12) 8月1日の昼食 | BIG BLUE SKY -around the world-

12) 8月1日の昼食

第十二話) 8月1日の昼食


タイは麺料理天国。
どこへ行っても麺料理屋が必ずある。
店舗数は、日本よりも確実に多い。

店/屋台の席に着いて、麺・スープ・具を選び、氷の入ったカップに水を注いで短いストローを差すと、直ぐに麺料理はやって来る。
好みに合わせて、四つの調味料 粉唐辛子・砂糖・ナンプラー・唐辛子入りの酢で、味を調える。
辛味・甘味・塩味・酸味を調性するのだ。



[センミー (極細ビーフン),具は 豚団子,鳥の唐揚げ,煮込みイカ/ソンクラー,南タイ] (2018)
Senmii (noodle and soup) with minced pork ball, fried chicken and boiled squid/Songkhla


センミーは細い米粉麺、即ちビーフンの一種。
豚団子と鳥の唐揚げと煮イカが、たっぷりと載っている。
タイの麺スープには一派的なことであるが、化学調味料が使われている。
"味の素" は、タイ人なら誰もが知る日本語だ。

タイのラーメンは比較的少量なので、はしごをすることも多い。
二軒目に入って、今度は小麦粉麺バミーを使った、カレーラーメンを選ぶ。
豚団子,チャーシュー,鳥唐揚げが、ほどよく載っている。
箸はプラスティック製・木製の両方が広く使われている。



[カレー・バミー (小麦粉麺),具は豚団子,チャーシュー,鳥の唐揚げ/ソンクラー,南タイ] (2018)
Curry Bamii (wheat flour noodle and curry soup) with minced pork ball, roasted pork fillet and fried chicken/Songkla


馴染みが無い土地で、初めての麺料理を食べるという事は、単なる食事ではない。
即ち、単に麺料理を食べるのみではなく、麺料理を食べながら様々な事を感じ取り、経験を積むのである。
その経験によって味覚は変わり、四つの調味料で整えた味の先に在るものを、感じ取れるようになる。
日常とは意識の向く先が変わり、対象領域の拡張に直接的につながるのだ。

ここのところ、母国でラーメン店を訪ねていないことに気が付いた。
規格物のようなラーメン屋が増えて、街のラーメン屋が減り始めた頃から、足を運ぶことが少なくなった。
2010年7月4日に厚木の本丸亭を訪ねたのが最後かもしれない。
久し振りの母国のラーメンは、対象領域の拡大につながることだろう。


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