こんにちは。 

渡邉ひとしです。 

 

第295話のテーマは 

『海外進出と新規事業の開発』です。 

 

(ビジネスモデル=月曜・金曜の平日投稿) 

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経営統合に反対する創業家   

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1985年1月1日に 

<昭和シェル石油>は 

石油元売会社であった<昭和石油>と 

 

石油製品の輸入・販売業務の 

<シェル石油>が合併して発足しました。 

 

◉「石油事業」 

◉「エネルギーソリューション事業」 

◉「その他事業」 

 

という3つの事業の中でも 

「石油事業」が主力の事業になります。 

 

2015年に 

<昭和シェル石油>は<出光興産>と 

経営統合をすることを発表しましたが 

 

<出光興産>の創業家の強い反対により 

経営陣との対立が連日報道されました。 

 

2016年12月までに 

公正取引委員会の審査が完了したため 

 

 <ロイヤル・ダッチ・シェル>は 

<昭和シェル石油>の株式を 

<出光興産>に31.2%譲渡しました。 

 

その後も 

<出光興産>の創業家の反対は続きます。 

 

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<昭和シェル石油>のビジネスモデル 

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2017年5月に 

<昭和シェル石油>と<出光興産>は 

 

原油からガソリンや軽油をつくる 

精製や物流で提携しました。 

 

石油製品の生産受託・委託や共同配送で 

240億円程度の利益押し上げを狙います。 

 

その240億円の内訳は…… 

◉原油の共同調達や共同配船:10億円 

◉石油製品や原料の相互融通:120億円 

◉精製コスト削減や  資材の共同調達:70億円 

◉物流:40億円 

 

出光創業家の合併反対の姿勢が変わらず 

合併に向けての早期決着は困難と判断して 

業務提携を先行させることを決めました。 

 

2017年7月に 

東京地裁は<出光興産>の 

公募増資を認める判断をしました。 

 

2017年8月に 

電力小売り地域を首都圏以外にも 

広げると発表しました。 

 

ガソリンの値引きや夜間の電気料金の 

値下げのプランを用意して 

新規顧客を獲得する狙いです。 

 

2017年9月に 

家庭向けの太陽光発電システムの販売で 

<積水ハウス>と提携すると発表しました。 

 

国が住宅の省エネを推進しているため 

中古住宅の改修需要を取り込む狙いです。 

 

2017年12月に 

間伐材や稲わらなどからガソリンに含まれる 

成分を作ることに成功したと発表しました。 

 

<昭和シェル石油>は2013年から 

東北大学と共同開発を進めていて 

 

2025年までに商用化に繋げる 

技術の確立を目指します。 

 

実用化されれば二酸化炭素などの 

温暖化ガスの排出削減につながります。 

 

2018年2月に 

<出光興産>は<昭和シェル石油>に 

取締役2人を派遣する方針を固めました。 

 

<昭和シェル石油>は<出光興産>に 

執行役員級2人を派遣して 

役員の相互派遣で一体的な運営を強めます。 

 

2018年6月に 

<出光興産>と2019年4月に 

統合新会社を設立する方針を固めました。 

 

反対を続けていた出光創業家が 

賛成する意向に転じたためです。 

 

合併による新会社の国内ガソリンの 

販売シェアは30%となるため 

 

首位の<JXTGホールディングス>の 

販売シェア50%に続きます。 

 

国内需要の減少傾向が進むなかで 

収益を安定させ成長余地の大きい 

アジアへの進出を加速する狙いです。 

 

出光創業家は創業者の出光佐三氏が 

提唱した経営理念を守り 

 

創業家側から新会社に 

2人の取締役を入れる条件を提示しました。 

 

創業家側の条件を<出光興産>が 

受け入れたため統合に向け前進しました。 

 

2018年7月には 

2019年4月に経営統合すると 

正式に発表するとともに 

 

新会社の社名を「出光興産」 

とすることも発表しました。 

 

2019年4月に株式交換により 

<出光興産>が<昭和シェル石油>を 

完全子会社化した後に合併する考えです。 

 

<昭和シェル石油>の亀岡剛社長は…… 

「アジア屈指の 

リーディングカンパニーになる」と述べ 

 

<出光興産>の月岡隆会長は…… 

「創業家の合意を得ないと 

前に進めないなか 

 

形式にとらわれずに新会社を 

スタートする形になった」 

と記者会見で述べました。 

 

人口減少や自動車の燃費改善により 

ガソリン等の石油製品の需要は減っていて 

 

全国の給油所数は1994年度の 

ピーク時に比べて半数近くに減少しました。 

 

2015年度までの4年間で7%減った 

ガソリン販売量は2021年度までに 

10%程度減る見通しです。 

 

2018年8月に 

<昭和シェル石油>の系列の給油所に 

ピザ店の出店を始めると発表しました。 

 

宅配ピザの<日本ピザハット>と提携して 

共同で5年で100店舗を出店します。 

 

生活に密着した店舗を併設して 

競合店と違いを出すことで 

顧客の囲い込みを狙います。 

 

同じく8月に 

2019年3月期の連結純利益が 

1000億円になりそうだと発表しました。 

 

従来予想の660億円から 

連結純利益を上方修正したのは 

 

原油価格が想定より上昇したことと 

石油製品の販売マージンも改善したためです。 

 

国内の石油市場が縮小する一方で 

アジアを中心とする新興国の需要は 大きく伸びています。 

 

中国や東南アジア諸国では 

巨大な処理能力を持つ新鋭の製油所が 

次々と完成して 

 

中東産油国も成長市場の取り込みへ 

大型投資を競い合っています。 

 

<昭和シェル石油>は国内の市場以外に 

海外の市場へ進出するとともに 

 

石油以外の事業を開発して 

育成することが求められています。 

 

<昭和シェル石油>は 

従来のビジネスモデルを 

早急に書き換える必要があります。 

 

(*次回投稿=8月24日金曜です) 

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ブランド経営コンサルタント:渡邉ひとし 

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今日の事例で何を学べるでしょうか? 

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国内需要が減少する企業は…… 

海外での事業を視野に入れて 

海外展開に取り組むとともに 主

 

力事業以外の成長分野の事業を 

新たに育成する必要がある。 

 

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(*ブログ=平日の毎日投稿しています) 

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経営コンサルタント(ブランド経営) 

(社)ビジネスモデルイノベーション協会 

   公認ジュニアコンサルタント 

愛知産業大学 非常勤講師 

中部大学 非常勤講師 

株式会社 未来デザインカンパニー  

代表取締役 渡邉ひとし 

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〔投稿内容〕 

投稿文の数字及び企業名などは 

日経新聞などの公開情報に基づいた 

記述に徹しています。 

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