こんばんは.
本日も生きてくださり,有難う.
3年まえ,当時兄のように慕って居た人が
交通事故で亡くなった.
私が高校へ上がったばかりの頃の帰り道
通学に使う駅で彼は仲間と屯して居て
1台だけ停めてある車の中から
彼に“ねえ”と言われたのが始まり
そもそも実家から少し離れた高校へ進学したのは
中学1年生の頃から片想いして居た先輩が
そこへ入学したと聞いたからだ
けれど私達の入学式の日に
先輩は暴力沙汰で退学処分
同じ校舎で同じ制服を着る事は無く
私は早くもこれからの3年間を
見限って居た.
“俺があいつを呼ぶよ”
その先輩を好きだから貴方とは関われ無いと言うと
そう返って来た
低音が響く灰色のボックスカーの中は薄暗く
運転席に居る彼の表情は見て取れはし無い.
“だから,ね”
と車から降りて,仲間が乗って来た単車に乗って
私を半ば強引に後ろに乗せた.
結局先輩を呼び出すなんて口実で
唯私を私の家まで送り届けただけ
私は年上の男の子と遊んだり
ましてや出会ったばかりの男に着いて行ったり
経験は無かったけれど
何だか楽しかった,大丈夫だった
それは結果論に過ぎないけれど
煙草の匂いがする背中に掴まったのなんて
初めてだったから
翌日からも毎日彼は駅に現れた
“人の顔見て逃げんのかよ”と笑って
毎日私を単車で連れ回した.
友達でも恋人でも無い
知っているのは名前と下ネタのセンス
それと彼の単車はCBXと云う事
よく叱られたしよく守ってくれた
深夜に呼び出しても,数十分間車を飛ばして来てくれた
只運転席と助手席の距離で
何を話すでも無く朝を迎えた
彼が死んだとき,私は病気で体調が悪く
私の家族や共通の友人が彼の死を私に隠してくれた
でも彼側の友人が,私を探してくれて
通夜にも葬式にも行けず
白い箱に包まれた彼に逢いに行ったのは
涙も枯れたあとだった