02) ミンブリーの休日 | BIG BLUE SKY -around the world-

02) ミンブリーの休日

第二話) ミンブリーの休日

"Tuesday's gone with the wind.
  My baby's gone with the wind again. "

2016年 7月31日の朝、シンシリ・リゾート一階のテラスでコーヒーを飲んでいると、売店のラジオから、十代の頃に聴き慣れた Lynyrd Skynyrd の曲が流れる。
BA 氏と一緒に来て向かいの席に座った DS 夫人が、Khrong Thip を燻らせながら、ラジオに合わせて歌う。
世界中どこでも、同じ世代は同じ歌を知っている。
ピアノからギターにソロが移る頃、BA 氏に促されて煙草を揉み消すと、氏のグリーンのタクシーに乗ってミンブリーへ向かった。



[クァン・リァム水上マーケット,ミンブリー,バンコク] (2016)
Kwan-Liam Floating market at Minburi in Bangkok, Thailand


昨日 DS 夫人に聞いたミンブリーのバッファローのお寺は、センセープ運河沿いのクァン・リァム・フローティング・マーケットのことだった。
運河両側の二つの寺院を中心とした広大な敷地に、マーケットが広がっている。
家族連れで、もの凄い賑わいだ。
陽射しを避ける工夫と、ミスト発生機によって、マーケットは納涼感に溢れている。
熱帯の木漏れ日さえも、涼し気に見えた。

魚の肉が練り込まれた人気の麺を、運河に浮かぶ舟の食堂で味わう。
赤,緑,灰色,自然色の麺は、言われても分からないくらいの魚風味だ。
BA 氏と DS 夫人とは、絶妙の味わいだと褒め称える。
今日は一緒に来られなかった AI のために、二人は乾麺を購入した。



[魚肉が練り込まれたカラフルな麺,ミンブリー,バンコク] (2016)
Colorful noodles, consist of minced fish, Minburi, Bangkok, Thailand


食事を終えて、センセープ運河を往復する遊覧船に乗る。
船上では、子ども二人が案内人となり、周辺を紹介する。
たいした見どころはないが、それが見どころとも言える。
都心では水上バスが走るセンセープ運河も、此処ミンブリーでは寂びれた郊外の風情を見せる。

BA 氏が指さす南岸の中華風寺院を眺めながら、今朝の Lynyrd Skynyrd 楽曲を口ずさむ。
DS 夫人が差し出すフルーツ・チップを一握り貰うと、熱帯特有の甘く湿った空気が頬を通り過ぎて行く。
こうしていると、ここが何処でも、一緒にいるのが誰でも、何をして遊んでいても楽しかった頃のようだ。
このように過ごしたミンブリーの休日は、忘れられない思い出となっている。



[中華風寺院,ミンブリー,バンコク] (2016)
Chinese wat, near Kwan-Liam floating market, Minburi, Bangkok, Thailand


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