返還直前の沖縄を描いた馳星周の『弥勒世』が面白かったので、その影響で、返還前の沖縄を舞台とした映画『ハブと拳骨』を観てみたくなった。
作品情報を検索してみたが作品としてはマイナーな扱いなのか、ウィキ情報には載っていない。沖縄を舞台にした映画というジャンルでウィキ検索してみても、なぜかこの作品は入っていなかった。返還前の沖縄を描くため、撮影はタイで行ったということだが、それが理由なんだろうか？
映画本編の感想の前に少し苦言なのだが、DVD で観ているとセリフがボソボソとしか聞こえず、さらに音量を大きくしても分かりにくいところがあった。
普段テレビを見る時の音量は25～30、映画の時は30空35にしている。
なのに“ハブと拳骨”を観ているときは音量60以上にしないと聞きづらい箇所がいくつもあった。あと、ある程度作品情報を把握していないと、ストーリーや人間関係が分かりにくいという難点もあったな。
映画自体はとても力が入っていると思う。
雰囲気も作りこまれていて2006年の作品なのだが、つい1970年代当時に撮っているような気分にさせられる。主役の一人、尚玄という俳優もよかった。沖縄出身で背も高く英語も話し三線も弾いて芸達者だなぁと思った。
「弥勒世」でも描かれているが、沖縄では米軍基地の存在がどうしても影を落とす。米兵の傍若無人ぶりがひどく、米兵による殺人やレイプなどの事件が多発しているのに沖縄の警察は手を出すことができない。米軍憎しなのに為す術なし故のゆがみが、主人公たち家族をあらぬ方向に追い詰める。まあストーリーや雰囲気はとにかく暗いね。(_ _。)
でも主人公たち家族の絆（石田えりが母親で尚玄が息子、そこに虎牙光揮、宮崎あおいの兄妹が引き取られて育てられたという設定）に感動する。
あと、ビーチで三線弾いてみんなで踊るシーンは沖縄の悲惨さを一時でも忘れさせる感じでよかったな。p(^-^)q
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執筆 ： 田中 徹矢
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