03) シンゴラの戦跡 | BIG BLUE SKY -around the world-

03) シンゴラの戦跡

第三話) シンゴラの戦跡


ソンクラー市での夕方の集合時間の前に、シンゴラ (Singara 又は Singora) の戦跡を訪ねた。
1941年12月8日、マレー作戦での日本軍の上陸地である。
南タイの東海岸では、シンゴラとパッタニで上陸作戦が展開され、数千人の日本兵がこれらの地点から上陸した。
華僑の人々が米の輸出拠点として築いた港シンゴラは、日本軍の上陸基地となったのだ。
現在のシンゴラは漁港で、埠頭の一角に第二次世界大戦の戦跡記念館が建っている。



[シンゴラの戦跡記念館/ソンクラー,南タイ] (2018)
A Japanese soldier’s image of world war II era, memorial musium of Singara/Songkhla Province


シンゴラの記念館には日本兵の像が立っている。
母国では決して見る事は無い造形だ。
侵攻された地の人から見た異国の軍人として、後世に伝えられたイメージなのだろうと想像する。
適切な特徴を適切に扱ったものなのかについては、甚だ疑問である。
認知バイアスを以って、適切ではない特徴が印加されていると感じた。
それをここで指摘しても全く仕方がない。



[シンゴラ漁港/ソンクラー,南タイ] (2018)
Fishing ships at Singara port/Songkhla Province


同行したソンクラー出身ハジャイ在住の Abang は、戦跡について特別な事は語らなかった。
Abang は日本兵の像の脇を通り過ぎると、そこの売店で売っている氷菓子がとても美味しいと紹介してくれた。
埠頭に Abang と並んで座り、ヴェトナムのチェとフィリピンのハロハロの中間のような氷菓子を食べると、熱帯の港特有の甘く湿った海風が食べ物の腐臭とともに頬を通り過ぎて行く。

1941年12月8日から数えると、今日2018年7月28日は 76年7カ月と21日目か。
それは 3,998週と 6日目だから、8日後の 8月5日で丁度 4,000週目だ。
マレー作戦から 4,000週目の日を、バンコクで迎えることになると思うと、熱帯の海特有の甘く湿った海風と食べ物の腐臭がぬめるように頬を通り過ぎて行った。


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