05) カイゼン進むゲストハウス | BIG BLUE SKY -around the world-

05) カイゼン進むゲストハウス

第五話) カイゼン進むゲストハウス


チェンマイではライタイ・ゲストハウス Lai-Thai Guesthouse に宿をとる。
2009年2011年に続いて、8年振り 3度目の宿泊だ。
一泊 700THB (≒2460円) で、プールやレストランも有り、中型ホテル並みの設備を有している。

ラーンナー様式の建屋は変わっていないが、8年前とは雰囲気が変わっていた。
空港からの無料送迎は無くなり、ご自由にお飲みくださいのコーヒーは見当たらず、宿を特徴付けていた数々の置き物・調度品は消え、従業員は工場労働者か新幹線の車内整備員のようにキビキビと動く ...  
まるでカイゼンが進んだ生産現場か、TPS (Toyota Production System トヨタ生産方式) を導入した職場のようだ。



[再会ならなかった眠りこける童子像] (2011)


8年振りに挨拶を交わした見知ったスタッフによると、台湾出身のオーナーに変わってから合理化が図られ、カイゼンが進んでいると言う。
スタッフは、カイゼン,ポカヨケといった効率化に関わる用語を知っていた。

初めてタイを訪ねた時、人々のおおらかな様子を見て、効率を追い求める母国との差に開放感を覚えた。
ここライタイ・ゲストハウスでの寛いだ日々を、共に過ごした各国のバックパッカー達も、私の感想に同意した。
それから十数年、タイは経済成長を続ける ASEAN の中核国,地域大国として、合理化が進んでいたのだった。

郷愁から来る失望と喪失感に 「 旅をなぞってはいけない 」 という教訓を思い出したが、顔見知りのスタッフ達は 8年前と変わらぬ笑顔で応対し、部屋まで挨拶に来てくれた。
カイゼンが進んでも、変わらぬ人心に安堵する。
気を取り直し、三千世界のもう一つのライタイ・ゲストハウスを楽しもうと思う。



[変わらぬ建屋と植栽] (2019)


ところで、陸路で 16時に着くと言っていた AL 氏は、18時を過ぎても現れない。
道路が混んでいるのかも知れないと思って電話すると、まだ 350km 離れたカムペーンペットの自宅に居た。
力の無い声で、今日はもう無理なので明日にすると言う。
和睦と改善が必要なのは、AL 氏と家族との関係なのかもしれない。


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