08) 7月31日の朝食 | BIG BLUE SKY -around the world-

08) 7月31日の朝食

第八話) 7月31日の朝食


アジアの屋台・食堂と聞くと、多くの人はお腹の心配をする。
私自身の経験から言うと、それは正しい。
2007年8月12日にベトナムはホイアンの遊覧船上で野菜炒めライスを食べた時、2011年8月4日にタイはチェンマイ郊外のドイ・プイ山のメオ族の村でカオ・ソーイ (カレーラーメン) を食べた時には、一時間以内に腹痛に襲われた。

それでも、あのドイ・プイの日から 6年11ヶ月と27日は、アジアの屋台・食堂で何事もなく過ごして来た。
それは、一定の経験を積むことによって、身に迫るものを感じ取ることが出来るようになった結果だと思う。
現地の人が避けるものは口にしない、現地の人向けではないツーリスト向けのものを過信しない。
この二つを旅のルールその三として、ギブスのルールのように遵守している。



[センヤイ (太い平麺) の醤油焼きそば,ハジャイ,南タイ] (2018)
Stir-Fried Senyai Noodle "Pad See Ew"/Hat Yai


7月31日の朝食に、DS 夫人の住む団地の一階の食堂で、幅広麺センヤイの焼きそばを購入する。
そして一号棟の横に建つ、Loy 姐さん一家の仕事場の一角に腰掛けて、包みを広げた。
Loy 姐さんは、旦那さんと一緒に、この平屋の仕事場で、建屋を飾る垂れ幕や広告看板を製作している。
その仕事場の一角に置かれたテーブルとイスは、団地住民の社交場だ。



[団地一号棟前の中路地,ハジャイ,南タイ] (2018)
Townscape of a local apartment/Hat Yai


アジア特有のカラフルなプラスティック製のイスに座って、様々な事を感じ取り、経験を積む。
その経験によって感覚は変わり、分からなかったことが、感じ取れるようになる。
旅先で経験を重ねることは、日常とは意識の向く先が変わり、対象領域の拡張に直接的につながる。

食堂で買った焼きそばを食べると、熱帯特有の甘く湿った空気がぬめるように頬を通り過ぎて行く。
ハジャイ駅で汽笛が鳴ると、列車がバンコク方面へと走り去るのが見えた。


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