14) 8月2日の夕食 | BIG BLUE SKY -around the world-

14) 8月2日の夕食

第十四話) 8月2日の夕食


DS 夫人と AI を遅い夕食に誘う。
どこに行きたいと聞くと、AI は最近できたステーキ屋へ行きたいと言う。
それならそこへ行こう。
三人で歩いてステーキ屋へ向かった。

団地から IDO Boutique を通り過ぎて、1ブロック北へ進むと、大通りを東側へ曲がって真っ直ぐに進む。
AI は三人で歩くのが可笑しいと笑う。
一列になって歩くのは猫の一家のようだ。
大通りとは言っても、路駐する屋台や、半車線を塞いで止まるバイク群を避けて進むため、蛇行しながら進む三人は猫の一家のようだ。



[リブロース・ステーキのセット・プレート/ハジャイ,南タイ] (2018)
Rib Roast Steak with Pumpkin Salad, Fried Potato and French Toast/Hat Yai


ステーキ屋は家族連れでいっぱいだ。
セット・プレートで 150THB (当時のレートで約 520円) くらいなので、ステーキと言ってもそう高くはない。
AI と私はリブロース・ステーキ、DS 夫人は魚フライのセットを頼む。
二人と外食をするのは、2015年スワンナプーム空港でのおでん以来の三年振りだ。

あの時は AI の恋人 Sam が一緒だったと思うと、四人でバーン・セーン・ビーチに行ってコムローイ (ランタン熱気球) を揚げた情景が浮かぶ。
それはかつて眺めた景色であり、どこにも無い場所の景色ではない。
当然ながら、そこに自分の姿は無い。
もしそこに自分の姿を見たとしたならば、幻覚・誤謬・想像にすぎない。



[魚フライのセット・プレート/ハジャイ,南タイ] (2018)
Fried Fish with pumpkin salad, fried potato and French toast/Hat Yai


ステーキよりも早く出て来たソムタム (パパイヤ・サラダ) をつまむと、AI はカオニャオ (もち米) が欲しいと笑う。
DS 夫人が頼んだスイカのジュースは、サトウキビの香りがした。
私が頼んだジンジャー・エールは、久し振りの辛口だ。
馴染みのない土地の初めての店では、様々な事を感じ取り、相応の経験を積むことになる。

リブロース・ステーキの厚みは 5mm ほどで、初めて見る薄さだ。
どう焼いても、ウェルダンになるだろう。
ステーキ・ソースは、タイの漬け汁ナムプリックにマスタードと胡椒を足した風味だ。
これはこれで美味しくいただくことが出来る。
二人との三年振りの外食は、忘れられない思い出となった。


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