11) 火星のスターマン | BIG BLUE SKY -around the world-

11) 火星のスターマン

第十一話) 火星のスターマン


2018年7月31日の火星大接近を、南タイで迎えた。
夜半に、パッタルン Phatthalung からハジャイの在るソンクラー Songkhla 県へ戻ると、車を止めて火星を探す。
南の空の半分以上には雲が掛かっている。

ASEAN-T に火星はどこだと尋ねる。 
何?
太陽系の惑星で、地球の外側の星だよ。
惑星?
SF 小説 "The War of the Worlds" のタコ型火星人は知っているかい。
知らない。
Syfy TV ドラマの "The Expanse" で、地球と冷戦状態の星が火星だよ。
知らない。
David Bowie の "Life on Mars?" は。
知っているよ。
"Is there life on Mars?"
それでやっと分かったと言う。



[大蛇 "ナグ" 像の夜景/ソンクラー,南タイ] (2018)
Night view of The Great Serpent "Nag"/Songkla


東京の緯度は36度、ここは 6度なので、緯度の差分 30度だけ高い位置を探す。
さそり座のアンタレスが見えたが、そこより東側には雲が掛かっていて火星は見えない。
仕方がないので、David Bowie の "Starman" の一節を歌うと、ASEAN-T もそれに続く。

He told me, "Let the children lose it. Let the children use it. Let all the children boogie"

世界中どこでも、同じ世代は同じ歌を知っている。
David Bowie は対象領域の内側だが、火星を始めとする惑星は対象領域の外側だった。
YouTube で Bowie の曲を聴きながら、ハジャイへと戻った。



[大蛇 "ナグ" 像/ソンクラー,南タイ] (2018)
The Great Serpent "Nag"/Songkla


後日、よく晴れた日に、シンハナコーン Singhanakhon の半島の先まで行って、空を見上げた。
日本との緯度の差分 30度だけ高い空に、火星と木星が並んで見えた。
その間のやや明るい星は、土星かもしれない。
ひときわ明るく輝く火星を指し示すと、ASEAN-T は知っているよと答える。
どうやら数日の内に、対象領域が広がったようだ。
火星を見上げて、もう一度 "Starman" を歌った。


やまももさんへ
 お元気ですか
 これが 2018年7月31日、火星大接近の日の記事に寄せたコメントのエピソードです。
 一年半が経ちましたが、ここに紹介しました。



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