2022年 信州犀川で本流釣り | 渓を歩く

2022年 信州犀川で本流釣り



 伊藤稔さんの著書「山女魚遊学」にポイント選考のイロハについてまとめてある章があります。伊藤稔さんと言えばゼロ釣法を提唱した第一人者として知られていますが、大ヤマメ(大物)釣りについても素晴らしい理論を世の中に送り出しています。

 魚を釣るためには適水勢、魚の個体差、場の優位性など様々なことを考慮する必要があると著書の中に書かれています。その中で自分が、今回記事にしている犀川漁協管内(生坂ダムよりも上流の流域)で竿を出すときに、最も意識をしていることが『フトコロ』の有無です。『フトコロ』にはモノを隠す場所という意味があり、それすなわち魚の隠れ場所を指しています。フトコロになり得る要素は様々です。岩やテトラポット、岸ぎわの葦原などのわかりやすいものから、白泡や川底の起伏、ときには水深そのものがフトコロになる場合もあります。


 近年の犀川漁協管内の犀川本流を見てみると、砂で埋まって全体的に浅くなり、流れの変化に乏しくなった印象です。また、魚の隠れ家になりそうな障害物も少なくなりました。このような状況で、フトコロを求めたときに自分が選ぶのは"川幅が広く水深のあるポイント"です。
 この理論に当てはまらないポイントにも当然魚はいますが、川幅が小さく水量に乏しいポイントでは、外敵や釣り人の気配を警戒して釣れる確率が下がってしまうと考えられます。そんなことから解禁直後の渇水期は特に、下流域のほうで竿を出すことが多くなりました。多くなったと言っても犀川漁協に行くこと自体が年1,2回ほどになってしまったので、毎度同じようなところで竿を出しているのですが…。
 

 さて、今回は解禁からしばらく経ち、釣り人のプレッシャーもきつくなっていると思い、前述の通り水深のある大場所へ入りました。竿は10mで糸は3号。あわよくば60cmくらいの何かが釣りたいという欲深き仕掛けです。





 エサはミミズやブドウ虫、筋子に川虫を使いまわしました。釣りに行こうと思い立った時間が遅かったためマグロは調達できませんでした。
 ミミズばかりに反応がありました。アタリは頻繁にあるのですが乗らないアタリも多数。オモリが合っておらず違和感を与えているのか…。スレているのか…。ハリは袖型と狐型を何度か交換し、この日はランカートラウトなど袖型平打ち系に落ち着きました。











 朝から釣果があったのは嬉しかったのですが40ちょっとのサイズで、大物はご無沙汰でした。日中にニジマスも釣れました。コンディションは良かったですがサイズは小さかったです。夕方には現地で出会ったゲストと竿を出して2匹釣れましたが、これも40に欠けるサイズでした。


 ポイントは中村の周辺と睦橋の界隈を3か所回りました。全ての場所で反応があり活性は高かったと思います。それぞれのポイントに大物もいると思うのですが…。(他に隠れ場所が思い付かない)今回はダメで、出会うことができませんでした。
 自然が相手なので、何が起こるか分かりません。ときに、理屈では説明の難しいような偶然の釣果が出ることもあります。そんなとき自分は、都合の良いストーリーを練り上げて、さも釣果が必然であったかのように語りがちです。それも釣りの楽しさの1つなのですが、偶然の結果にむりやり理由をこじつけても追体験をすることができません。憧れるのは気象予報士が天気の移り変わりを解説するように、根拠をもって釣りの展開を予想し、ずばりと的中させて大物を仕留めることです。そうすればまた、別の大物との出会いを呼び込める気がします。
 自己満足の世界ですが、、釣りはあくまで趣味ですから、自分なりの楽しみ方でやっていきたいと思います。