2023年 感謝の黒部川 サクラマス
途中、新潟の山中は雪。寒の戻りでした。
黒部川は快晴で小春日和でしたが、案の定、愛本の放水量は10tを下回る渇水。どのポイントも川底が見えるような状態でした。トロ場ではヤマメが忙しくライズしており、羽虫?を追い回していました。延べ竿の釣りで反応がなく、とりあえず投げた95mmのリュウキと85mmのシュガーディープショートビルでそれぞれ1匹ずつヤマメが釣れました。しかし、本命からのコンタクトは得られず。潔く撤退しました。
2回目の釣行は4月上旬。
雪代の濁りが入り、放水量が増えて雰囲気が出てきました。かつて読んだサクラマスに関する文献によると、河川に回帰した魚の中で、エサを口にした形跡のある個体は、たった17%しかいなかったという記事がありました。つまり、釣れているサクラマスの多くはリアクションバイトだということです。
クロカワ虫を腹一杯に食っていたとかドバミミズを丸飲みした、なんて話もありますがエサで釣るのは難しいのです。渓流釣り界隈でエサ釣りというと舐められがちですが、事実、黒部川では延べ竿をもって歩いていると感心される(呆れられる?)ことが多かったです。
ルアーやフライに比べで流せる範囲も狭く、ハンデがあるのはわかりますが、延べ竿で釣りたいという気持ちに嘘はつけません。瀬に潜む活性の高い魚に捕食性が残る個体が多いということで、そのようなポイントを探しながら竿を出していきました。
釣行初日、陽が傾いたころ、水深が1m前後の瀬尻でガツン!と魚信がありました。グイングインと頭を振っているのを感じましたが、ポロっとバレました…。サケ釣りメソッドを流用したタコベイト仕掛けで掛かりましたが、冷静になって写真を見返してみると、ハリが小さすぎました。グランのサクラサツキ4号を使っていましたが、ハリ先がティンセルとタコベイトの足に埋まりすぎていました…。冷静になって考えると、サルモくらいのサイズがちょうどよかったように思います。本当にもったいない1尾でした。
63cmのサクラマス。強風対策で用意したボーダレスリミテッドが気持ちの良い弧を描きました。狙っていた中ノ口地内の左岸で仕留めました。達人の人はニオイがするとか、アワが出ているなどと言ってサクラマスの気配を察知するそうですが、このポイントでは釣れる前から何か確信めいたものを感じていました。流しているときの川底の感じや流速が、過去にサクラマスが掛かったときの条件に近かったのかなと思います。
翌、5月6日は新幹線上、左岸側分流からスタートしました。相変わらずヤマメがコンスタントに掛かってきました。重量感のある魚も掛かりましたが、数秒でフックアウト…。
萩生地内や権蔵橋などをランガンして
62cmのニジマスや55cmのイワナ、ルアーで49cmのイワナが釣れました。流石、厳格に管理されている黒部川の魚です。どれも素晴らしいコンディションでした。5月7日は大雨で増水、濁流となり釣りになりませんでした。
8年待った黒部川。
現地に知り合いもいないので、情報が全くない状態から開拓しましたが、これが思いのほか楽しかったです。普段通っている川だと、良い時期やポイントなどもだいたい把握していて、同じ景色の中、半ば約束されたかのように釣れることも少なくありません。しかし、黒部川は初めて尽くしの釣りだったので何もかもが新鮮でした。水位や天候の目まぐるしい変化に頭を悩ませ、日替わりの付き場を読む。本当に濃密な時間でした。仕事の都合が付かず6日間しかできませんでしたが、黒部川のもつ測り知れない可能性の片鱗は感じることができたと思います。
またいつかこの川で、夢を追いたいものです。
感謝。