05) ピッサヌロークの残映 | BIG BLUE SKY -around the world-

05) ピッサヌロークの残映

第五話) ピッサヌロークの残映

初日 8月1日はピッサヌロークに宿をとる。
"The Room Resident" は Pop の馴染みのホテルで、一泊 700THB (2,243円)。
西向きのベランダからは、ピッサヌローク空港が見える。
路地奥の民家の庭先で飛び上がるニワトリと、残映の空港を飛び立つ飛行機とが、好対照を成していた。



[ピッサヌロークの晴天乱気流] (2016)
Countryscape under clear air turbulence at Pitsanulok in Northern Thailand


ピッサヌローク駅近くの中華タイ料理のレストランで夕食を取ると、Pop は雑貨の買い付けに出かけて行った。
Erika と私はマッサージ店に寄り、二時間の古式ストレッチを受ける。
Erika は、自身の同業者でもあるマッサージ嬢と早口での会話を続け、二時間コースが終わると、マッサージ嬢とどこかへ出かけていった。
おそらく、自身の仕事に役立つ情報を得て、出かけて行ったのだろう。

一人ホテルへ戻り、ロビーでコーヒーを飲みながらテレビニュースを眺めると、前日 7月31日に逝去された千代の富士の、現役時代の土俵入り映像が流れる。
ホテルの若いスタッフに、あの人のことを知っているかと聞くと、日本の相撲はテレビで少し見たことが有るくらいだと言う。
私自身のムエタイ (タイの国技) に関する知識も、同じようなものだ。
部屋に戻り、Gloryfica の "Wolf Run" を聴いて千代の富士を偲ぶと、三者三様の一日が暮れて行った。



[Astral Canyon/Gloryfica] (2012)  "Wolf Run" 収録作品


翌朝早くに、Erika からの電話で起こされた。
ピッサヌロークの高名な寺院へ行くからと言われて、ワット・プラ・シー・ラタナー・マハータート (Wat Phra Sri Rattana Mahathat) への参拝に付き合うことにする。
早朝のピッサヌロークの街を東へ向かうと、熱帯特有の甘く湿った朝の空気が頬を通り過ぎて行く。
ワットへ向かう橋の下を流れるナーン川の水量は、雨季を迎えて増しているのかも知れない。



[ワット・プラ・シー・ラタナー・マハータート,ピッサヌローク] (2016)
Wat Phra Sri Rattana Mahathat, Phitsanulok, Thailand


ワットに着くと、Erika は御堂を一つひとつ廻り、仏像一つひとつに祈りをあげる。
伽藍を一回りして、色とりどりの布が根元に巻かれた大木を眺めていると、白いシャツを纏った比丘尼のような Erika が、御堂から出て来るのが見えた。
日々の安寧につながるのであれば、ワットへの参拝に何度でもお伴しようと思う。


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