34) 戻り来る日常, 穏やかな一日 | BIG BLUE SKY -around the world-

34) 戻り来る日常, 穏やかな一日

第三十四話) 戻り来る日常, 穏やかな一日

2022年 6月20日は、23:50発 TG642便で成田へ向かう。 

旅の最終日、バンコクの Du と Fashion-Island で待ち合わせた。
彼女と合うのは、2018年 8月の南タイツアー最終日以来で、3年10カ月と16日振りになる。



[プロムナードのスターバックス,バンコク] (Jun-20, 2022)  ご本人の許可を得て掲載


Promenade 入り口へ向かうと、スターバックスに Du の姿が見えた。
いつものように、左足を上にして足を組む姿とカラフルな服で、彼女だと直ぐにわかる。
向こうも私に気付いたようだ。
私にもまた、何か直ぐにわかる特徴があるのかもしれない。

コロナ禍を経て久しぶりに会った人とはそうするように、先ずは感染経験の有無とワクチン接種歴を聞いて、それから互いの近況を話す。
自分のこと、家族のことを一通り話すと、共通の友人・知人のいわゆる噂話へと話題は移って行く。
彼女も私も噂話は嫌いではないが、ロビン・ダンバー博士が言う比率 60~70%ほどではない。
改めて仲間意識を高める必要も無いし、彼女の話題が興味深いからだと思う。



[南タイツアー最終日,ハジャイ] (Aug-4, 2018)  ご本人の許可を得て掲載


コロナ禍における寺院での修行、新しいタトゥーの持つ意味と力 (予想通りタトゥーは増えていた)、Fashion-Island 前のラーミンタ通りで工事中のモノレール開通後の利便性、同じく工事中のバーンスー中央駅完成後のフアランポーン駅との関係、近所の売店で見つけた自分の守護神 カーリー神の絵 ...  
Du の話題はどれも興味深い。
それに比べると、私の提供する話題は凡庸だと思うが、異なる日常を送っている人にとっては、何でも興味深いとみえる。

ところで、最近は何を聴いているのですかと聞かれたので、スマートフォンのプレーヤーアプリを開いて、"Thelonious Himself" のフロント・カバーを見せると、またですかと笑う。
このような時、上にして組まれた左足の膝から下は、いつも前後に揺れている。
最近の中ではこれだよと、2月にリリースされた OKI 氏のベスト "月明かりのトンコリ" を紹介する。
彼女が紹介してくれたのは、英国を拠点とするシンガー Anaiis の前年 (‘21年) の作品。



[インドシナツアー移動日,シンガポール] (Aug-1, 2017)  ご本人の許可を得て掲載


スマートフォンを交換して紹介した作品を聴き合うと、互いのプレイリストには未聴の心惹かれる曲が沢山あることに気付く。
こうなるともうきりがない、互いのプレイリストを聴きながら、カフェと喫煙所を行き来して過ごす。
彼女は Bab L’ Bluz が気に入り、私は前述の Anaiis が気に入った。
久しぶりに穏やかな午後だ。

彼女は、私の折り畳み式のソニー製ヘッドフォン MDR-ZX310 がいたく気に入り、今度買って来てくださいと頼まれた。
ブレスレットと交換ならいいよと嘯くと、前払いするから忘れないでくださいと、右手のブレスレットを外して寄こそうとする。
2,000円のヘッドフォンと約 40,000円 (9,500THB) のブレスレットを交換する訳にはいかないので、冗談だよと制した。
(しかも、後で確認したところ、ヘッドフォンは Made in Thailand だった。)
それにしても、今日は穏やかな午後だ。



[Fashion-Island の早目の夕食,バンコク] (Jun-20, 2022)


昼下がり、天気もいいのでパンヤーの MaxValu まで歩いて足按摩を受けてくつろぎ、また Fashion-Island まで戻って早めの軽い夕食とする。
いつものバミーを食べ終わると、コロナ規制が緩和されたら近隣諸国を回ろう、今回会えなかった皆によろしくと、再会を期してタクシー乗り場で別れた。
タクシーに乗り込んだ Du は、ドアを閉めるよりも先に左足を上にして足を組むと、ヘッドフォンをかける仕草を私へのリマインダーとしてみせた。

今日は本当に穏やかな一日だった。



[インドシナツアー移動日,シンガポール] (Mar-21, 2023)  ご本人の許可を得て掲載  6年前と同じサンダルか?


付記
2023年 3月21日、足を組んだ写真を旅行記に載せてもいいかとお伺いしたところ、足を組むのはマナーが良くないのですが、ここ (胸~腹) から下ならいいですよと、志村けん氏のような手つきで許可を頂くことができました。尚、ご本人は左足を上にすることを、意識していませんでした。今後は、マナーと健康のために、足を組む癖を直したいそうです。



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