にほんブログ村 歴史ブログ 世界の伝統・文化へ
にほんブログ村

 

インド料理と言えば、スパイスですよね。ただ、スパイスは100種類近くあり、そのすべてを揃えるのは難しい。日本では「カレー・パウダー」を購入して使っている人が多いかもしれませんね。

インドでも、料理によっては、あらかじめ何種類かのスパイスを合わせて粉末にした便利な「マサラ・パウダー」が使われていますが、家庭料理にはホールスパイス(種そのもの)が使われることが一般的です。

 

よく使われるインド・スパイス(写真spurekarによるもの)

 

今日はホールスパイスの使い方として、インド料理の命とも言える「タッカ」(tadka)の概念をご紹介します。

 

タッカとは?

 

タッカとは、クミン・シードやマスタード・シードなどのホールスパイスを、熱した油やギー(澄ましバター)で「パチパチ」させて使うことを言います。「タッカ」という言葉自体、熱した油にマスタードシード等のスパイスが破裂してパチパチ鳴ることを指します。

タッカは二種類あります。調理の始めにするものと、その最後にするもの。多くは始めにします。ただスープ系のものは最後にすることが多いです。

料理によってタッカに使うスパイスも違いますが、一番簡単なタッカは、ターメリック、アサフェティダ、とクミンシードのタッカです。この三つのスパイスのタッカをするだけでもちゃんとインド料理になってくれます。今日はこのタッカを使った二つの料理をご紹介します。

 

ビンディ・サブジ(オクラのおかず)

ビデオは、一旦「設定→字幕」、字幕が出たら、「設定→自動翻訳→日本語」を選ぶと、わりと正確な日本語の字幕が見られます。

材料と作り方:

油を熱し、クミンシードを入れます。次はニンニク、青唐辛子、玉ねぎ、トマトを入れ少し柔らかくなるまで火を通します。その後ごく少量のアサフェティダとターメリックを入れて混ぜ、小さく切ったオクラを入れ、塩を加え、オクラが柔らかくなるまで火を通せば出来上がりです。好みによってパクチーを加えます。

 

オクラ以外にも色んな野菜が同じ作り方で作れます。

 

ダール・タッカ(豆スープ)

料理の最後にするタッカは「チョーンク」とも言い、これはスープ系のものに、上から熱した油を加える時にする「シー」という音から来ている言葉です。チョーンクの例は、この簡単なダール・タッカのレシピを見てください:


 

材料と作り方:

ハトエンドウ(皮なし、半分に割れたもの)1.5カップを洗って5~10分水に浸します。圧力鍋に浸した豆(ダール)、塩小さじ1/2、ターメリック小さじ1/2、冷水2.5カップを加え、柔らかくなるまで(日本式の圧力鍋なら10分位でしょうか)調理します。柔らかくなったダールをサービング・ボウルに移し、タッカの準備をします。タッカは小さなフライパンなどで、ギー(澄ましバター)を熱し、クミンシードをいれパチパチさせます。その後アサフェティダ小さじ1/4とニンニクをいれ、ニンニクに火を通します。お好みによって鷹の爪を半分に割って入れ、カリっとさせます。作ったタッカを、ギーごとダールの上にかけて出来上がり。熱々のご飯と一緒にお召し上がりください。

 

ハトエンドウ以外にも色んな豆で作れるレシピです。今日は長くなってしまいますが、次回以降豆の種類についてもご紹介したいと思います。

 

タッカは非常に簡単ですが、油やギーが適度に熱していなければうまく行かないのです。油を熱し過ぎるとスパイスが焦げてしまい、十分に熱しなければスパイスの香りや味を引き出すことが出来ません。しかしやってみればすぐわかるものなので、是非試してみてください。

 

タッカをする理由

タッカをすることによって、スパイスの味や香りが油に移り、その後炒めた野菜等が美味しくなります。また、スパイスにはビタミンやミネラルなど、健康に良い成分が豊富に含まれていますが、多くは脂溶性のものなので、油で調理することによって体が吸収しやすくなるのです。

また、上手にタッカをする油の温度は、料理にも最適な温度です。油を熱し過ぎると、まず体に良くないと思いますし、料理が焦げやすいですよね。また十分熱しなければ料理が美味しく出来ないのも事実です。なので、タッカに最適な温度であれば、料理もおいしく出来るという計算だと思います。

 

今日ご紹介したスパイスは Cumin Seeds, Turmeric, Asafoetida でした。ヒンディー語ではそれぞれ、「ジーラ(jeera)」、「ハルディ(haldi)」、と「ヒン(hing)」といいます。また、ハトエンドウは英語で「Pigeon Pea」といい、ヒンディー語では「アラハル・ダール(arahar daal)」または「トゥワル・ダール(toor daal)」といいます。日本ではインド料理に必要なスパイスや材料はアマゾンやインド食材専門店などで入手できます。

 

もっと読む:家庭料理によく使われるスパイス