大木に寄り添う
きみの姿は
この木の聖霊みたいで

触れてしまうとそこから
消えてしまうんじゃないかと
……そう思った


柔からな髪の毛先
長く伸びた睫毛に
微かに光る滴


今にも落ちそうな滴を
指でそっと拭おうとした時


「 僕に触るな。」

線の細い指先で
俺の手は払われた


綴じられていた瞼の奥に
漆黒の輝きを見た


「 すまない…本当にきみが 存在しているのか確かめたかった。」