『来るな』と拒んだ言葉に


「進むかどうかは俺の意志だ、俺が決める」

冷静に…穏やかに…
澄んだ瞳でこちらに近づく


足もとが近づくごとに
僕の鼓動がざわつく…
これは焦りなのか…苛立ちなのか…

近づきながら…薄紅色した唇が開く

「 不安がるな、存在しているのか確かめるだけだ 」



《 …不安? 僕は…何に不安がってる? 》


 ジンワリと背中に
汗が滲んでくるのが分かる


この人のチャコール色した瞳に
魅入られた時点で僕はすでに
掻き乱されて…いたんだ


《 この人に…触れられてはいけない 》


後退りするカラダを堰き止めるのは
拠り所にしているはずの…大木



《 来るな…触れるな… 僕に近づくな。… 》