こんにちは。
渡邉ひとしです。
第315話のテーマは
『株主や投資家への配慮』です。
(ビジネスモデル=月曜・金曜の平日投稿)
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<日本窒素肥料>が母体だった企業
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1926年に
「日窒コンツェルン」の中核企業である
<日本窒素肥料>が<信濃電気>と合弁で
石灰窒素を生産するため
<信越窒素肥料>を設立しました。
1940年に
<信越窒素肥料>は<信越化学工業>に
社名を変更しました。
日本の敗戦に伴い「日窒コンツェルン」は
朝鮮半島などの大半の財産を喪失し
GHQによる財閥解体により
<信越化学工業>と<日本窒素肥料>との
資本関係は絶たれました。
1960年に
<信越化学工業>は
<信越ポリマー>を設立しました。
1967年に
<信越化学工業>は
<信越半導体>を設立しました。
1976年に
<信越化学工業>は
<信越エンジニアリング>を設立しました。
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信越化学工業のビジネスモデル
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2016年7月に
稼働したばかりのベトナム工場で
モーター用のレアアース磁石を
2倍に増産することを決めました。
ハイブリッド車や電気自動車に加えて
産業用ロボットなどでも
需要の拡大が見込まれています。
これまで中国で合金を溶解して
ベトナムに送っていましたが
今回の新設備は
「溶解~粉砕~プレス成型~焼成」
までを一貫して手掛けます。
1箇所での生産により
移動コストが軽減されるため
コスト競争力を高めることができます。
2017年7月に
「2018年3月期」の連結純利益が
前期比8%増の見込みと発表しました。
「2008年3月期」以来の
10年ぶりに過去最高を更新します。
二枚看板である
「半導体ウエハー」と
「塩ビ樹脂」も好調ですが
電気自動車や産業用ロボットに使う
モーターの性能を左右する
レアアース磁石や
半導体の回路書き込みに使うフォトレジスト
回路原版材料のマスクブランクス
なども高い競争力を持つ製品に育っています。
2017年8月に
アメリカの子会社であるアクロン工場の
シリコーンの生産能力を
現在の2倍程度にすることを表明しました。
新規に生産設備を導入するほか
化粧品や日用品に多用される
乳化剤の設備を初めて設けます。
シリコーンは高い撥水性や耐熱性を持ち
皮脂や汗による化粧崩れを防いだり
コンタクトレンズの酸素透過性を高めたり
電子部品の放熱にも使われるなど……
幅広い用途を持っています。
2017年10月に
光ファイバーの主要材料である合成石英の
中国子会社の生産能力を
倍増することを表明しました。
2020年頃に先進国で予定される
次世代無線通信である
「第5世代(5G)」の導入に向けて
大容量通信に適した光ファイバーの需要が
拡大すると見通して増産を決めました。
さらに
土木・建築材料や医薬品向けで
需要が拡大している
化合物の「セルロース誘導体」を
増産することを表明しました。
錠剤を体内で溶かす
水溶性の性質を持たせたり
海洋建設物のセメントや塗料で
材料を固めやすくする機能を持たせたり
幅広い業界で使われていて
<信越化学工業>は
この「セルロース誘導体」で
世界2位のシェアを持っています。
2018年1月に
「2018年3月期」の連結営業利益が
前期比35%増になりそうと発表しました。
半導体の基板となるシリコンウエハーの
販売価格が上昇して採算が改善していて
アメリカでの販売が伸びています。
2018年4月に発表した
「2018年3月期」の連結決算は
純利益が前期比51%増になりました。
主要事業である塩化ビニール樹脂や
半導体シリコンウエハーなどの値上げで
採算性が改善しました。
そのほかの事業も販売数量が伸びて
10年ぶりに過去最高を更新しました。
2018年7月に
アメリカで塩化ビニール樹脂の新工場を
建てることを表明しました。
従来はナフサを原料にしていましたが
現地産のシェールガスを使った
エチレンから製造することで
従来の半分のコストですみます。
アメリカの設備投資減税を追い風にして
原料から塩ビまで一貫生産体制を築いて
アメリカ内外の需要を取り込む狙いです。
2018年10月に
2021年4月の完成予定で
福井県の工場を増設すると発表しました。
「フォトマスクブランクス」と呼ぶ
金属製の回路パターン基板で
半導体の集積回路の原版の材料になります。
人工知能や高速通信向けの
需要の高まりに対応して
半導体の微細加工に使う材料を
全社ベースで30%増産します。
<信越化学工業>は……
ハイリスク・ハイリターンの
半導体シリコン事業
ミドルリスク・ミドルターンの
塩化ビニール事業
ローリスク・ハイリターンの
シリコーンや電子・機能材料などの事業
というように
バランスの良い成長を続けています。
2018年3月時点で
保有する現預金などから有利子負債を除いた
「ネットキャッシュ」が
1兆円を突破していますが
現在のビジネスモデルを継続しながら
株主への還元や投資家への期待に
どう応えるかが注目されるところです。
(*次回投稿は11月12日月曜です)
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【経営の無料相談2時間:連絡先】
ブランド経営コンサルタント 渡邉ひとし
(株)未来デザインカンパニー 代表取締役
E-mail:mirai-design@ogaki-tv.ne.jp
TEL:052-766-6988
Mobile:080-4806-1553
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今日の事例で何を学べるでしょうか?
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順調な業績を進める企業は……
内部留保という内向きだけではなく
株主への還元や
投資家への期待に応えるために
具体的な手を打つことが
強く求められる。
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チェックできる本になっています。
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◉理想のお客様 ◉協力者 ◉主要活動
◉選ばれる理由 ◉収益 ◉チャネル
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経営コンサルタント(ブランド経営)
(社)ビジネスモデルイノベーション協会
公認ジュニアコンサルタント
愛知産業大学 非常勤講師
中部大学 非常勤講師
株式会社 未来デザインカンパニー 代表取締役
渡邉ひとし
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〔投稿内容〕
投稿文の数字及び企業名などは
日経新聞などの公開情報に基づいた
記述に徹しています。
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