麻酔科医からの説明を受けている途中で泣き始めた赤ちゃんは、説明が終わる頃には泣き止んでいた。
麻酔科医は部屋を出ていき、S看護師が残った。
S看護師「赤ちゃんが手術室に向かうまで、ここで過ごしてもらって大丈夫です。お母さん、そろそろ搾乳されますか?」
さっき搾乳してから3時間ほど経っていた。
相変わらず胸が痛いけど、さっきの様子からすると出るとは思えない。
それでもやらないよりいいかもしれない。
私「そうですね…。やってみます。」
S看護師「じゃあ、準備してくるからちょっと待っててくださいね。」
そう言って部屋を出ていった。
看護師さんと話をしている間に夫は落ち着いてきたようだった。
夫「あれはあかんわ。自分の子どもがあれだけ泣き叫んでるのに、目の前で淡々と話し続けるねんもん。」
私「すごい泣き方やったもんな。なんか痛いことされてたんかな?」
夫「ここにいる人たちは慣れてるんやろうけど、あれはあかん。泣いてまうわ…。」
しばらくするとS看護師が戻ってきた。
S看護師「電動の搾乳器持ってきたから1回使ってみて。ちょっと胸見せてもらっていい?」
私「はい。」
S看護師「あー…。カチカチやね。これ結構痛いよね?ちょっとごめんね。」
助産師さんがしてくれたように手で搾乳しようとしてくれた。
でもやっぱりほとんど出ない。
しかもめっちゃ痛い…。
S看護師「うーん…。出ないなぁ。ちょっと搾乳器でやってみてくれる?電動やから胸に当ててるだけでいいからね。強さはここで調節できるから。」
搾乳器の使い方を説明してくれたあと、部屋から出ていった。
夫に背中を向けて胸に搾乳器を当ててみる。
なんか牛になったみたい…。
そう思いながらしばらく当ててみたけど、電動の搾乳器を使ってもあまり出てくる様子はない。
うーん…。
この痛みはどうすればいいんだ…。
20分くらい経ったころ、S看護師が戻ってきた。
S看護師「どうですか?」
私「うーん。あんまり…。」
S看護師「そうかー。胸もまだカチカチやもんねー。搾乳できた分はさっきみたいに保存しとくからね。」
私「お願いします。」
S看護師「じゃあ、これ片付けてきますね。」
そう言ってS看護師が部屋から出ていったけど、すぐに戻ってきた。
S看護師「そろそろ手術室に向かうみたいなので、赤ちゃんのところに行きましょうか。」
部屋を出てすぐ隣のスペースにいた赤ちゃんのところへ向かう。
泣き疲れたのか鎮静されているのかわからないけど眠っていた。
赤ちゃんの周りには数名の医師や看護師がいた。
医師「脱水になってたから、なかなか点滴の針が入らなくてちょっと泣かせてしまいましたけど、無事に入りましたよ。」
さっき泣いていたのはそれか?
そのあと麻酔科医も来て色々確認をしていたけど、赤ちゃんに繋いでる麻酔とか薬剤を入れるときに使う器具の色が違うとかで揉めだした。
結局このままでいいってことになったみたいだけど…。
他にもああでもないこうでもないっていう会話が多かった。
この人たちに赤ちゃんを任せて大丈夫なんだろうか…。
後で夫に聞くと夫も同じ事を思っていたらしい。
生まれたばかりの赤ちゃんが手術を受けるという、ただでさえ不安な状況なのに、目の前でそんなやりとりされたら余計に不安になってしまった。
せめて私たちがいないときにしてほしかった…。
医師「そろそろ行きましょうか。」
そう声をかけられ、手術室へ向かった。
S看護師「ご両親はここまででお願いします。」
手術室の前で私たちは止められた。
私「頑張っておいで。」
私は赤ちゃんに声をかけて、手術室に入っていく赤ちゃんを見送った。
おいしそう♥️
6種類入ってるの嬉しい!
贅沢したーい!