05) 山頂の寺院 ワット・パッ・コー | BIG BLUE SKY -around the world-

05) 山頂の寺院 ワット・パッ・コー

第5話) 山頂の寺院 ワット・パッ・コー


ソンクラー市での二晩目の集合時間の前に、山頂の寺院 ワット・パッ・コ― (Wat Pat Kho) を訪ねた。
ここは傘を差した僧侶の像で有名なワット。
傘を差す僧侶の像,夥しい赤紙の切れ端,タイル貼りの井戸,真白きチェディ (大仏塔),黒い南タイの魔物?達 ...
南タイのワットは、バンコク周辺や北タイのワットとは、どこか異なる印象を受ける。

慣れ親しんだ場所ではない地の寺院を訪ねる事は、単なる観光ではない。
即ち、単に寺院を観て廻るのみではなく、歩きながら様々な事を感じ取り、経験を積むのである。
その経験によって感覚は変わり、これまで見たり聞いたりできなかったことが、感じ取れるようになる。
旅先で寺院を訪ねることは、日常とは意識の向く先が変わり、対象領域の拡張に直接的につながる。



[幾何学模様が光り輝くワット壁面の装飾/ソンクラー,南タイ] (2018)
Brilliant geometric relief design on temple wall, Wat Pha Kho/Songkhla


壁一面の仏教装飾に、どこか今まで訪ねた寺院とは異なる印象を受ける。
幾何学模様の反復的な要素が、バンコクやチェンマイのワットよりも強いと感じる。
それは南タイの文化背景の現れなのだろうか。
周囲の仏教徒や、モスレムの Abang に尋ねれば、各々の意味の場における心的表象を語ってくれるだろう。
それらは、対象の集積にはつながるとしても、一体的な合成に到るには要素が偏ると思う。



[幾何学模様が光り輝くワット壁面の装飾/ソンクラー,南タイ] (2018)
Brilliant geometric relief design on temple wall, Wat Pha Kho/Songkhla


幾何学模様が光り輝く装飾が、正確に果てしなく続く。
そこには、フラクタル図形が、無限に派生する様が見える。
果てしなく近付き、果てしなく遠ざかる。
認識できるのは無限の一断片であり、全体を見渡すことはできない。
このとき、無限の断片との対峙へと、対象領域が拡張されるのが分かった。


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