抹殺することにつながる。だから中国を旅行しても、歴史が長い割には見どころが少ない。

最近の中国の人口は14億人というが、中国の歴史を眺めると、15世紀までの中国の人口は1億人を超えることはほとんどなかったようだ。14世紀末に明朝が成立すると人口が増え始め、15世紀半ばに1億2千万、1500年に1億5千万、1600年に1億7千と順調に増える。1644年に明朝が清朝に代わるのだが、その際の王朝交代は中国民衆にはほとんど被害を与えず、したがって民衆は王朝の交替したことに気が付かなかったという。さもありなん。清朝の軍隊には明朝の中核部隊が組み込まれていたのだから。したがって、明・清時代の中国社会に断絶がなかったものだから、社会史的な時代区分では「明・清時代」というくくりで理解される。この時代は中国経済が自立的に発展し、人口も順調に増え、遂には増え過ぎるまでになった。

明代の豊かな中国に近隣の武装集団が侵攻し、一部中国人と連携して乱暴狼藉を行った。これが「倭寇」だ。ただし、「倭寇」は江戸幕府の樹立とともに消滅した。中国に次いで侵攻したのはイギリスで、イギリスは自由貿易を掲げつつ、裏ではアヘンを大量に密輸して中国を内部から腐敗させた。かくして、19世紀初頭には世界最大の経済大国であった中国は凋落していく。

「改革開放」以降の中国は習近平に至って歴史的なリベンジを展開中だ。世界戦略としては「一帯一路」を唱え、大英帝国が西から東に拡大した逆コースを辿るとともに、南シナ海や西太平洋への進出を試みている。そしてアメリカにはアヘンに代えてドラッグを密輸し、アメリカ社会の崩壊を密かに助長している。21世紀のアヘン戦争は中国がアメリカに仕掛けているわけだ。そして、中国は日本にも触手を伸ばしている。日本の「倭寇」を逆手にとって、在日中国人(華人)と親中派日本人が提携して中国の影響力の増大を画策している。日本における中国利権を不当に拡大したい連中を「華寇」と言ってもいいだろう。最近の自民党のパーティ券問題の問題点はここにある。国益を軽視して中国に媚を売る政治家を炙り出して反省を求めようというのが特捜部の狙いの一つではないだろうか。

ただ如何せん。中国は国土に比して余りに過剰人口で、今後経済的な苦境が増加すると、自らの重みで30年前に逆戻りするだろう。その逆戻りの激動が中国発の津波となって日本にも襲ってくるだろう。その種の津波対策ができる人物をリーダーにできる日本の政治を作りたいものだ。