第31話【ミドルシニア世代の智慧】
*ベテラン再教育の投資効果は幻想?(人材の育成)
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経験者のスキルアップが失敗する本当の理由
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いつもお読みいただき有難うございます。
経営戦略コンサルタント
組織変革コンサルタント
の渡邉ひとしです。
ベテラン社員の再教育は未来への投資だ
という耳障りのよい言葉が
多くの中小企業で失敗に終わっています。
経営者は研修予算を計上し
社員は義務的に参加しますが
実務への反映率は
1割にも満たない現実があります。
この失敗を回避する解決策は
学習内容の押し付けから
実務直結型の段階的変革への転換です。
具体的には
業務プロセスの中に学習機会を埋め込み
小さな成功体験を
積み重ねる設計が必要です。
なぜこの方法が有効かといえば
経験者は全否定されると防御反応を示し
学習意欲が急激に低下するからです。
段階的な変革ならプライドを保ちながら
新しいスキルを獲得できます。
今回は
再教育が失敗する構造的要因と
中小企業が陥りやすい罠を明らかにします。
さらに
限られた予算と人員で
実行可能な改善策を提示します。
*写真はイメージです
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経験者が学習拒否に陥る組織構造の欠陥
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多くの企業が見落とすのは
ベテラン社員の学習意欲を削ぐ
組織体質です。
評価制度が年功序列のまま
新スキル習得が
給与や昇進に反映されません。
さらに深刻なのは
管理職自身が新技術を理解せず
部下の学習を評価できない矛盾です。
実際 多くの50代社員は
今さら新しい技術を覚えても
定年まであと数年と考えます。
会社側も暗黙的にその姿勢を容認し
若手に技術習得を押し付けます。
その結果
組織全体のデジタル化は
表層的なツール導入に終始し
業務プロセスの
本質的な変革には至りません。
問題の根源は経営層が再教育を
一時的なイベントと捉える点にあります。
月1回の研修や
年数回のセミナー参加では
日々の業務習慣は変わりません。
必要なのは
業務フローそのものを
学習機会に変える仕組みづくりです。
中堅製造業のA社ではIoT導入に伴い
全社員向けデジタル研修を実施しました。
しかし
シニア世代の現場班長は
机上の空論だと反発します。
研修後も
従来の紙ベースの管理を続けました。
経営陣は強制せず結果的に
IoTデータは活用されませんでした。
半年後
競合他社に生産性で大きく差をつけられ
初めて危機感を持ちました。
その後
現場班長の日常業務に
少しずつデジタルツールを
組み込む方式に変更しました。
エクセルでの簡単な集計から始め
3か月後には
基本的なダッシュボードを
使いこなすようになりました。
強制ではなく
実務での必要性を実感させる順序が
重要だったのです。
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アンラーニングを阻む成功体験の呪縛
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経験者の再教育で最も困難なのは
過去の成功体験を手放す
アンラーニングです。
しかし多くの企業は
このプロセスを軽視し
新知識の上書きを試みて失敗します。
ベテラン社員にとって
過去の成功体験は
自己アイデンティティの一部です。
それを否定されれば
存在価値まで否定されたと感じます。
だからこそ単純な
「古い方法は間違い」
「新しい方法が正解」
という二元論では
感情的な反発を招くだけです。
より現実的なアプローチは
既存スキルの部分的な更新です。
例えば
対面営業の経験を活かしつつ
オンライン商談の技術を追加する。
手書き図面の技能を残しつつ
CADの基本操作を習得する。
このような
ハイブリッド型の学習設計が
抵抗感を最小化します。
ただし
この方法にも限界があります。
市場環境が激変する業界では
部分的な更新では
競争力を維持できません。
その場合は
配置転換や早期退職制度の検討も
避けられない現実があります。
IT企業のB社で
古い技術や仕組みで構築された
情報システムの保守を担当していた
シニア世代のTさんは
クラウド化の波に取り残されました。
あるプログラミング言語の専門家でしたが
需要が激減しました。
会社は再教育を試みましたが
Tさんは基礎から学び直すのは無理
と拒否します。
最終的に
Tさんの業務知識を活かし
システム移行プロジェクトの
要件定義の担当に配置転換しました。
技術的な実装は若手が担当し
Tさんは顧客との調整役に専念します。
その結果
プロジェクトは成功しTさんも
新たな役割に価値を見出しました。
全員を技術者として
再教育する必要はなく
強みを活かした役割分担が
現実的な解決策でした。
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今日のまとめ
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経験者の再教育とスキルアップは
理想論だけでは成功しません。
・組織構造の欠陥
・成功体験への執着
・画一的な教育プログラム
これらが失敗の主因です。
第一に学習が評価や
報酬に反映されない組織体質では
再教育への動機付けは生まれません。
第二にアンラーニングを
全否定と捉えず
既存スキルとの融合を図る設計が必要です。
第三に全員を
方向に教育するのではなく
個々の強みを活かした
役割の再定義が現実的です。
中小企業の限られたリソースでは
大規模な研修プログラムは非現実的です。
むしろ
日常業務に学習機会を組み込み
小さな成功体験を
積み重ねる地道な取り組みが
持続可能な変革につながります。
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*次回発行は11月19日水曜日の予定です。
第31話『組織文化と人間関係の深いつながり』
「組織の人間関係」がテーマです。
次回もどうぞ宜しくお願いいたします。
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岐阜県公認 /コミュニティ診断士
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<令和2年度迄>
中部大学 人文学部心理学科 非常勤講師
<令和元年度迄>
愛知産業大学 経営学部経営学科
造形学部デザイン学科・建築学科 非常勤講師
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<著書>
『ビジネスモデル虎の巻!』 (2019年)
『恩師から受けた薫陶と恩送り(仮)』
(2026年)
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